2020年のPC市場は過去10年で最大の成長を遂げたことが明らかに
近年はスマートフォンからインターネット上のさまざまなコンテンツにアクセスすることが可能であり、スマートフォンが普及した若者世代の中にはPCを持たない人も増えています。ところが、2020年は新型コロナウイルスのパンデミックによってリモートワークや遠隔学習に用いるPCの需要が高まったこともあり、「2020年のPC市場は過去10年で最大の成長を遂げた」と報じられています。
Canalys Newsroom- Global PC market Q4 2020
https://www.canalys.com/newsroom/canalys-global-pc-market-Q4-2020
PC Sales Remain on Fire as Fourth Quarter Shipments Grow 26.1% Over the Previous Year, According to IDC
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS47274421
The PC market just had its first big growth in 10 years - The Verge
https://www.theverge.com/2021/1/11/22225356/pc-sales-shipments-2020-growth-idc-canalys-remote-work
新型コロナウイルスのパンデミックが発生した2020年には各国で都市封鎖などの対策が講じられ、企業がリモートワークの導入を推進したり、大学が遠隔学習に移行したりしました。これらの影響によってビデオ会議などに必要なPCの需要が急速に高まっており、ノートPC不足が問題となる事態に発展しています。
2020年第1四半期こそパンデミックによる生産や物流の混乱を受けてPC出荷台数が前年同期比より減少したものの、第2四半期や第3四半期では前年同期比を大幅に上回る出荷台数を記録。当初、需要の増加は一時的なものと見られていましたが、2020年第4四半期でもPCの出荷台数は依然として好調を記録しているとのこと。
市場調査会社であるCanalysやIDCは、いずれも2020年第4四半期のデスクトップ・ノート・ワークステーションを含めたPC出荷台数が9000万台を突破し、前年同期比を25%以上も上回っていると報告しています。
Canalysの2020年第4四半期におけるPC出荷台数に関する調査結果を示したのが以下の表。市場シェアの上位5社はLenovo、HP、Dell、Apple、Acerとなっており、市場全体におけるPC出荷台数は9030万台、成長率は25.4%となっています。
2020年第4四半期出荷台数 | 2020年第4四半期シェア | 年間成長率 | |
---|---|---|---|
Lenovo | 2312万 | 25.6% | 29.1% |
HP | 1913万 | 21.2% | 10.0% |
Dell | 1579万 | 17.5% | 27.0% |
Apple | 718万 | 8.0% | 45.0% |
Acer | 615万 | 6.8% | 38.6% |
その他 | 1892万 | 21.0% | 27.0% |
合計 | 9030万 | 100.0% | 25.4% |
IDCの調査結果を示した以下の表でも、細かな数値の違いはあるもののほぼCanalysの調査と同様の結果となっています。IDCによると2020年第4四半期のPC出荷台数は9160万台、前年同期比の成長率は26.4%とのこと。
2020年第4四半期出荷台数 | 2020年第4四半期シェア | 年間成長率 | |
---|---|---|---|
Lenovo | 2312万 | 25.2% | 29.0% |
HP | 1913万 | 20.9% | 11.3% |
Dell | 1580万 | 17.2% | 26.8% |
Apple | 735万 | 8.0% | 49.2% |
Acer | 655万 | 7.2% | 48.3% |
その他 | 1964万 | 21.4% | 25.0% |
合計 | 9160万 | 100.0% | 26.1% |
Canalysが発表した2020年全体の調査結果を示した表がこれ。上位5社はいずれも大幅に出荷数を2019年よりも増加させており、PC市場全体の年間出荷台数は2億9700万台を突破、成長率は前年比で11%を記録しています。
2020年出荷台数 | 2020年シェア | 年間成長率 | |
---|---|---|---|
Lenovo | 7263万 | 24.5% | 11.9% |
HP | 6757万 | 22.8% | 7.1% |
Dell | 5029万 | 16.9% | 8.2% |
Apple | 2259万 | 7.6% | 16.6% |
Acer | 2000万 | 6.7% | 17.4% |
その他 | 6392万 | 21.5% | 12.8% |
合計 | 2億9702万 | 100.0% | 11.0% |
IDCの調査結果では、2020年全体のPC出荷台数が3億台を突破し、成長率は前年比で13.1%となっています。
2020年出荷台数 | 2020年シェア | 年間成長率 | |
---|---|---|---|
Lenovo | 7267万 | 24.0% | 12.0% |
HP | 6764万 | 22.4% | 7.5% |
Dell | 5030万 | 16.6% | 8.1% |
Apple | 2310万 | 7.6% | 29.1% |
Acer | 2099万 | 6.9% | 22.9% |
その他 | 6790万 | 22.4% | 16.4% |
合計 | 3億260万 | 100.0% | 13.1% |
海外メディアのThe Vergeは、2020年のPC市場は2010年以来最大の成長を遂げたとしています。IDCのプログラム・ヴァイス・プレジデントを務めるRyan Reith氏は、2020年のPC市場の成長がリモートワークと遠隔学習によって推進された一方で、人々は単なる娯楽としてもPCに目を向け始めていると指摘。「2020年の成長における明確な推進力はリモートワークと遠隔教育のニーズに集中していましたが、消費者市場の強さを見逃してはいけません。私たちはゲーミングPCとモニターにおける過去最高の売上を監視しており、Chromeベースのデバイスは教育を超えて消費者市場に広がっています」と、Reith氏は述べています。
CanalysのリサーチディレクターであるRushabh Doshi氏は、「過去1年間に世界が行ったデジタル変革は比類のないものであり、PCはその中心でした」とコメント。数年前は「PCの時代は終わった」と言われることもありましたが、2020年は確かにPCの価値を証明する年であったとThe Vergeは主張しました。
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