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AWSがモニタリングツール「Prometheus」のマネージドサービス「Amazon Managed Service for Prometheus(AMP)」を発表


Amazonのクラウドサービス・AWSより、モニタリングツールのPrometheusをサービスとして提供する「Amazon Managed Service for Prometheus(AMP)」が発表されました。AMPを利用することで、ユーザーは冗長性やセキュリティといったインフラ管理をAWSに任せ、Prometheusによるシステム監視のみに集中することができます。

プレビュー開始 – Amazon Managed Service for Prometheus (AMP) | Amazon Web Services ブログ
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/join-the-preview-amazon-managed-service-for-prometheus-amp/


Getting Started with Amazon Managed Service for Prometheus | AWS Management & Governance Blog
https://aws.amazon.com/jp/blogs/mt/getting-started-amazon-managed-service-for-prometheus/

PrometheusはSoundCloudが開発していたシステム監視ツールで、2016年にCloud Native Computing Foundation(CNCF)に寄贈され、オープンソースプロジェクトとなりました。Prometheusでは監視対象からデータを収集するPull型のアーキテクチャが採用されており、構築が簡単な点が特徴。Yahoo!JAPANやAbemaTVといった大規模なサービスでの導入実績があります。

そのPrometheusをAWSが提供する「Amazon Managed Service for Prometheus(AMP)」のプレビュー版が、Amazonの技術イベント「AWS re:Invent」で公開されました。AMPは通常のPrometheusと同じメトリクスやPromQL言語を利用できる完全な互換性を有しており、150を超えるPrometheus Exporterに対応しているとのこと。AMPは複数のアベイラビリティーゾーンにまたがって実行されているため、Prometheus運用時の課題である冗長性を確保することが可能。また、大規模なシステムに対応するスケーラビリティについては、Cortexによって実現されています。

記事作成時点ではAMPはプレビュー版であり、対応リージョンも欧州(アイルランド)、欧州(フランクフルト)、米国東部(バージニア北部)、米国東部 (オハイオ)、米国西部(オレゴン)と限られていますが、AWSのアカウントがあれば申請不要で利用できます。

Amazon Managed Service for Prometheus (AMP)
https://console.aws.amazon.com/prometheus/home/

まずはAWSにログインした状態で上記のURLにアクセスし、ワークスペース名を入力して「作成」をクリックすると……


ワークスペースが作成されました。ここに表示された書き込み用のエンドポイントに既存のPrometheusサーバーからメトリクスを送信し、クエリ用のエンドポイントからメトリクスを読み取ることができます。また、データ転送にはAWS署名バージョン4が必要なので、インターネットを介してPrometheusを利用する場合でも安全にメトリクスを転送することができます。


記事作成時点ではAMPそのものにメトリクスの収集機能はないので、AMPの性質は完全なPrometheusのマネージドサービスというより「Prometheusのリモートストレージ」に近いと感じました。AMPの利用形態としては、スクレイピング専用のPrometheusを監視対象のノードで動作させ、AMPにメトリクスを転送するといったアプローチが考えられそうです。なお、AMPの利用にかかる費用は以下となっています。

・最初の20億サンプル:0.002ドル(0.21円)/サンプル
・次の500億サンプル:0.0015ドル(0.16円)/サンプル
・520億サンプル以上:0.001ドル(0.10円)/サンプル
・メトリクスストレージ:0.03ドル(0.31円)/GB
・クエリ処理にかかる分数(QPM):0.142ドル(14.71円)/QPM

AMPを利用し始めて最初の90日間は、以下の条件を満たせばAMPを無料で利用することができます。

・サンプル数:4000万サンプル以内
・クエリ処理時間の総数:60分以内
・メトリクスのデータサイズ:10GB

また、AMPの発表と同時に、Prometheusのメトリクス可視化によく利用される「Grafana」のAWSマネージドサービス「Amazon Managed Service for Grafana」も発表されており、AMPと連携して利用することができます。

Amazon Managed Service for Grafana (プレビュー) のご紹介 | Amazon Web Services ブログ
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/announcing-amazon-managed-grafana-service-in-preview/

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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