半導体業界の最前線を爆走するNVIDIAのジェン・スン・ファンCEOへのインタビューが公開中
半導体メーカーのArmを買収したり、8K・60fpsの超高解像度ゲーミングにも対応したRTX30シリーズをリリースしたりと、半導体業界を大きくけん引するチップメーカーのNVIDIAは、2020年第3四半期で13億9800万ドル(約1450億円)という過去最高の売上高を記録するほど成長しています。そんなNVIDIAのジェン・スン・ファンCEOへのインタビューを、IT系ニュースサイトのVentureBeatが公開しています。
Nvidia CEO Jensen Huang interview -- Antitrust, openness, and the PC-console war | VentureBeat
https://venturebeat.com/2020/11/21/nvidia-ceo-jensen-huang-interview-antitrust-openness-and-the-pc-console-war/
VentureBeat(以下、Q):
独占禁止法に関して、規制当局とアメリカ議会がテクノロジー企業を追及していますが、NVIDIAに何らかの影響を及ぼす可能性があるのでしょうか? 独占禁止法についてどう思いますか?
ジェン・スン・ファンCEO(以下、ファンCEO):
私は特に気にしていません。NVIDIAのすべての事業はどれも非常に競争力があります。Armには巨大な顧客がいますが、Armが躍進したいと思っている新規市場では劣勢に立たされています。Armに力を注ぐことで顧客の選択肢が増え、市場の革新性が高まると十分に考えられます。我々は、当局による規制が今回の取引に非常に有利になるだろうと評価しています。
by NVIDIA Corporation
Q:
Armの買収によって、NVIDIAはこれまでよりもオープンになるでしょうか?
ファンCEO:
ArmとNVIDIAはよく似ています。NVIDIAのアーキテクチャは、あらゆるクラウド、あらゆるコンピュータメーカー、あらゆる形態とサイズで利用できます。NVIDIAのチップはごく普通に購入可能で、システムは1時間当たり1ドルから借りることもできます。私たちのプラットフォームがこれほど広く採用されている理由は、オープンだからです。NVIDIAのアーキテクチャをリバースエンジニアリングすることも話題になりますが、それは結構なことです。
NVIDIAアーキテクチャは汎用プログラミング用として、x86以外ではおそらく世界で最も使われているアーキテクチャです。Armも同じです。Armアーキテクチャは誰でも手に入れることができます。NADIAのアーキテクチャとArmアーキテクチャ非常によく似ており、顧客に提供する上での考え方も非常に似ています。
by NVIDIA Corporation
Q:
逆に言えば、他の会社にもっとオープンになって、もっと多くのことをさせたいと考えていますか? 例えば「iOS向けにGeForce Nowを提供できるようにAppleに働きかける」といったことです。
ファンCEO:
私たちの戦略はオープンであること、つまり誰もが使いたいと思うように使えるオープンなプラットフォームを持つことです。しかし、誰にでも独自の戦略があります。NVIDIAは、たまたまオープンプラットフォームな戦略をとっているというだけです。
Q:
ここにきてまた家庭用ゲーム機が盛り上がっています。あなたは今、PCと家庭用ゲーム機の競争についてどう思いますか?
ファンCEO:
PCと家庭用ゲーム機は競合するとは思っていません。PCで可能なことを、家庭用ゲーム機でも実行できるとは思っていません。しかし、家庭用ゲーム機が非常に強力であるために、すべてのコンテンツ開発者にとってのハードルが上がったことは結構なことだと思います。誰もがレイトレーシングに移行しているのも、素晴らしいことです。
by NVIDIA Corporation
ご存知のように、最近のPCの使い方を見ると、「ゲーミング」は「単にゲームを遊ぶこと」をはるかに超えており、芸術やスポーツの領域にも及んでいます。インフルエンサーがシェアするためにも使われています。これらすべてを実現するには、PCが最適なプラットフォームです。言うまでもなく、ビデオ会議などにはPCが必要です。なので、「NVIDIA Broadcast」を備えたGeForceを購入すべきだと言えますね。費用に見合う価値はあります。
Q:
ゲーミングとデータセンターは、NVIDIAの収益の中でもリードしている部門だと思います。今後もこの好調が続くと考えていますか?
ファンCEO:
ゲーミングとデータセンターという2つの事業が常に市場をリードし続けることを願っています。「世界中の誰もがいつかゲーマーになる」というのは当然の帰結ですが、現在でもアクティブなゲーマーは10億人しかいません。いつかは70億、80億人のゲーマーが活動するようになるでしょう。ゲーミング分野の成長機会はまだ私たちの先を行っています。ゲームは、あらゆるエンターテイメントになり得る唯一のエンターテイメントです。ゲーム市場は前途有望です。
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