コーヒーに含まれ健康をブーストする「ファイトケミカル」とは?


コーヒーを飲むことには不眠症の解消や脳の活性化のほか、心血管疾患や神経性疾患、糖尿病などにかかりにくくなり、自殺のリスクも低いなど多くの利点があるといわれています。このようなコーヒーが持つよい影響はファイトケミカルと呼ばれる化合物が影響しているとみられています。コーヒー以外にも含まれるというファイトケミカルとは一体何なのか、ニューカッスル大学栄養学教授のクレア・コリンズ氏が解説しています。

Phytonutrients can boost your health. Here are 4 and where to find them (including in your next cup of coffee)
https://theconversation.com/phytonutrients-can-boost-your-health-here-are-4-and-where-to-find-them-including-in-your-next-cup-of-coffee-132100

ファイトケミカルは植物中に含まれる化合物のことで、コーヒーだけでなくナッツ・豆・種子・野菜・果物・穀物といった多くのものに含まれます。本質的にファイトケミカルは植物の成長を助け、捕食者を避けたり害虫と戦ったりするために作られます。しかし近年は、ファイトケミカルが人間の体で消化・吸収される時に、体の生化学的経路に影響を与える可能性が注目されているとのこと。生化学的経路とは、代謝経路やシグナル伝達経路など、体が機能するための経路を意味し、病気にも関わります。

◆4つのファイトケミカル
コリンズ教授は近年注目されている以下4つのファイトケミカルについて言及しています。

1.コーヒー酸
コーヒー酸はカフェイン酸とも呼ばれ、コーヒーだけでなく、プルーン、オリーブ、じゃがいも、ひまわりの種、シナモン、クミン、ナツメグ、ショウガ、八角、スペアミント、キャラウェイ、タイム、オレガノ、セージ、ローズマリーといった植物にも含まれます。

またコーヒー酸は抗酸化性があると考えられており、潜在的な発がん性物質を毒性の低い化合物に変えることで、がんの発生を防ぐものと見られています。


2.クロロゲン酸
コーヒーに含まれるもう1つのファイトケミカルがクロロゲン酸で、プルーン、ブルーベリー、りんご、なし、桃、グローブ、じゃがいも、ひまわりの種、スペアミント、セージ、オレガノなどに含まれます。

これまでの研究でクロロゲン酸はシグナル伝達経路に作用する可能性が示されており、ここからコーヒーの摂取ががんや心血管障害、糖尿病、パーキンソン病などの疾患に対して健康上の利点があることが考えられています。

またクロロゲン酸もコーヒー酸と同様に高い抗酸化性が認められています。マウスを使った研究ではコーヒー酸とクロロゲン酸が食後の血糖値の上昇を抑制することも示されており、2型糖尿病の発症リスクを低下させるとみられています。

ただし、コーヒー酸とクロロゲン酸の研究のほとんどは臨床試験にまでいたっていないので、研究結果を直接人に適用できないとのこと。結論に至るためには、より大規模な臨床試験を行う必要があります。

3.クェルセチン
クェルセチンは花や植物の「色」を作り出す化合物。また植物を、その土地の生育環境に適合させ、成長ホルモンを制御する役目も持ちます。

クェルセチンはアスパラガス、ブラックオリーブ、ココア、クランベリー、そば、プルーン、りんご、ブルーベリー、いちご、ブロッコリー、赤ワイン、ズッキーニ、オレガノ、クローブ、ケーパーなどに含まれます。


クェルセチンの研究も多くが臨床試験ではなく細胞や動物を対象としたものですが、その中で抗炎症・抗酸化・抗がん効果があることが示されています。クェルセチンはがん細胞の発達や拡散方法に影響を与え、がん細胞を殺すことも確認されています。

臨床試験としては、クェルセチンのサプリメントが人の血圧に与える影響を調査した結果、クェルセチンを摂取した人の拡張期血圧縮小期血圧の両方が著しく減少することが確認されました。

4.グルコシノレート
グルコシノレートは植物に「辛み」を加える化合物で、大根・ケール・わさび・チンゲンサイ・かぶ・ブロッコリー・キャベツなどに含まれます。グルコシノレートは調理方法によって壊されてしまうことがあり、ゆでたりブランチングしたりするよりも、蒸す調理法の方が、植物に含まれるグルコシノレートは保存されます。

グルコシノレートは植物が虫や病気から自分自身を守る防御反応の中で進化してきました。このため、マウスを使った実験ではグルコシノレートの殺菌作用や、潜在的な発がん性物質を不活性化させる抗がん作用などが確認されています。


このようにファイトケミカルが人体の健康を促進させ病気の予防に役立つ仕組みは、記事作成時点で研究段階にあります。しかし、野菜・果物・スパイスを多く含むバラエティ豊かな食事からファイトケミカルを摂取することが推奨されており、コリンズ氏は以下のアイデアを公開しています。

1:次にスーパーに行った時に新しいハーブやスパイスを購入し、定期的に料理に使用することでファイトケミカルを摂取できます。


2:りんごや桃、ミックスベリーをシナモン、ショウガ、クローブ、八角といったスパイスと共に煮たフルーツコンポートがオススメとのこと。新鮮な果物はもちろんですが、冷凍や乾燥のものでもOKとのことで、ヨーグルトにかけることもアイデアの1つです。


3:フライパンで刻んだ玉ねぎをオリーブオイル、にんにく、クミン、キャラウェイ、オレガノ、タイムといった乾燥ハーブと共に炒めて作った「スパイスベース」を、スープやソース、オーブン料理に加えるのも手。


4:ペパーミント、スペアミント、パセリなどを細かく刻み、サラダやマッシュポテトなどに加えることも、ファイトケミカルを摂取する役に立ちます。

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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