体に悪い食べ物を避けるためにたった2分でできる対策とは？

by Dana Tentis

頭では「カロリーが多すぎたり砂糖が多すぎたりする料理は体に悪い」と理解しているのに、体に悪い食べ物ほどおいしく感じられて食べるのをやめられないという人も多いはず。そんな体に悪い料理を控えるために、研究者らが「たった2分間でできる簡単な対策」を見つけ出しました。

The Smell of Healthy Choices: Cross-Modal Sensory Compensation Effects of Ambient Scent on Food Purchases - Dipayan Biswas, Courtney Szocs, 2019
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0022243718820585

Fighting the crave for fattening food? Just surround yourself in its scent -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/01/190116111014.htm

Researchers Identify a 2-Minute Trick That Stops You Craving Fatty Foods
https://www.sciencealert.com/just-two-minutes-of-fatty-food-smells-could-be-enough-to-put-you-off-the-munchies

料理の匂いは人が料理を口にするよりも先に感じるものであり、これから食べるものがどれほどおいしいものなのか、どんな味がするのかといったことを匂いによって人は感じ取ります。南フロリダ大学の研究チームは、料理が発する匂いそのものが脳の報酬系に作用すると指摘しており、「実際に料理を食べなくても、匂いを嗅ぐだけで人は満足する」と考えました。

研究チームはスーパーマーケットや学校の食堂を利用して、リンゴやイチゴ、ピザ、クッキーといった食べ物の匂いを慎重に食堂の空気に漂わせることで、人々が購入する食材や料理にどのような変化が出るのかを調査しました。その結果、「ピザやクッキーといったより不健康な食品の匂いを嗅いだ参加者は、より健康的な食品を選ぶ傾向にある」ということが判明したとのこと。

たとえば900人の子どもが昼食を選んでいる食堂でリンゴの匂いを漂わせると、不健康な料理を選ぶ子どもは全体の約37％であり、無臭の状態で不健康な料理を選ぶ子どもの割合とほぼ同程度でした。その一方で食堂にピザの匂いを漂わせると、不健康な料理を選ぶ割合が21％ほどにまで減少したと研究チームは述べています。

by PublicDomainImages

その後、研究室においてもフォローアップ研究を行ったところ、不健康な食べ物の匂いが単純に不健康な料理への欲求を低下させるのではないという事実も明らかになりました。研究チームが参加者にクッキーの匂いを嗅がせ、その後食べたい料理を選ばせたところ、クッキーの匂いを「30秒以内」という短い時間で嗅いだ参加者は、健康な料理よりもむしろ不健康な料理を選びがちであったとのこと。クッキーの匂いを嗅いだ参加者がより健康的な料理を選ぶためには、匂いを2分間以上嗅ぎ続ける必要があると判明したそうです。

以前から料理の匂いと食欲には関連があると示唆されてきましたが、今回の研究でも匂いに敏感な人ほど匂いによる料理選択の影響を受けやすかったとのこと。研究チームは「不健康でおいしい食べ物に関連する匂いを長時間嗅ぐだけで報酬系が満足し、不健康な食べ物への欲求が抑えられるのではないか」と述べています。

研究チームは「短い時間だけおいしそうな匂いを嗅いで報酬系が刺激されると、もっと報酬が欲しいと思ってさらに報酬系に訴えかける料理を選択するようになる。一方で、長い時間不健康でジャンクな食べ物の匂いを嗅ぐと、実際に食べていなくても報酬系が料理を食べたのと同様の満足感を得るのではないか」という仮説を持っているとのこと。

by Ed Gregory

研究チームのDipayan Biswas氏は、「周囲の空気に混じる匂いが、人が不健康でおいしい食べ物に抵抗する有効なツールになり得ます」と語っており、匂いを利用することで子どもたちやダイエットが必要な人々の食習慣を改善できる可能性があるとしました。