「ダイエットで一番大事なのは食事制限」ではない、運動には「カロリー消費」を超えた効果がある
by mojzagrebinfo
「1本のチョコレートバーを食べないようにするだけで20分のランニングが不要になる」といった計算から、「やせるために重要なのは運動ではなく食事制限」という主張が行われています。しかし、長期に及ぶダイエットで大きくやせようとする場合、このような単純計算以上に、「運動がもたらす体の変化」が重要になってくると肥満問題の専門家が説明しています。
Is exercise still important to weight loss? Absolutely, a doctor says
https://theconversation.com/is-exercise-still-important-to-weight-loss-absolutely-a-doctor-says-103880
アメリカのエモリー大学で放射線およびイメージングサイエンスの准教授を務め、肥満の専門家でもあるDavid Prologo氏は、過去10年にわたって何千万人もの人が経験した「ダイエット」を研究し、数々の「ダイエット失敗」という現象を見てきた人物。近年は、「減量に重要なのは運動ではなくて食事制限」という主張が多く見られ、「運動しなくても痩せられる」と語る人もいますが、Prologo氏は自身の経験から運動の重要さを説いています。実際に、「著しい減量を成功した人の90%は平均して、1日に少なくとも1時間の運動を行っていた」という調査結果も出ています。
by bruce mars
なぜ「運動は減量にとって重要ではない」と言われるようになったのか、という理由は複数存在します。まず1つ目は、人々が「すぐ目に見える効果」を求め、ダイエット産業は消費者の望みを搾取するということにあります。
運動は人の身体組成を変え、安静時代謝を改善し、食への好みを変えます。これらの事実は研究によって証明されているのですが、センセーショナルなダイエット商品に比べて目立ちません。また、「1日1時間の運動なんて無理」と考える人も多く、このような人はより簡単に行える方法を探そうとします。
また、医師や栄養士はそれぞれ所属する分野が違うという理由から、運動と食習慣の関係について十分な説明を行えていないという問題もあります。
実際には、運動をすると食習慣が変化し、何度も運動を行っていると人は健康的な食事をとるようになっていきます。運動なしで食事制限を含めた食習慣を変えることは難しく、ダイエットは継続しがたいもの。減量をしなければいけないのに、どうしても野菜と魚中心の生活に移行できなかった女性が運動能力を上げることで食生活を変えることができたという実例もあるとのことです。
by BootstrapGiver
さらに、減量をテーマにした研究の多くは体重過多で運動能力が限られた人を対象としています。しかし運動能力が限られた人に対して「運動で減量しなさい」というのは、「コップの水を使ってプールを満タンにしなさい」といっているようなもの。「運動をしても燃焼できるカロリーは週500kcalほど」という話を聞き、「運動は減量にとって重要ではない」という結論が導き出されてしまうわけです。
短期的に見れば、食事制限は減量につながるように見えます。しかし、食事制限を長期にわたって続けるのは非常に難しく、最終的に減量を諦めてしまうことにつながりかねません。運動は食生活の変化を受け入れやすくします。そして運動能力が上がっていけば、運動自体を楽しむことが可能になります。運動を習慣化すれば食事を変え、より健康的な生活を選ぶことが可能になるため、長期的にみれば、著しい減量には運動が必須と言えるわけです。
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