「運動は健康にいいがダイエットに最適な方法ではない」という理由とは?
by Tripp
体重を減らすためにランニングや水泳などの運動を勧められることがありますが、実際のところ「ダイエットのための運動は効果的ではない」という調査結果が出ています。
The science is in: Exercise isn’t the best way to lose weight - YouTube
「ダイエットをしよう!」と年の初めに決意して、定期的にジムに通っていれば、徐々に体重が減っていくというのがよくある考え方です。
しかし、ニュースサイトのVoxで健康に関する記事を執筆しているJulia Belluz氏が減量に関する60以上の研究を調べたところ、体重を減らすために運動するのは無意味だと判明したとのこと。
運動と減量について研究しているアメリカ国立衛生研究所のKevin Hall博士は、「運動についての考えを根本的に見直さなくてはいけません。運動は体重を減らすための最善の方法ではありません。運動は、健康にいい影響を与えるものです。例えばタバコをやめるよりも、運動をする方が健康状態が改善します」と語ります。
Hall博士によれば、運動は長生きに効果的で幸せな生活を送れるものの、体重を減らすための最適な方法ではないとのこと。
運動が減量に向いていない理由は、人間の体がエネルギーを消費する方法にあります。人間の体がカロリーを燃焼する方法は主に3つあり、1つ目は人間が生きるのに必要な安静時代謝、2つ目は食事を消化するために必要なカロリー、3つ目が運動で消費されるカロリーです。普段生活していると気付かないものですが、運動時に消費するカロリーは、消費カロリー全体のおよそ10%から30%に過ぎません。
人間が消費するカロリーの大半は、安静時代謝で占められています。
つまり、摂取したカロリーのうち、人間が運動の量によってコントロールできるカロリーは30%以下というわけです。
ある研究では、体重200ポンド(約91kg)の男性が1時間のランニングを週に4日間、1カ月にわたって続けた場合、最大でも5ポンド(約2.3kg)しか減量しないことが明らかになっています。
運動量を増やすと、運動に対して身体的・精神的に適応していきます。
また、運動量を増やすとお腹がすきます。例えば朝起きた直後に運動すると、朝食を普段の倍量食べてしまうことも。
運動直後にパフォーマンスが低下してしまう人もいることが、研究から明らかになっています。
朝にランニングを行うと、仕事中に階段を使いたくなくなるといった無意識下の行動は、「compensatory behaviour(代償的行為)」と呼ばれています。
また、metabolic compensation(代謝の補償)という専門用語もあります。
これは、人間が体重を減らしていくと安静時代謝も減っていき、消費するエネルギーの全体量が減るというもの。
2012年に発表されたある研究では、タンザニアのサバンナで暮らすハヅァ族(Hadza)の消費カロリーが調査されました。
ハヅァ族は狩猟生活を営んでいて、日々の運動量が非常に多く、現代人のようにコンピューターの前で一日中過ごすことはなく活動的な生活を送っています。
調査の結果、ハヅァ族と欧米人を比べると、消費カロリーには大差がないことが判明。
ハヅァ族が健康を維持している方法は、「食べ過ぎないこと」です
運動でカロリーを消費することは可能です。例えば、1時間のランニングで消費するカロリーは、ビッグマックとフライドポテトを食べた時に得られるカロリーとほぼ同量。ワイン3杯分のカロリーは、1時間激しいダンスを行った際の消費カロリーに相当します。
運動だけで減量するのは難しいため、運動は食事療法の補強として活用されています。
しかしながら、アメリカでは肥満の割合が高くなっていることで、アメリカ政府は「運動を通じて減量する」ことを勧めています。
食料品を扱う企業は、消費者の健康に注意を払っています。コカ・コーラでは1920年から自社広告に運動の要素を組み込み、「コーラを飲んだら運動もしよう」というメッセージを込めています。しかし実際には、炭酸飲料で得た余分なカロリーを消費するのは非常に難しいもの。
Hall博士は、「運動してやせるのは不可能ではありませんが、非常に厳しく、何時間も運動して努力しなくてはいけません。運動だけを行うよりは、食事中にピザを食べ過ぎないように我慢するなど、食事を見直した方が効果的です」と語っています。
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