サイエンス

食欲が暴走してしまうのは胃で分泌されるホルモン「グレリン」のせいかもしれない

by Viewminder

空腹時に胃の中で作られる「グレリン」というホルモンが食欲を増進させることは、これまでも知られてきました。新たな研究によって、グレリンは食欲を増進させる力に加え、食べ物の「匂い」をその人にとって抗いがたいほどに魅力的にする力があることが示されました。

Ghrelin Enhances Food Odor Conditioning in Healthy Humans: An fMRI Study: Cell Reports
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(18)31772-8

Gut hormone increases response to food | Newsroom - McGill University
https://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/gut-hormone-increases-response-food-292422

'Hunger Hormone' Ghrelin Aids Overindulgence - Scientific American https://www.scientificamerican.com/podcast/episode/hunger-hormone-ghrelin-aids-overindulgence/

グレリンは食事の時間が近づいた時、あるいは長時間にわたって何も食べていない時などに胃の中で分泌され、人に「食べることを忘れないように」と知らせます。これまでの研究で、グレリンを注射されたラットは食べ過ぎる傾向があることや、グレリンがマウスの意志決定や衝動の抑制にマイナス効果を与えることが示されてきました。

マギル大学の研究者たちは、既に「グレリンを注射された人はドーパミンを放出し、過食傾向になる」ということを研究で示してきました。同研究チームは新たに、38人のボランティアを対象にグレリンのメカニズムを探るための実験を行いました。

実験の被験者たちはまず、「木の写真と焼きたてのパンの匂い」といったような、「ランダムな写真」と「匂い」を関連づける訓練を受けたとのこと。この時、被験者のうち一方はグレリンを注射され、他方は生理食塩水を注射されました。

by herryway

その後、研究者は被験者の脳をfMRIでスキャンし、どの部分が変化しているのかをチェックしました。この結果、グレリンを注射された被験者の脳は食べ物の匂いと関連づけられた写真を見た時だけ活性化したとのこと。この部位は、食べ物以外の匂いと結びつけられた写真に対しては反応しなかったそうです。また、被験者に写真を評価するよう求めたところ、グレリンを注射された人は、食べ物の匂いと関連づけられた写真を高く評価する傾向にありました。

この研究結果は、グレリンが脳の報酬系と「食べ物の匂い」を関係させる度合いをコントロールすることを示しており、グレリンが食べ物に対する反応を変えるカギになる可能性があるとみられています。また今回の実験で反応した部位はエンドフェノタイプという遺伝子学的な表現型に関連することから、遺伝子をベースにした「食べ物と関連した写真や匂い」に対する過敏症が存在することも示唆されています。

by rawpixel.com

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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