レビュー

「材料を入れて放置」でお店レベルの料理の数々が完成&低温調理も可能なスマホ連携の「ホットクック」にお一人様向けサイズが登場、新機能など使ってみた


シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」は2015年に登場してから、「食材を入れて放置でおいしい料理が完成する」と絶賛され人気を集めています。これまでは1.6Lモデルと2.4Lモデルという、家族向けサイズしか存在しなかったのですが、新たにお一人様向け&容量1.0Lの「ホットクックKN-HW10E」が2019年11月28日から登場しています。1.6Lのホットクックは2017年にレビュー済みなのですが、それ以降に新機能が搭載されており、ホットクックKN-HW10Eは一度に2品作れる「2段調理」も可能とのことなので、実機を借りて使ってみました。

ヘルシオ ホットクック:シャープ
https://jp.sharp/hotcook/

水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」を発売|ニュースリリース:シャープ
https://corporate.jp.sharp/news/images/191115-a.jpg

目次:
◆1:前モデルと比べてどれくらい小さくなったのか?
◆2:スマホからレシピを選んでボタン1つで狙った時間ぴったりにカレーを作ってみた
◆3:圧力鍋やスロークッカーと仕上がりはどう違う?
◆4:同時に2品作れる「2段調理」を試してみた
◆5:55度の低温調理でステーキのおいしさを最大限に引き出してみた

◆1:前モデルと比べてどれくらい小さくなったのか?
ホットクックKN-HW10E-Wが到着。


箱を開けてみると、中にはホットクック本体、取扱説明書、レシピ集、電源コード、混ぜ技ユニットが入っていました。


ホットクック本体はこんな感じ。カラーはホワイトとブラックがあり、今回はホワイトを借りました。


天面は幅220mm×奥行き305mmで、全長123.8mmのiPhone SEと比較するとこんな感じ。


高さは240mmです。


フタの上には操作部。パネル下部には左から「保温/とりけし」「予約」「聞いて」「戻る」「スタート決定」ボタンが並んでいます。


背面はこんな感じ。画面右下に見えるのは電源プラグとなっています。定格消費電力は350Wです。


横から見るとこう。


ホットクックKN-HW10Eの最大の特長はそのサイズにあります。基本的な機能はスタンダードの1.6Lタイプと同じなのですが、1~2用ということで容量が1.0Lになり、その分フットプリントが小さくなりました。下の画像に写っている左側が新登場した1.0Lタイプ、右側が1.6Lタイプです。1.0Lタイプが幅220mmなのに対し1.6Lタイプが幅364mmなので、必要なスペースはかなり変わります。


上から見てみるとこんな感じ。奥行きは1.0Lタイプが幅305mm、1.6Lタイプが283mmです。


フタを開けて……


中身を取り出してみました。内鍋、蒸しトレイ、内ぶた、蒸気口カバー、つゆ受けは取り外して洗えます。


内鍋には「水位MAX」という線が書かれており、液体はこの線に収まる範囲内で入れる必要があります。お米は3合まで炊けます。


電源コードを差し込むと……


自動的に電源が入りました。ホットクック本体にはデフォルトで63品の自動調理メニューが登録されており、料理名を「メニューを選ぶ」から選ぶだけで時間や温度の設定なしに自動的に調理が行われます。そのほか手動で料理カテゴリと加熱時間を設定できる「手動で作る」というメニューも存在します。


またApp StoreGoogle Playから「COCORO KITCHEN」というアプリをインストールし、ホットクック本体と接続すれば、本体に登録されていないメニューをアプリから本体に送って、本体パネルでメニューを探すことなく、サクサクと自動調理してもらうことも可能です。


ホットクックでどんな料理が可能なのか?ということは、付属のレシピ集からも確認可能。


これが目次。自動メニュー63品に加え、手動メニュー17品の料理が記載されています。調理系家電の場合、買ったはいいももの適切なレシピがなく自分で実験しながら使わざるを得ず、トライ&エラーを繰り返す……ということが起こりがちですが、ホットクックの場合は公式レシピのおかげで、買った日からさまざまな料理を確実に作れるのは大きなメリットです。


レシピは「煮物」「カレー・シチュー」「スープ」「ゆで物」「蒸し物」「めん類」「2段調理」「発酵・低温調理」「お菓子・パン類」にカテゴリ分けされており、写真付き。いずれも3工程ほどで完成するお手軽さです。


切り身の魚と調味料をホットクックに入れてボタンを押すだけで煮魚が完成するという、ほぼ労力ゼロと言えるようなメニューもありました。


◆2:スマホからレシピを選んでボタン1つで狙った時間ぴったりにカレーを作ってみた
ということで、さっそくホットクックを使ってみます。ホットクックはさまざまな調理ができますが、中でも食材の水分だけを使ってうまみを閉じ込める「無水調理」が行えるというのが大きな特徴。まずは無水調理でキーマカレーを作ってみます。カレールウ・トマト・パプリカ・たまねぎ・なす・合いびき肉を用意。


必要な作業は、材料を切るだけ。


これで準備完了。


スロークッカーを始めとする調理家電の多くは加熱中に「混ぜる」という行為ができませんが、ホットクックの場合はまぜ技ユニットを取り付けることで、加熱中に自動でのかきまぜが可能。このため、完成した料理に味むらができません。内ぶたに混ぜ技ユニットを取り付けていきます。


フタを閉めるとこんな感じでかき混ぜ棒が内鍋の中に伸びます。


食材を入れて平らにならします。


これでフタを閉めれば準備OK。調理メニューは本体パネルで以下のような感じで選択できますが……

「ホットクックKN-HW10E」を操作する様子はこんな感じ - YouTube


アプリのホーム画面をスクロールさせていくことで、さまざまなメニューのレシピを選べ、ここからホットクック本体にレシピを送信することも可能。作りたいメニューを選び……


「ホットクックに送信」を押します。


その後、本体パネルの「ダウンロードメニュー」を選択すると……


キーマカレーと表示されるので、あとは「スタート」を押すだけ。ユーザーが温度や時間を設定することなく、ホットクックが勝手に最適な調理を実行してくれます。


さらに、スタートボタンを押すと音声で「予約ボタンを押すと予約調理ができます」と教えてくれました。予約ボタンを押してみます。


こんな感じで、最大15時間後まで料理の完成時間を指定できるので、朝の家を出る前に帰宅時間を予約しておけば、家に帰ったタイミングで出来たてが食べられるわけです。なお、ホットクックは調理開始後すぐにいったん鍋内の温度を100度にまで上げるので、鍋内に生ものを入れても食材が傷むことはなく安心できます。自動調理メニュー63種類のうち、予約調理可能なのは記事作成時点で17種類です。


そしてアプリから予約時間の変更も可能。画面右上の「調理・保存履歴」タブから、調理中の「キーマカレー」を選択します。


「予約時刻の変更」をタップ。


以下の画面から料理の完成時刻を変更して「確認」を押すと……


「この内容で変更を送信しますか?」と聞かれるので「変更を送信」をタップ。これでクラウド経由で本体の予約変更が行われるわけです。


煮物やカレーなどを作っていると、火の番をする必要がありますが、ホットクックの場合は自動電気調理なので安心して仕事や家事など他の作業に取りかかれるのがすばらしいところ。「忙しさから料理の手間をできるだけ省きたい、でもおうちで作ったおいしいご飯が食べたい」という人のニーズをしっかり満たしてくれます。


加熱中の様子は以下から。本体後方の蒸気口から少し蒸気が上がりますが、稼働音などはほとんどありません。

調理中のホットクックの稼働音はほぼなし - YouTube


キーマカレーの加熱時間は25分。予約調理の場合は自動的に保温モードに移行してくれるので、外出していて帰宅が遅れても心配ありません。完成後に鍋の中を覗いてみると、混ぜ技ユニットが仕事をしてくれたためか、お肉が鍋の外側にちょっと寄っていました。


軽くかき混ぜておきます。


完成したキーマカレーはこんな感じ。


食べてみたところ、水を使っていないとは思えないほどの水分量。野菜から水分が出ているためか、全体的に野菜の甘さやまろやかさが感じられ、肉や野菜のうまみがぎゅっと濃縮されているのがわかります。


なすやパプリカといった野菜は信じられないほどにトロトロで、おうちのカレーとは一線を画した完成度。「このカレーが日常的に食べられるようになるというだけで買う価値がある……」とコメントされるほどの仕上がりで、手間を省けるという利点だけでなく、料理としての完成度も非常に高くなっています。


◆3:圧力鍋やスロークッカーと仕上がりはどう違う?
続いて、寒い冬に食べたくなるおでんに挑戦。大根5cm、じゃがいも1個、さつま揚げ・ちくわ各1個、ゆで卵2個、牛スジ、だし汁、しょうゆ、酒、みりんなどを用意。なお、レシピの材料は好みで調整できますが、練り物だけは煮込むと大きくなるので規定量を守る必要があります。


材料をいれる時には、だし汁や調味料が「水位MAX」の線を越えてしまわないように注意。


これも、アプリからレシピを送信して「スタート」を押せばOK。


おでんの加熱は1時間。


1時間が経つと音声で完成を教えてくれます。なお、予約調理以外のメニューは、完成後に手動で保温に移行する必要があります。


今回は保温せずすぐにフタを開けてみると、たしかに練り物はかなり膨らんでいました。少しだし汁から具材が出ていましたが、いずれの具材にもしっかりだしが浸みていることがが見た目からわかります。


お皿に入れてみました。


。圧力鍋やスロークッカーで大根を煮込むと「力を入れずにはしで切れる」ほどに柔らかくなりますが、ホットクックは圧力をかけたり長時間かけたりするのではなく、シンプルに煮込んでいるので、少し固さが残るのが特徴です。通常の鍋で1時間煮込むのとそこまで変わらない柔らかさとなっています。中まで味が染みているわけではありませんが、しっかりとだしの風味は感じられます。


牛すじ肉もトロトロ状態ではなく、柔らかい部分がありつつもプリッとした食感を残していました。


卵は「1時間でここまでしみるのか!」というほどしっかりとした味付け。調理が終了した後すぐに食べるのではなく、しばらく保温することで、さらに味の濃いおでんを楽しめそうです。


ちくわやさつま揚げといったねりものはしっかり味が染みてふわふわの食感。全体的にはお店で食べるような、あるいは買ってきたおでんのような仕上がりで、十分におかずになりそうな完成度でした。


◆4:同時に2品作れる「2段調理」を試してみた
1.0Lタイプのホットクックは付属の蒸しトレイを使うことで同時に2種類のメニューが調理できる「2段調理」が可能なので、それも実験してみます。今回はアプリのメニューから「さばのトマト煮&蒸し野菜」をチョイス。好きな野菜とトマト缶、サバ缶を準備します。


蒸しトレーに切った野菜を詰めて……


内鍋にはさば水煮と……


トマト缶、ミニトマト3つ、スライスオニオン50g、オリーブオイル大さじ1を投入。


あとはホットクックに内鍋を入れ、その上に蒸しトレイをセットします。


アプリからレシピを送信し、スタートボタンをプッシュ。加熱時間は25分です。


完成後、フタをあけて……


お皿に盛ってみました。


まずは蒸し野菜を食べてみたところ、カボチャははしで軽く押すだけで割れてしまうほどの柔らかさ。持ち上げるとホロホロと崩れてしまうくらいでした。ねっとりとした舌触りで、甘みが強いので、何も味をつけずとも野菜そのものの味で食べられます。


玉ねぎやパプリカもふわふわトロトロ。


ブロッコリーもはしで軽く切れる柔らかさで、「ブロッコリーのもそもそした食感が苦手」という編集部員でも、「これはおいしい」とコメントしていました。炊飯器で野菜を蒸すと、内鍋の底に水がたまって野菜が水っぽくなってしまいますが、蒸しトレイは底に穴が開いているので水分が下に落ち、トレイ内の野菜はふわふわに仕上がります。


野菜の仕上がりは以下のムービーから確認できます。

ホットクックの柔らか蒸し野菜はこんな感じ - YouTube


さばのトマト煮はもともとサバ缶を使用しているので柔らかいのは当たり前ですが、しっかり中まで熱々、ほくほくです。2品同時に調理できるのは手間・時間どちらの点でも確かに便利だといえます。このほか、公式レシピには「中華まん&スープ」「枝豆&肉豆腐」「チーズフォンデュ」といったメニューも並んでいました。


蒸し野菜に感動しつつ食べていた編集部員が、ぽつりと「炊飯器で作ったカオマンガイって煮込みに近くなるから鶏肉がパサつきがちだけど、これだと本物に近いカオマンガイが作れるのでは?」と呟いたので、やってみました。


完成したのがコレ。


食べてみたところ、確かに鶏肉は全くパサつかず、ぷりぷりでジューシー。また炊飯器のカオマンガイはご飯が妙に鶏くさくなりがちですが、ホットクックの場合はご飯の上に直に鶏肉を置いて調理するのではなく、蒸しトレイの上に置いて調理するため、鶏肉の肉汁をご飯が吸いつつも臭みなどは感じられず、よりお店の仕上がりに近いものを作ることができました。家で蒸し料理をするためには道具が必要ですが、道具いらずで野菜・肉の両方が蒸せるので、油を使わない蒸し料理が家庭で手軽にでき、健康を気にする人にもぴったりです。


◆5:55度の低温調理でステーキのおいしさを最大限に引き出してみた
そして、料理好きにとって活躍しそうなのが、発酵・低温調理メニュー。このメニューでは温度が35~65度までは1度刻み、65~90度までは5度刻みで設定できます。また加熱時間は16時間まで設定可能で、最初の1時間までは1分単位、それ以降は1時間単位で指定できます。このため市販のヨーグルトを種にヨーグルトが量産できるほか、お肉の実力を最大限に引き出す低温調理ステーキもできるとのことだったので、ステーキに挑戦してみました。まずはステーキ肉と、バター、にんにくを用意。


バター&スライスにんにくをステーキ肉にまぶすようにしてジップロックに入れ、水圧を利用して空気を抜きつつ封を閉じます。


手動メニューはアプリからの設定ができないので、本体パネルで「手動で作る」を選択し……


「発酵・低温調理する」を押します。


お肉を低温調理する際の温度はお肉の種類や厚み、仕上がりの好みにもよりますが、今回はミディアムレアを目指すので55度に設定。


矢印ボタンで1分刻みで時間の指定が可能なので、1時間にセットします。


1時間後、加熱が終了したお肉は少し茶色味を帯びています。


これを片面30秒ずつ、強火のフライパンで焼けば……


信じられないほどにジューシーなお肉が完成。通常、家でステーキを焼くと、固くなってしまったりパサつきができたり焼きむらが生まれてしまいますが、55度で1時間加熱することで全体に熱が通りむらなく仕上がっています。表面はカリッとしていますが、中は均一にしっとり。歯を立てた瞬間に肉汁がこぼれでるミディアムレアで、「おうちステーキ」という想像を逸脱する完成度です。


これは、肉に弾力が出て旨みが感じられるようになるミオシンの変性温度「50度」を低温調理が越えつつも、水の水分が抜けてパサつきだすアクチンの変性温度「66度」を越えないようにしているため。低温調理はお肉のおいしさを最大限に引き出した食べ方ができますが、低温調理器(真空調理器)は単体でも1~2万円であるため、ホットクックにこの機能が搭載されているのは非常に便利なところとなっています。


実際に使ってみたところ、普段の料理の手間を大幅に削減可能で、料理にこだわりたい人が手の込んだ料理を作れるだけの使い勝手のよさもあります。これまでのホットクックは幅があるデザインなのでキッチンを占領してしまうという難点がありましたが、収納しやすいサイズ&デザインになっているところもポイントです。一方で、小さめサイズゆえに「作り置き」には向かず、公式レシピを使うと「トマト缶半分」など食材が中途半端に余ってしまうこともありました。ただ、家庭で料理したい人であれば毎日の食生活がグレードアップするのは間違いないので、「作り置きがしたいのか、それとも当日分だけでいいのか」という所を見極めつつ選択するのがよさそうです。

なお、ヘルシオ ホットクック 1.0Lは記事作成時点でAmazonで税込4万4340円で購入可能となっています。

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in レビュー,   試食,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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