弱火で15分経過したら、その後、さらに中火で15分温めます。
……が、FLIR ONEで確認したところ、温度が150度でストップしていました。実はコンロに搭載される安全センサーが発動して途中で勝手に弱火に切り替わり、プレート裏面は高温なのに表面の温度が上がりきらないという事態になっていたのです。
そこで、安全センサーのないカセットコンロの登場。「焼き網を引いた方がプレートが均等に加熱されるのでは?」というアドバイスを受けて、今回は焼き網を敷いています。なお、岩塩プレートについては「使用中に割れた」という感想も見られたので、焼き網を敷いた方が安全ともいえます。
どーん
最初はとろ火にして、じわじわ15分過熱。
その後に少し火を強めて……
さらに15分。
どんな物でもかざすだけで温度測定して画像保存できる赤外線サーモグラフィ「FLIR i3」で測ってみたところ、ちゃんと温まっていました。なお、サーモグラフィがない人は水滴をプレートに2、3滴たらして反応をみるという方法や、プレートから2~3インチ(5~7.6cm)上に手をかざして5秒以上保てるか否かを確認するという方法で十分な温度かどうかを調べることができます。
プレートの表面に油を引き……
お肉を焼いていきます。このとき、プレートが高温であるためトングはプラスチック製のものではなく金属製のものを使う必要があります。
厚さ2cmの岩塩プレートでステーキを焼いてみた - YouTube
岩塩プレートの上にお肉を並べるとジュワーッといういい音が響きます。片面を2分焼き……
お肉を裏返し、もう片面を3分ほど焼きます。2枚焼いているうち、左側は油をまぶしたもので、右側はまぶしていないもの。仕上がりに差が出るかをみていきます。
ということでお肉をプレートから下ろして……
まずは油をまぶした方を食べてみたところ、「塩辛い」と感じることはなく、むしろ塩気は「ほのかに感じる」という程度。また、一般的な塩のようにとがったところがなくマイルドな塩気なので、「素材の味を引き立てる」「素材の味を楽しむ」という意味ではよい仕事をしているといえます。逆にいうと、調理する肉のレベルに仕上がりが左右されそうな印象でした。今回は脂の少ないオーストラリア産のサーロインを調理したのですが、遠赤外線効果からか、しっかり中まで火が通っているにも関わらず、肉質が柔らかく、じゅわっと肉汁あふれるジューシーな仕上がりになっていました。
油をまぶさなかった方も食べてみたところ、違いはさほどなし。なお、表面2分、裏面3分で仕上げたところウェルダンとミディアムの間くらいだったので、レアが好きな人は焼き時間を調整すればOKです。
調理後、大理石のような美しさだった岩塩プレートは肉を焼いていたところが黒く変色。使用直後はプレートが高温になっているので、しばし放置して冷まします。だいたい1時間後ぐらいには50度以下になり、手で処理できるようになりました。
よく見る表面にはくっきりとヒビが入っていました。このヒビは裏側まで貫通していたので、「調理中にプレートが割れた」というのも納得です。
説明書きやYouTubeのムービーでは「ぬれたスポンジでこする」という掃除方法が紹介されていたのですが、ぬれた状態のプレートを再加熱すると割れる危険性があるので、焼き網・鉄板クリーナーを使ってみます。Amazonでも取り扱いがありますが、100均でも購入できました。
ヘラの部分で焦げ付きをざっくりとって……
金属ブラシでごしごしこすっていきます。岩塩を削っていってくれるため、特にこの金属ブラシの部分は焦げ取りとして優秀でした。
清掃後はこんな感じ。だいぶ元の姿を取り戻せていますが……
やはり表面に大きく入った亀裂が気になるところです。
清掃によって表面が削り取られ、より塩味が強くでるようになったのでは?ということを確かめるべく、再び弱火15分・中火15分で加熱。
お肉を焼いていきます。今回は半分にカットして1つを油でコーティング、もう1つを油なしにしています。プレート自体に油は敷いていませんが、1度目の油が残っていたのか、加熱によって表面に油が浮いてきていました。
ステーキが完成。
いずれも一度目に比べるとしっかりと味がついていますが、油あり・油なしで食べ比べてみたところ、はっきりと差が感じられ、複数の編集部員に食べてもらったところ「油なしの方がいい感じに塩気がついている!」という意見で全員一致。
さらに焼き肉用のロース、バラ肉も買ってきました。
清掃プロセスを挟まず、そのままの岩塩プレートで焼き肉をスタート。
比較用にフライパンでも味つけなしの調理をしてみました。
ジュワジュワといい感じで焼き目がついていきます。
ということで、岩塩プレートで焼いた肉(左)とフライパンで焼いた肉(右)で食べ比べ。
すると、分厚いステーキを焼いた時よりも薄めの焼き肉の方が塩気が感じられ、まろやかで絶妙な塩加減に「これはうまい!」と声があがりました。何ターンか焼いてみたのですが、回を重ねるごとに塩気が際だってきたので、少しの焦げ付きは気にせず連続で焼いてOKの様子。比較用の焼き肉と比べるまでもなく、しっかり味つけされています。
さらに、トマトや玉ネギも焼いてみました。
……が、水分量が多い野菜は焼いているうちにプレートを溶かし、塩を吸ってしまうので、かなり塩辛くなる印象。ただし、塩辛いといってもまろやかな塩気なので、食べやすくはありました。
岩塩プレートが温かい状態でも清掃できるか?と試してみたところ、油汚れが粘着質でうまく取れなかったので、やはり清掃はいったん冷ましてからがオススメです。目立った焦げ付きだけを落として……
今度はサーモンを焼いてみます。
サーモンも表面から中まで柔らかく、ふっくらジューシーに仕上がっています。 ですがサーモンも分厚かったためか、脂が多かったためか、「絶妙」というほどにまでは味がつきませんでした。やはり薄めにスライスしたものの方が向いていそうです。
続いて、水分が多い野菜は塩気が強くなりすぎる、ということで、野菜自体に油をまぶしてから焼いてみました。スライスする厚みにもよりますが、今回は片面1~2分ずつ。
すると、さきほどよりもトマト・玉ネギともに塩気がきつくなく、お酒のつまみになりそうな絶妙な塩加減。特にトマトは甘みと塩気のバランスが「このままトマトソースとして使えるのでは?」と思ってしまうほどで、調理方法によっては野菜の甘み・旨みを引き出しておいしく食べられそうです。
アスパラも味つけなしでおいしく食べられます。
そして「焼きおにぎりが食べたい」という編集部員の声にこたえて、表面に油をぬったおにぎりで実験してみましたが……
これは失敗。ご飯の粘り気ゆえ、裏返した瞬間に味が付いている部分がはがれてしまいました。かつ、醤油が使えないので辛うじて味がついている部分も「ただの塩にぎり」の範囲を出ず、プレートを使う意味はあまりないかな、という感想。
あんなにもピンク色に輝いていた岩塩プレートでしたが、グリルの数々を経た後には数々の戦火をくぐりぬけた戦士のような面構えに……。
……が、クリーナーでごしごしすれば、このくらいにまではピンクさを取り戻せます。
裏面をひっくり返してみると、垂れた油でどろどろでしたが……
これも清掃後、ここまでピンク色に戻りました。
ここまできて、焼き網を使えば、もしかしたらコンロでもうまく加熱ができるかも……という気がしてきたので、実験してみますが……
やはり裏面が250度に達した時点で温度センサーが反応してしまうため、表面も200度以上にあがりません。ただし編集部のコンロはセンサーの反応温度を一定の条件下で290度まで上げてくれるモードがあったのでやってみたところ、なんとか240度までは上げることができました。コンロの種類や五徳の高さなどにも左右されそうなので、これは自宅で実験してみるしかないかも。
いったんクリーニングしてしまったので、オイルを塗った玉ネギなどを焼いて、なじませます。
そして今度は国産牛のサーロインをそのままで焼いていきます。オーストラリア牛のステーキは付属のハーブをまぶしたのですが、「塩気がハーブに負けている気がする……」というコメントがあったためです。
薄めのステーキ肉なので、表面1分、裏面1分、もう一度表面30秒焼いてみると……
いい感じのミディアムに。塩加減もこれまでで最高レベルで、肉本来の旨みがまろやかな塩で引き立てられていて、お店で食べるステーキのよう。つまり、「いきなり肉を焼かず、油をまぶした野菜を焼いてプレートをなじませる」「肉には油をまぶさない」「やや薄めの肉を選ぶ」ということが、この岩塩プレートのポイントだったようです。
さらに、クリーニングして常温に戻した岩塩プレートを冷蔵庫で30分冷却。
さらに冷凍庫で30分冷却し、マイナス5.3度のところまで冷却してみました。
アイスやフルーツを盛れば、オシャレなデザート用の器としても使えます。水気が多いとどんどん具材の塩気が強くなりますが、「パイナップルなど水気の多い果物を避ける」「作ったら即食べ」を守れば、ほどよく甘じょっぱいデザートが楽しめそうでした。