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学校の図書館が学生の幸福に貢献している5つの役割とは?


アメリカ国立衛生研究所の調査によれば、世界の若者の5人に1人がメンタルヘルスの問題を経験している可能性があるとのこと。特に、2020年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行によって、生活習慣が大きく変わり、学生のメンタルヘルス問題は一層深刻化しています。そんな中で、学校の図書館が学生のウェルビーイングのために果たしている5つの役割を、エディスコーワン大学教育学部の上級講師であるマーガレット・クリスティン・メルガ氏が解説しています。

A place to get away from it all: 5 ways school libraries support student well-being
https://theconversation.com/a-place-to-get-away-from-it-all-5-ways-school-libraries-support-student-well-being-145180


◆1:安全な場所を提供する
近年では、学校の図書館は会議の場やスポーツ用品の保管場所など、多様な目的に対応することが期待されています。そして、学校の図書館は単に多目的なスペースとしてだけでなく、「悩む学生の避難所」としても活用できるとメルガ氏は述べています。


ポジティブかつ安全で協力的な学校環境を作ることは、学生の学問的・感情的・社会的需要を満たすのに役立ちます。メルガ氏は「いじめの被害に遭っていたり、学校環境との相性に悩んだりしている学生にとって、学校の図書館は避難所として十分機能します」と指摘しました。

◆2:ヘルスリテラシーのスキルを向上させる
ヘルスリテラシーとは、健康情報を適切に検索し、評価しながら有効活用していく能力のこと。しかし、2017年に行われた調査では、学生はインターネットで情報を検索することは優れていても、得られた情報の信頼性を評価することについては不十分だったそうです。COVID-19については特に多くのデマがインターネット上に出回っていることから、学生にとってヘルスリテラシーの向上が必要であるとメルガ氏は主張しています。


学校の司書や図書館職員は情報を処理する専門家であり、教職員や学生の情報処理をサポートすることも仕事の一部です。メルガ氏は「学校の図書館は、学生のヘルスリテラシースキルを構築し、オンラインの健康情報を評価するのに役立ちます」と述べました。

◆3:ウェルビーイングのためのリソースを提供する
学校の図書館は、さまざまな悩みを抱えている学生にとって、「今自分が何に悩んでいるのか」「どうやって助けを得られるのか」を理解するためのリソースを備えている施設です。図書館の司書は学校の教師やカウンセラーと協力しながら、学生が最新で質の高い情報を確実に入手できるように、本や雑誌などのリソースを収集して整理し、共有します。そのため、学生は図書館でウェルビーイングを向上させるような情報を確実に得られるというわけです。

また、学校の図書館は学生だけではなく、周辺地域のメンタルヘルスリテラシーを向上させるという研究結果も報告されています。

◆4:読書習慣をサポートする
子どもの識字能力とウェルビーイングには関連性があり、より高いレベルの精神的幸福を実現するためには読書が重要であることが報告されています。また、2019年の調査では、学生は図書館を訪れることで読書へのモチベーションが向上することがわかっています。


ただし、学生は授業や部活などのカリキュラムで忙しく、学校に立派な図書館があっても定期的に訪れるとは限りません。メルガ氏は、「学生が図書館へアクセスする機会は、学校側が確実に提供する必要があります」と主張しました。

◆5:読書によるメンタルヘルスケアを奨励する
また、読書体験の内容が学生のメンタルヘルスを向上させることが近年指摘されており、本を読んで物語に触れることで学生の心の問題を解決しようという「Bibliotherapy(読書療法)」も検討されているとのこと。学生が抱えている問題に対応した本を提供できるのは、本に関する知識を多く抱える司書の利点といえます。


「学校の図書館は維持費と人件費が多くかかります。そのため、学校経営の上で図書館関連はしばしば予算削減の憂き目に遭っています」とメルガ氏は指摘し、「学校の図書館に必要なスタッフと資料がなければ、生徒のウェルビーイング向上をサポートできなくなる可能性もあります。貴重なリソースを最大限に活用できるように、学校の図書館と職員が生徒のウェルビーイングにどのように貢献しているのかをよりよく理解する必要があります」と述べました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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