キッチン容器から最後の一滴まで液体が落ちきるのにどれくらい時間がかかるのかを流体力学で解明

「調味料や油を最後の一滴まで使いたい」と考えて、逆さにした容器から液体がしたたり落ちるのを辛抱強く待った経験がある人はいるはず。この待ち時間は実際のところどれくらいになるのか、流体力学の観点から解き明かした研究者が現れました。
Thin film flow in the kitchen | Physics of Fluids | AIP Publishing
https://pubs.aip.org/aip/pof/article-abstract/38/3/033603/3381823/Thin-film-flow-in-the-kitchen

How long does it take to get last liquid drops from kitchen containers? These physicists know the answer | Brown University
https://www.brown.edu/news/2026-03-04/kitchen-fluid-dynamics
研究を行ったのはブラウン大学の博士課程学生トーマス・ダッタ氏と物理学教授ジェイ・タン氏。きっかけはタン氏が日常的に行っている生物物理学の実験でした。タン氏は細菌の動きについて研究していたのですが、この研究には流体力学的な理解が必要であり、ダッタ氏がこの分野を習得する必要が生じました。
そのため2人は研究室での実験だけに焦点を当てるのではなく、より身近な物理現象について考えることにしました。そこで着目したのがキッチンでよく起きる物理現象でした。
ダッタ氏には祖母が容器から最後の一滴まで出そうと執着していたという記憶が、タン氏には中華鍋を洗った後に残る水をどう処理するのかと疑問を抱いた経験があったため、これらの現象を流体力学的に解明する研究を開始。流体の運動を記述する「ナビエ–ストークス方程式」を用いて、粘度の異なる液体が斜面をどれくらいの時間で流れ落ちるかを予測しました。理論計算に加えて、45度に傾けたプレートの上で液体を流す実験も行いました。

実験結果は理論計算をおおむね裏付けるもので、さまざまな粘度の液体における排出時間を推定することができました。例えば水の場合、全体の90%が流れ出るまでに数秒しかかかりません。一方で冷たいメープルシロップの場合は最大で数時間かかる可能性があります。待ち時間は液体の粘度によって大きく変わり、牛乳のように比較的粘度が低い液体の場合は約30秒、オリーブオイルのように粘度が高い液体では9分以上かかります。
ダッタ氏はタン氏の中華鍋問題にも同様の計算を適用しました。タン氏は油膜の維持のため鍋を洗った後に布では拭かないようにしているそうですが、ぬれたままにしておくと錆びる可能性があるため、洗った後は数分待って水が底に集まるのを待ってからもう一度水を捨てるようにしているとのこと。この「水が集まる時間」を方程式で導き出したところ、約15分待てば良いことが分かったそうです。

タン氏は「驚きましたし、正直少しがっかりもしました。私はいつも1〜2分しか待っていませんでしたが、実際にはもっと辛抱強く待つ必要があるようです」と述べました。
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in サイエンス, Posted by log1p_kr
You can read the machine translated English article Fluid dynamics are being used to determi….







