サイエンス

流体力学を活用して「完璧なクレープの作り方」を導き出した物理学者が登場

By Dream79

フライパンでおいしいクレープを作ろうとしても、火が均一に通るような均等な厚さのクレープを作るのは難しいもの。そんなクレープ作りについて、流体力学を専門とする物理学者が、自分の頭脳とコンピューターシミュレーションを駆使して、「完璧なクレープの作り方」を導き出しました。

Phys. Rev. Fluids 4, 064802 (2019) - Pancake making and surface coating: Optimal control of a gravity-driven liquid film
https://journals.aps.org/prfluids/abstract/10.1103/PhysRevFluids.4.064802

Physics - Synopsis: Making the Perfect Crêpe
https://physics.aps.org/synopsis-for/10.1103/PhysRevFluids.4.064802

How to make the perfect crepe, according to physics | Science News
https://www.sciencenews.org/article/computer-model-physics-cooking-perfect-crepes

研究の著者であるニュージーランド・カンタベリー大学のマシュー・セリアー教授は自身の妻のクレープが不均一であることに不満を表明したところ、妻は流体力学者であるセリアー氏自身こそ「クレープ問題」を解決できることを指摘しました。セリアー教授はこの問題を解決するため、同じ流体力学者の同僚のエドワール・ブジョー氏とタッグを組み、問題を解決するためにフライパンで調理したクレープのコンピューターシミュレーションを作成しました。

By AboutImages

このシミュレーションは、鍋の向きと温度、そして温度が加わったときのバッター液(クレープのもと)の粘度や厚みの変化などを演算してくれるというものです。セリアー教授とブジョー氏はこのシミュレーションを元に、随伴最適化という数理手法を駆使してクレープを均一にする手法を解析しました。

セリアー教授とブジョー氏が導き出した最適なクレープの作り方は以下。

1.熱したフライパンの中央にバッター液を注ぎます
2.フライパンを一方向に大きく傾け、注いだバッター液の大部分をフライパンのへりに移動させます
3.傾斜したフライパンを円を描くように傾け、バッター液を薄く伸ばします
4.フライパンの傾斜角度を徐々に引き下げ、気泡を埋めつつ火を通して完成

By Alex9500

発表された研究は「パンケーキ作成と表面加工:重力によって動く液体膜の最適な制御」と題され、アメリカの物理学の専門誌として最高の権威を誇るフィジカル・レビューの流体力学版掲載されました。この研究はクレープのみにとどまらず、太陽電池や回路基板のコーティングなどにも役立つことが期待されています。また、タイトルは「パンケーキ」となっていますが、これは著者がフランス人のためだとみられ、論文では主にクレープについて言及されています。

ブジョー氏は自身が開発した理論について「クレープ作りに必須ではないが役に立つ」と主張しており、「理論を確認するための検証実験によって焼き上がったクレープは娘たちを喜ばせました」とコメントしています。

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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