ハードウェア

1949年のトースターが未だ「最高峰のトースター」である理由とは?


「食パンをおいしく焼く」をコンセプトとしたトースターはいくつも存在し、その機能は年々進化していますが、「1949年に発売された垂直型のトースター」がトースターの最高峰という声があります。「Sunbeam Radiant Control Toaster」というトースターがなぜ優れているのかを、技術系ライターのSean Hollisterさんが解説しています。

Why a toaster from 1949 is still smarter than any sold today - The Verge
https://www.theverge.com/22801890/sunbeam-radiant-control-toaster-t20-t35-vista

The Antique Toaster that's Better than Yours - YouTube


SunbeamのエンジニアであるLudvik J. Koci氏が1948年に発明したトースター「Sunbeam Radiant Control Toaster」は、ボタンもレバーもなく、「スロットにパンを入れると自動的に完璧な焼き加減のトーストが完成する」というもの。見た目は以下のような感じで、メタリックな垂直型トースターです。


上から見るとこんな感じ。2つのスロットに各1枚のパンを入れる形。


パンはスロットの奥にまで沈んでいき……


トーストが完成した時には跳ね上がるのではなく、ゆっくりとパンが上昇していきます。


このトースターの特徴は、人が焼き時間を設定しなくとも、トースターが自動的に最適な焼き上がりを認識してトーストを完成させてくれる点にあります。これはトースター内部に搭載される機械式サーモスタットが焼き上がりを検知して自動的に加熱を停止してくれるためです。

具体的にいうと、トースター内部には「熱膨張係数の異なる2枚の合金薄板を張り合わせ、各合金の伸びの違いによって金属を曲げる」というバイメタルが設置されていて、トーストからの放熱によって曲がった金属板がスイッチを切るようになっているという仕組み。また加熱ワイヤーが冷えて収縮すると、パンが上に持ち上がるという機械的な連鎖反応が起こるようになっているのもユニークな点といえます。非常にシンプルな仕組みのためメンテナンスも簡単で、トースターがうまく動かなくなってもワイヤーのテンションを調整するだけで再び問題なく動作するようになるそうです。


トーストはパンが常温・冷蔵・冷凍のいずれの状態であっても行えるとのこと。さらに、焼き目を強くしたい場合は、飛び出したパンが少し冷めてからもう一度スロットに押し込むだけでOK。一般的な「焼き時間を追加する」という方法だとうっかりパンを焦がしてしまうことがありますが、Sunbeam Radiant Control Toasterの場合は前述のサーモスタットのおかげでパンが真っ黒になってしまうことはないそうです。

デメリットとしては、焼き上がりまでの時間を事前に知ることができないこと、ベーグルなど中心に穴のあるパンはサーモスタットがうまく働かないため焼けないこと、分厚いパンはスロットに収まらないことなどが挙げられます。


すでにSunbeam Radiant Control Toasterは販売が停止されているので、購入する場合はビンテージをeBayなどで探すことになります。実際にビンテージのSunbeam Radiant Control Toasterを購入して使ったHollisterさんは、「外側がカリカリ、中がしっとりふわふわ」の完璧なトーストが完成したことを報告。Hollisterさんは「パナソニック コンパクトオーブン」も所有していますが、Sunbeamのトースターとは焼き上がりが全く異なるとのこと。また「水蒸気を加えることでパンの内部に水分を保ちつつ表面を黄金色に仕上げる」という高級トースター「バルミューダ スチームオーブントースター」を使ったことはないとしつつ、「垂直型のトースターを使って短時間で外側をカリカリに焼く方がより解決策としてはエレガントではないか」と述べました。

当時は22.50ドル(2021年の価値で260ドル/約3万円)ほどで販売されていたSunbeam Radiant Control Toasterですが、記事作成時点ではeBayで平均130ドル(約1万5000円)で購入できるとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ガスコンロで使うポルトガルの伝統パン焼きトースター「ギマランイスイホーザ」でいろんなパンを焼いてみました - GIGAZINE

月に1度だけ限定の超高級食パン、山崎パン「ゴールドソフト」を食べてみた - GIGAZINE

表面はサクッ、中身はフワッ、たった1分で中まできっちり染み渡るフレンチトーストを作ってみました - GIGAZINE

お店レベルのフレンチトーストが完成する「大好き! フレンチトースト」で実際にいろいろ作ってみました - GIGAZINE

世界で最も高くパンを跳ね上げるトースター - GIGAZINE

in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.