サイエンス

雨上がりに発生する独特のにおいの原因をハイスピードカメラで水滴を観察することで科学的に解明


MITの学者が水滴が地面に落ちる様子をスローモーションムービーで撮影して解析することで、大雨が降った後に独特のいやなにおいがするメカニズムを突き止めています。

Rainfall can release aerosols, study finds | MIT News
http://newsoffice.mit.edu/2015/rainfall-can-release-aerosols-0114

雨粒から発生するにおいの原因は以下のムービーで解説されています。

Rainfall can release aerosols, high-speed video shows - YouTube


雨が降った後、晴れて気温が上がってから独特のにおいが漂うことがよくあります。


MITのカレン・ブイー博士は、この香りが漂う現象のメカニズムを解明しました。それは、気体を溶媒として微粒子が漂うエアロゾルが原因でした。


シャンパンの泡のように、液体溶媒に気体が漂うのがゾルですが、溶媒が気体・溶質が固体の組み合わせのものはエアロゾルと呼ばれます。


ブイー博士は、ハイスピードカメラを使って雨水が多孔質のアルミナ表面に落下したときにどのような現象が起こるのかを観察しました。


着地した水滴は波紋を広げながら形を変えます。


波紋が収まると、波打った表面が次第に平らになってきます。


そして、波紋が消えるとともに極小サイズの泡の粒「エアロゾル」が表面から出てくることが確認できました。


水滴を拡大するとこんな感じ。左が多孔質アルミナに、右が多孔質な土に落ちる水滴です。


落下。


アルミナよりも凹凸の多い土のほうが水滴は乱雑に広がるようです。


そして、アルミナ・土の両方でエアロゾルが発生。


雨粒が落下して発生したエアロゾルが自然環境では風によって流され漂うとのこと。そして、雨が降った後のいやなにおいの原因は、エアロゾルの溶質として土壌の微生物が空中に放出されるからだとブイー博士は考えています。


このエアロゾルが空中を漂うメカニズムによって、病原性大腸菌の発生を説明できる可能性があるとのことです。


ブイー博士は機械工学が専門で微生物学は専門外とのこと。しかし、ブイー博士によるエアロゾル現象の発見は、日常生活の何気ない現象にも自然法則が作用しているはずと考えそのメカニズムを調べてみることで、まったく違う新たな知見が発見されるという良い例と言えそうで、科学者の持つ旺盛な探求心には思わず脱帽してしまいます。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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