MozillaがYouTubeの動画推奨アルゴリズムを調査するために専用アドオンをリリース
ウェブブラウザ・Firefoxを展開するMozillaが、「YouTubeのオススメ動画欄に出てきた不適切な動画」を報告できるFirefox・Chromeブラウザ向けのアドオン「RegretsReporter」をリリースしました。このアドオンはYouTubeが動画を推奨するアルゴリズムがどのように機能するのかを理解し、推奨される動画のパターンを見つけ出すことを目的としています。
Mozilla Foundation - Mozilla is Crowdsourcing Research into YouTube Recommendations
https://foundation.mozilla.org/en/blog/mozilla-crowdsourcing-research-youtube-recommendations/
Mozilla wants your help to fix terrible YouTube recommendations - The Verge
https://www.theverge.com/2020/9/17/21436240/mozilla-browser-extension-youtube-crowdsource-recommendation-algorithm
Mozillaのアドボカシー・エンゲージメント担当ヴァイスプレジデントであるアシュリー・ボイド氏は、YouTubeが「パンデミックの陰謀から政治的な偽情報まで、有害なコンテンツをユーザーに推奨してきました」と公式ブログで指摘。YouTubeのアルゴリズムは、普段は無害な動画を視聴しているユーザーに不適切な動画を推奨して、悪影響を与える危険があるとのこと。
2019年、MozillaはYouTubeのアルゴリズムがユーザーに勧めた不適切な動画に関する独自調査の結果を発表しました。調査結果では、あるユーザーが「ヴァイキング」について検索したところ「白人至上主義」に関する動画がオススメされた事例や、「失敗」について検索したところ「命に関わる自動車事故」の動画が表示された事例が報告されています。
ボイド氏は、YouTubeの動画推奨アルゴリズムはインターネット上で最も影響力があるキュレーターの1つであり、多くの人々がYouTubeに推奨された動画を見て、物事の認識や理解を形成していると主張。YouTubeはコンテンツの推奨アルゴリズムの改善を行っていると主張しているものの、その主張を大規模に検証する試みは行われてこなかったと述べています。
そこでMozillaは、YouTubeが「残念なコンテンツ」を推奨してきたときMozillaに通知できるアドオン「RegretsReporter」をリリースして、YouTubeを利用するユーザーに推奨アルゴリズムの監視を行ってもらう仕組みを発表しました。
ユーザーは推奨アルゴリズムが不適切な動画をオススメしてきた場合、アドオンを通じてレポートを送信することが可能です。レポートとともにYouTubeを視聴した時間は送信されますが、情報はYouTubeのアカウントにはリンクされず、ランダムに生成されたユーザーIDにリンクされるため、データから個人を特定することはできないとのこと。どの動画を視聴したか、どういった検索フレーズを使っているかなども送信情報には含まれません。また、データにアクセス可能なのはMozillaだけだそうです。
ボイド氏は、人種差別や暴力、陰謀論に関するコンテンツが推奨される傾向や、有害なコンテンツの重大度に関するパターン、特定のYouTubeの使用方法が有害コンテンツの推奨頻度に与える影響などを調べることで、研究者はジャーナリスト、政策立案者、さらにYouTubeのエンジニアがより信頼できるシステムを構築する上で役立つと主張しています。MozillaはGoogleやYouTubeと正式な取り決めを交わしていませんが、すでにボイド氏はYouTubeと連絡を取って情報の共有に取り組んでいるとのこと。
YouTubeの広報担当者は海外メディアのThe Vergeに対し、YouTubeは推奨アルゴリズムの調査に興味を持っているとコメント。その一方で、YouTubeは継続的にアルゴリズムを更新しているため、事例を基にした結論を導き出すのは難しいと指摘しています。また、「残念なコンテンツ」の定義も明確になっておらず、Mozillaの方法論には疑問の余地があると主張しました。
「RegretsReporter」は、以下の公式サイトからブラウザにインストールできます。
Mozilla Foundation - Regrets Reporter
https://foundation.mozilla.org/en/campaigns/regrets-reporter/
「RegretsReporter」はFirefox版とChrome版が提供されています。Firefox版のアドオンをインストールするには、「Add to Firefox」をクリック。
すると、アドオンのインストールページが開きました。「Firefoxへ追加」をクリック。
「追加」をクリックすると……
アドオンのインストールが完了し、フキダシの形をしたアイコンが追加されました。
YouTubeのアルゴリズムが不適切な動画をオススメしてきた場合、アイコンをクリックして「Report Video & History」をクリックすればMozillaにレポートを送信できます。
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