YouTubeは1日に9万本・計820万本のムービーを規約違反で公開停止、大半がアルゴリズムによる自動停止
プラットフォーム上に投稿される規約違反ムービーへの対策を進めているYouTubeが、ガイドラインの規約に沿って実際にムービーを公開停止した実態をまとめた四半期レポート「YouTube Community Guidelines enforcement」を初めて公表しました。公開停止対象の判定は自動化システムと人間のスタッフによって行われており、828万件あまりのムービーを実際に排除した実態などが明らかにされています。
YouTube Community Guidelines enforcement – Google 透明性レポート
https://transparencyreport.google.com/youtube-policy/overview
レポートによると、2017年10月から同年12月までの間にYouTubeのガイドライン違反で公開停止されたムービーは828万4039本に上るとのこと。単純計算で1日あたり約9万2000本ものムービーが取り締まりの対象になっているという驚きの実態ですが、これにはアルゴリズムによって自動で内容を判別してフラグを立てる自動検出システムが大きな役割を果たしています。この自動検出によって公開停止されたムービーは668万5731本で、公開停止されたムービー全体の80%を占めています。
自動検出以外の方法、つまり人間の手によって排除されたムービーは159万8308本。このうち、最も多くのムービーの公開停止に寄与したのは、第三者機関の専門家が協力者として参画した「Trusted Flagger」で、全体の70%を占めています。以降は、一般の個人ユーザー(25%)、NGO団体(4%)、政府機関(1%)となっています。
驚くことに、排除されたムービーの75.9%は実際に再生されることなく公開停止されてしまっているとのこと。この迅速さは人の手ではとても実現できないものであり、これこそが自動検出システムの功績であるといえそう。
YouTubeに寄せられた報告(フラグ)の数を提供元ごとに分類すると、一般ユーザーから最も多くの報告が寄せられていることがわかります。寄せられた報告の総数は約932万件と、実際の公開停止数よりも多くなっていますが、これは1本のムービーに重複して報告が行われることが原因であるとのことです。
報告が寄せられた件数を国ごとに分類すると、上位からインド、アメリカ、ブラジル、ロシアなどの国がランクインしています。
人間の目による報告の理由の内訳は以下のとおりで、性的なもの(30.1%)、スパムおよびミスリード(26.4%)、ヘイトおよび虐待(15.6%)、暴力および不快物(13.5%)など。なお、これらは人間の判断によるものであるため、同じムービーに対して異なる理由がつけられている場合もあるとのこと。
レポートでは、実際にどのような理由で誰から報告が寄せられ、どのような対応が採られたのかという情報も公開されています。中には「暴力的である」という理由で一般ユーザーから報告を受けたものの、実際にはK-popグループのプロモーション映像(PV)であり、規約に反する暴力的な表現ではないとして公開停止要請が却下された様子などが記載されています。
YouTubeでは今後も問題のあるコンテンツに対する取り組みを進めると同時に、このレポートの内容をブラッシュアップして提供を続けるとのことです。
・関連記事
GoogleとFacebookが過激派の動画を止めるために自動ブロックを使用 - GIGAZINE
GoogleがYouTube上の人気ムービーの内容精査を計画中、ローガン・ポールの二の舞を避ける - GIGAZINE
YouTubeで機械学習システム導入により「暴力的過激主義」動画の75%がユーザーからの指摘以前に非公開へ - GIGAZINE
YouTubeのAIが資料価値のある戦争犯罪ムービーを「過激派の動画」として削除 - GIGAZINE
Twitterがテロ関連のアカウント120万件を停止、大半は初ツイート前にBANすることに成功 - GIGAZINE
「セクシーにバナナを食べるライブストリーミング」が中国で禁止される - GIGAZINE
・関連コンテンツ