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新型コロナのワクチン試験が「脊髄の問題」で中断、アストラゼネカは「患者は早期退院可能」と発表


イギリスの製薬会社アストラゼネカが開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ChAdOx1 nCoV-19(AZD1222)」の臨床試験が、予期せぬ症状の発生により中断された問題で、アストラゼネカは「症状は脊髄の炎症性疾患だった」と発表しました。同社によると、症状が見つかった女性は回復しており、すぐにも退院することが見込まれているとのことです。

AstraZeneca CEO says participant had neurological symptoms, could be discharged today
https://www.statnews.com/2020/09/09/astrazeneca-covid19-vaccine-trial-hold-patient-report/

アストラゼネカは2020年7月に、イギリスのオックスフォード大学と共同開発したCOVID-19ワクチン「AZD1222」を発表。免疫獲得率が100%と有望で深刻な副作用も見られなかったため、8月下旬から大規模な第III相臨床試験を開始していました。

しかし、現地時間の9月8日に臨床試験に参加していたイギリス人女性が「説明できない症状」を呈したことから、臨床試験は一時中断されました。アストラゼネカの臨床試験で問題が発生したことが判明したのは、アストラゼネカを含む製薬・バイオ企業ら9社がワクチンの安全性や厳格な臨床試験の実施を最優先にする方針などを確認した共同署名を公開した同日のことでした。

新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が「副作用が疑われる事例が発生した」として一時中断 - GIGAZINE


アストラゼネカのパスカル・ソリオCEOは9月9日に、投資家向けに行った電話会議で「(問題の症状を起こした)イギリス人女性の症状は、横断性脊髄炎という極めて珍しくかつ深刻な脊髄の炎症性疾患と一致する神経学的症状を有していました」と報告しました。また、アメリカ国立衛生研究所のフランシス・コリンズ所長も同様の見解を示しています

ソリオ氏の報告によると、女性の診断はまだ確定していないものの、症状は改善されていることから、早ければ9日中にも退院する可能性が高いとのことです。


また、ソリオ氏は電話会議の中で、アストラゼネカの臨床試験は7月下旬にも神経障害の発生により停止されたことがあったことを明らかにしました。後の調査により、試験中断の原因となった症状は多発性硬化症と診断されましたが、ワクチンとは無関係だと考えられているとのことです。

電話会議に出席した投資家は、医療情報専門のニュースサイトSTATに対し「ソリオ氏の声明は投資家を安心させ、同社の株価への影響をなくすことを意図したものだった」と話しました。


またSTATは、アストラゼネカが7月下旬にも臨床試験が停止されていた問題を公にしていないと指摘。「これまでのところ、アストラゼネカの試験停止に関する公式声明は、詳細が疎かになっています。例えば、同社は参加者の健康状態を調査するために試験が中止されたのが今回で2回目であることを公式に発表していません」と非難しました。

STATによると、アストラゼネカの第III相臨床試験がいつまで停止されるかは明らかになっていないとのことです。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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