サイエンス

新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で「被験者全員が抗体を獲得した」と確認される


現地時間2020年7月14日、アメリカのバイオテクノロジー企業のModernaが、アメリカ国立衛生研究所と共同で開発を進めてきた新型コロナウイルスワクチン「mRNA-1273」の第一相試験に参加した被験者全員が免疫反応を獲得したと発表しました。新型コロナウイルスの感染を予防できるレベルの免疫かどうかは現段階では不明とのことですが、今回の研究結果は「有望」と報じられています。

An mRNA Vaccine against SARS-CoV-2 — Preliminary Report | NEJM
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2022483

Moderna Announces Publication in The New England Journal of Medicine of Interim Results From Phase 1 Study of Its mRNA Vaccine Against COVID-19 (mRNA-1273) | Moderna, Inc.
https://investors.modernatx.com/news-releases/news-release-details/moderna-announces-publication-new-england-journal-medicine

Moderna Announces Publication in The New England Journal of Medicine of Interim Results From Phase 1 Study of Its mRNA Vaccine Against COVID-19 (mRNA-1273) | Business Wire
https://www.businesswire.com/news/home/20200714006042/en/Moderna-Announces-Publication-New-England-Journal-Medicine

Moderna shares jump as much as 16% after company says its coronavirus vaccine trial produced 'robust' immune response
https://www.cnbc.com/2020/07/14/moderna-says-its-coronavirus-vaccine-trial-produced-robust-immune-response-in-all-patients.html

今回Modernaが発表したのは、開発中の新型コロナウイルスワクチン「mRNA-1273」の第一相試験(フェーズ1)の中間結果です。この第一相試験では、18歳~55歳の45人の健康な被験者を対象に、各グループごとにそれぞれ25µg(マイクログラム)、100µg、250µgを投与し、各被験者の体内にウイルス感染を防ぐ免疫機能を持つ「中和抗体」が産生されるかどうかを確認しました。

この第一相試験は「世界初のヒト臨床試験」として、大きく報じられていました。

新型コロナウイルスワクチンの世界初のヒト臨床試験がスタート - GIGAZINE


研究チームは、1回目の投与後には被験者の約半数で中和抗体が産生されたことを確認し、2回目の投与後には全ての被験者で強力な中和抗体が産生されたことを確認しました。さらに、100µgの投与を受けた被験者の体内で産生された中和抗体は、新型コロナウイルス感染症の回復患者(重症からの回復患者を含む)の血清にみられる中和抗体に比べて、約4.1倍のレベルに達していたとのこと。この中和抗体の持続性について、研究チームは1年間の追跡調査を行う予定としています。

「mRNA-1273」は1回あたりの投与量か投与回数を増やすことで中和抗体の産生量が増えることも確認されていますが、同時に副作用の発生確率も上昇するとのこと。100µgの「mRNA-1273」を2回投与された被験者では、注射部位の痛み(100%)・疲労感(80%)・悪寒(80%)・頭痛(60%)・筋肉痛(53%)といった一過性の副作用が見られたと報告されており、25µgを投与された被験者1名がじんましんを発症したために2回目の投与を受けませんでした。これらの副作用について、研究チームは「いずれも軽度・中度で、治験を阻むような重度の副作用はない」と結論付けています。


今回の研究結果から、「mRNA-1273」の安全性が検証されたと同時に最適な投与量が100µgだと判明したとして、Modernaは被験者3万人を対象にした第三相試験(フェーズ3、医療現場における実際の使用を想定した最終試験)を2020年7月27日から実施する予定。新型コロナウイルスワクチンに関する第三相試験は、アメリカでは初めてとなります。

今回の発表の中で、Modernaは「今後の研究が全て順調に進んだ場合、年間およそ5億本、最大で10億本の『mRNA-1273』供給を2021年に実現できる」という展望を語っています。

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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