メモ

競争に勝つには真向勝負をしてはいけない、優れた製品を開発する上で本当に重要な戦い方とは?


多くの人は学校の勉強法の延長で「ライバルより優れていること」を実現しようとしますが、実社会の競争において、重要なのは「ライバルとは全く異なる位置付けを得ること」だとのこと。時価10億ドル(約1100億円)に達したスタートアップで働くというリンダさんが、「真正面から競争しないこと」の重要さを述べています。

Why it’s better to be the anti-status quo - Product Lessons
https://productlessons.substack.com/p/why-its-better-to-be-the-anti-status

多くの人は学校の勉強を通して「競争すること」を学びます。同級生たちと一緒に学ぶ中で、他の生徒たちよりも良い成績を収めるには、教科書の答えをより多く記憶する必要があるためです。


このような競争を現実社会に当てはめると、競業企業に勝つためには、ライバルの行動を観察して戦略を分析し、「製品に新機能を追加する」「ライバルを模倣する」「値段を下げる」といった選択をしていくことになります。

しかし、学生時代に学んだ競争の方法をそのまま現実社会の競争に当てはめてしまうと、「考え方を限られた範囲にとどめてしまう」という弱点が存在するとのこと。

真っ向勝負の競争には有益な点も存在します。人は競争によって自己満足を脱して行動を起こすことができます。初心者にとって競争を通じて学んでいくことはレベルアップの効率がよい方法といえます。しかし、初心者のレベルを脱し、何か意味のあることを成し遂げようとするとき、「他人を模倣する」ことを脱して、自分自身を深めていく必要があるとリンダさんは述べています。


また、既に成功しているライバルを模倣している限り、そのライバルを超えるのが非常に難しいという現実的な問題もあります。多くの場合、「ライバルの商品が最も優れている」という状態で、消費者を説得して「自分の商品の方が優れている」と信じさせるのは、非常に難しい作業です。人は自分の考えが間違っていると認めたがらず、小さな改善には反応しないため、説得を行うためには10倍以上優れている商品を作らなければならないとのこと。

このような道筋から脱するためには、「現状を観察して全く別の方向に進むこと」が重要だとリンダさん。もしライバルが「速さ」を誇っているならば、「シンプルさ」という別の物語を作る必要があります。この時、自分の製品の位置付けで重要なのは、以下の3つ。

・自分がそれを実行する唯一の位置にいること
・ライバルが反応するのは非常に難しいこと
・問題ではあるが見過ごされていることを解決すること

リンダさんは、製品を作る人や企業が行う競争を、ダビデとゴリアテの戦いに例えています。この物語は羊飼いのダビデが剣と槍を持った屈強な巨人兵士ゴリアテと戦う時に、投石器から放った石を額に当てて勝ったという内容で、弱小な者が強大な者を打ち負かす番狂わせのたとえとして使われます。ダビデは力や体の大きさでゴリアテと勝負せず、「戦いのルールを再定義すること」で勝利しました。このような戦い方が、現代の戦いだとリンダさんは述べています。

現実の例としては、Amazonの対抗馬となるShopifyが、それにあたります。eコマースを支配するAmazonですが、近年はShopifyの力が増してきているといわれており、リンダさんはShopifyが「位置付けの天才」だと述べています。

Amazon打倒のカギとも呼ばれる「Shopify」が新型コロナ以降も従業員の自宅作業を許可 - GIGAZINE


Amazonはアグリゲーターと呼ばれ、ブランドから多様性を排除して全てを「Amazon」ブランドに集約させることで利益を得ています。一方でShopifyは多様性を重視し、自分の流通チャンネルを確立させたい起業家にツールを提供しています。これにより、AmazonがShopifyを模倣することは不可能になっています。

またAmazonが繁栄することで、実店舗の大型書店は大打撃を受けることになりましたが、一方でアメリカでは独立系書店がシェアを大きく伸ばしています。

Amazon隆盛の陰で独立系書店は復活を遂げていた - GIGAZINE


これは、Amazonが「無限に続く本棚を提供する」ことで大型書店の役割を無に帰した一方で、地元の独立系書店はコミュニティとしての役割を確立し、Amazonとは全く違う体験を提供するようになったためです。これらの書店は画一化されていないユニークな品ぞろえで、多くは「反Amazon」を掲げています。

「世界で最も美しい本屋」に選ばれた新世代の独立系書店「The Last Bookstore」に行ってきました - GIGAZINE


このように、提供する製品は、既に確立された巨大なブランドから離れていればいるほど価値があるとのこと。

加えて、「見過ごされているが問題のあること」を解決することで、前例のない価値を人々に示すことができます。もし誰も取り掛かっていない問題であれば、「解決策があること」自体が優れているため、たとえミスがあっても多くの人が感謝します。

もちろん、Googleがそれまでの検索エンジンの10倍優れた製品を生み出したように、「10倍よくする」ことで競争に勝つこともできますが、世界はダビデとゴリアテの戦いであふれており、多くのやりがいある道は真正面からの競争ではなく投石機を使ったダビデの方法によるものだとリンダさんは述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
激烈な効果を出す記事広告をGIGAZINEに載せるにはどうすればいいのか編集長に聞いてみた - GIGAZINE

最強の捕食者Amazonを打ち負かすのは多様性を持った「真のプラットフォーム」だという指摘 - GIGAZINE

「Amazon対抗馬」ともいわれるShopifyの効率的なシステム移行方法とは? - GIGAZINE

製品・サービスの価格はどうやって決めれば良いのか?スタートアップへの10年間の投資から得た投資家からのアドバイス - GIGAZINE

経済発展には「競争」と「平等」のバランスこそが大切だと考えた世界の事例 - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.