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TikTok買収で中国が「技術の輸出には当局の承認が必要」と規制強化、買収交渉が一時中断か


動画共有アプリ「TikTok」の北米・オセアニアでの事業についてアメリカ企業への売却交渉が進められていますが、この流れを遮るかのように、中国で「人工知能技術を輸出する場合には当局の承認を必要とする」という規制が設けられたことがわかりました。

TikTok Talks Could Face Hurdle as China Tightens Tech Export Rules - WSJ
https://www.wsj.com/articles/china-tightens-ai-export-restrictions-11598703527

China tightens tech export controls jeopardizing TikTok deal, reports say
https://www.cnbc.com/2020/08/29/china-tightens-tech-export-controls-jeopardizing-tiktok-deal-reports-say.html


動画共有アプリのTikTokはユーザーのデータを収集して中国のサーバーに送っているとしてセキュリティ面の問題が懸念されており、インドで使用禁止になり、トランプ大統領は「2020年9月15日までにアメリカ企業に売却すること」を要求し、Microsoft・Twitter・ウォルマート・Oracleなどが買い手として名乗りをあげています。

しかし、新たにウォール・ストリート・ジャーナルが報告した内容によると、中国は人工知能(AI)関連の輸出管理規制を更新し、テキスト分析・コンテンツ推奨・スピーチモデリング・音声認識といったデータ処理技術などは、「売却に当局の承認が必要である」としました。

この新たな規制によりTikTokを運営するByteDanceは、売却ができなくなる可能性があるとのこと。国際貿易について研究するCui Fan教授は、ByteDanceの成功は中国国内の技術力によるものであり、最新のアルゴリズムを海外の企業に提供することは輸出の一形態にあたると指摘。ByteDanceが売却の承認を当局から得る必要が生まれたことで、TikTokの売却話が一時中断する可能性があると示唆しています。


また中国の国営通信社である新華社は、2020年8月29日付のニュースで「ByteDanceは新しい輸出リストについて研究し、真剣かつ慎重に売却を中断するかどうかを検討しなけばならない」と述べました。

これに対し、ByteDanceは30日の声明で、新しい規制を「厳格に遵守する」と発表しています。


なお、世界各国での使用禁止を受けて、ByteDanceは東南アジアでマーケットを広げる戦略に出ています。ByteDanceはベトナムなどでTikTokを広げる際に政府に対して「コンテンツは地方の法律に厳しく管理される」と約束し、「非政治的なプロダクト」として売り込もうとしているそうです。

TikTok booms in Southeast Asia as it picks path through political minefields - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-tiktok-southeastasia-idUSKBN25O033

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in ソフトウェア,   ネットサービス,   ウェブアプリ,   セキュリティ, Posted by darkhorse_log

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