時間が逆行・飛行機がクラッシュなどド派手なアクション映画「TENET」が「ほとんどドキュメンタリー」と言われる理由がわかるメイキングが公開中

「ダークナイト」「インセプション」「ダンケルク」などのクリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET」が2020年9月18日(金)に公開予定となっています。時間が逆行する世界でのタイムサスペンスなのですが、CGにしか見えないアクションシーンも実写で撮影されたものとなっており、「すごい」としか言いようがない圧巻のメイキングが公開されています。
TENET- Behind the Scenes Exclusive - YouTube

TENETについて「視聴者は今までにこんな映画を見たことがないはず」と語るのは、主人公の「名もなき男」を演じるジョン・デヴィッド・ワシントン氏。

ニール役のロバート・パティンソン氏は「アクションが詰まった冒険映画」と語ります。

「私が映画で見たことのないイメージでした」とキャット役のエリザベス・デビッキ氏。

「並外れたフィルムメーカーによる、全身が総毛立つ、ハイリスクハイリターンのスリラー」とアンドレイ・セイター役のケネス・ブラナー 氏は語ります。

「これまでに見たことがない」と語る俳優陣に対し、ノーラン監督は「TENETは古典的なスパイ映画なんです。私は子どもの頃からスパイ映画が大好きでしたから」と話します。

これまでに数々のスパイ映画が作られてきており、スパイ映画で視聴者にインパクトを与えるのは非常に難しくなってきます。ノーラン監督はTENETで、その課題に挑戦。

TENETのコンセプトは「Inversion」(反転)。「物や人が逆になるという『反転』は非常に映画向きです」とノーラン監督は話します。

机の上にあった物が手のひらに飛び込んできたり……

撃ったはずの銃弾が銃口に戻ってくるという反転現象がさまざまな場面で表現されます。

アクションシーンを撮影するためには多くのトレーニングを必要としたとのこと。「誰も反転するパンチなんて経験したことがないからね」とワシントン氏。

アクションシーンの打ち合わせの様子はこんな感じ。

これがトレーニング風景。ワシントン氏が相手役を蹴って……

後ろに下がり、膝をついて銃口を向けたかと思うと……

そのまま後ろ向きで転がり……

さらに立ちあがって銃口を向けます。通常のアクションシーンであれば「後ろから前に」進むはずが、あらゆるものが反転する世界観のTENETでは「前から後ろ」のアクションシーンになるわけです。

「キツかったけど、すごくワクワクしました。これまでに全く見たことがない動きだったので、スタント俳優たちも学んでいました。楽しいチャレンジでしたよ」

相手を投げ倒すシーンも、倒した場面からスタートし……

ぐるんと相手を振り回して……

最後に立たせます。

「クリスはCGが嫌いで、リアルな方法、カメラで撮ることを好むんです」と語るのは、プロデューサーのトーマス・ヘイスリップ氏。

劇場での爆発シーンも、CGではなく、実際に劇場に大量のエキストラを動員させて撮影されました。

気を失ったオーケストラ団員たちの間を縫うように動くカメラ。

爆発シーンも実際に行います。爆発近くの観客席だけエキストラの数を減らしていますが、何人かのエキストラは火の粉をかぶっているようでした。

炎の中から脱出していると見られるシーンでは……

エフェクトを生み出すために、カメラの前で砂のようなものが投げられています。

建物も爆破しまくり。

「ほとんどドキュメンタリーみたいなものでした」とワシントン氏は語ります。

手のひらに物体が吸い寄せられるシーンも、CGではなく、撮影時に実際に吸い寄せられていました。

「視聴者は無意識のレベルで、作られた映像と撮影された映像の違いに気づいていると思います」

体にロープを付けられた状態で床に寝そべるワシントン氏。これが……

ロープに引っぱられるように飛び出し、そのまま壁を走っていきます。

クレーンつり下げられながらビルの屋上へと上がっていきます。

「技術とエネルギーを持たないパフォーマーがいなければ、映画の表現は不可能でした」

「クリスはミーティング後に『ハードになるよ~』と言って、私は笑ったのですが、数カ月後、私は『あれは正しかったね』と。事実、すごくハードでした」とワシントン氏。

「クリスは役者を『クルー』として扱います」

「彼は現場に立って、100%そこに参加しているんです」

「彼は雨が降っても撮影し続けることができるんです。映画を愛しているから」

「彼といると、文句を言う権利を失うんです。そこが彼のいいところです」

「何か新しいものをオーディエンスに見せたいと考えているので、全ての映画で自分自身に挑戦します。そしてそれは、過去の経験の上に成り立つものです」と語るノーラン監督。

TENETは世界全体を襲う脅威について描かれたものであるため、「世界中を舞台にする」という点が大きなポイントでした。これを実現する最もシンプルな方法は「実際に自分たちが世界各国に出向いて撮影する」ということだったとのこと。

イタリア・アマルフィの夏を撮影の舞台にしたり……

モンスーン真っ最中のインドで撮影したり。

ロサンゼルスを拠点としながら目的とするシーンに合わせて世界中の撮影場所を計画するのは、非常に難しい作業だったとのこと。

「高速道路の8キロメートルの区間を3週間にわたって貸し切ったこともあります。何百人というエキストラを車に乗車させて、スタントに運転させたんです」

これが実際の撮影現場。

ここで車のクラッシュが「反転する」シーンが撮影された模様。

映画には、飛行機が建物に衝突するシーンもあります。

このシーンは非常に計画的に撮影されました。

まずは本物の飛行機を調達。

撮影は実際に稼働中の空港です。

飛行機の下には自動車が巻き込まれています。

入念な準備のもと……

実際に飛行機を建物の中に突っ込みます。

「すごくリアルだよ。だって現実に起こっているからね」とパティンソン氏は笑って話しました。

なお、TENETの最終予告編は以下から見ることができます。
クリストファー・ノーラン監督による時間逆行タイムサスペンス「TENET テネット」の最終予告編が公開 - GIGAZINE

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