ニンテンドーDSなどゲームハードの構成や前機種からの変更点まで徹底的に解説したウェブサイトが公開中
新しいゲーム機が登場しても「画質がきれいになった」「データの読み込み速度が速くなった」くらいしか素人には分からないものです。ソフトウェアエンジニアであるロドリゴ・コペッティ氏のウェブサイト「Rodrigo's Stuff」ではさまざまなゲーム機について、「前世代と比べて何が新しくなり、どんな機能が加わったのか」がわかりやすく解説されており、部品やシステムに着目しながら各ゲーム機にどんな技術が取り入れられているかを詳しく知ることができます。
Architecture of Consoles | A Practical Analysis
https://www.copetti.org/projects/consoles/
コペッティ氏のウェブサイトでは、記事作成時点でNES(ファミコン)・ジェネシス(メガドライブ)・ゲームボーイ・SNES(スーパーファミコン)・セガサターン・PlayStation・Nintendo 64・ドリームキャスト・PlayStation 2・ゲームキューブ・Xbox・ニンテンドーDS・Wiiの解説が公開されていました。
どのくらい詳細に解説されているのか、試しにニンテンドーDSのページをのぞいてみました。「Nintendo DS」をクリック。
ページの上部には、ゲーム機本体の写真が掲載されており……
「motherboard」をクリックすると、ニンテンドーDSのマザーボードを見ることができます。
また、「Marked」をクリックすればマザーボードの各部品がどんな機能をもっているのかという説明が加えられた画像に切り替えることが可能。
「Diagram」をクリックするとニンテンドーDSの構成図を確認できます。
コペッティ氏の解説は図解だけではなく、文章でもかなり徹底的にゲーム機の解説と考察がなされています。たとえばCPUの解説パートでは、ニンテンドーDSが使用している「ARM7TDMI」と「ARM946E-S」それぞれの役割について述べられていました。ARM7TDMIはゲームボーイアドバンス(GBA)のメインCPUとしても使用されていますが、ニンテンドーDSのARM7TDMIは周波数がGBAの約2倍である最大34MHzであることや、ニンテンドーDSではメインのCPUではなくI/Oポートを操作するサブプロセッサとして動作するという解説がされており、システム面でGBAからどのように変化したのかという内容が詳しく述べられています。
また、ニンテンドーDSはGBAと比べて大きく設計が変わっているものの、GBAのゲームと互換性を残すための構造は維持されている点についても詳しく説明されていました。コペッティ氏によると、ニンテンドーDSでGBAのゲームを起動する際はARM946E-Sを停止し、ハードウェアの大部分を無効にした後、ARM7TDMIの周波数をGBAと同じ16.78MHzに落としているそうです。
メモリもGBAから大きく変化し、RAMが役割別に分散して配置され、データアクセス速度の向上が図られていることが語られています。
たとえば、以下のCPUとメモリの構成図にある「4MB PSRAM」はARM946E-SかARM7TDMIのどちらかが利用できる低速タイプのRAM、「32KB WRAM」はARM7TDMIとARM946E-Sの間で共有される高速データを保持するために利用されます。「64KB WRAM」は高速データ用のRAMですが、GBAで使用するARM7TDMIからのみアクセスできるようになっています。
グラフィックの描画にまつわる特徴の解説も充実しています。ニンテンドーDSは2画面構成で、それぞれの画面はGBAより約20%多い256x192ピクセル。26万2144色(18ビット)の表示が可能で、フレームレートは最大60Hzです。グラフィックシステムは、2Dおよび3Dオブジェクトを描画可能で、2Dの場合はタイル状に並べられた画像データを用いて2Dオブジェクトを描画している点や……
2Dで画面を描画する際はいくつかのレイヤーに分けて描画されていることも説明されています。
また、3Dの描画システムについてはNintendo 64と比較を交えながら解説。
Nintendo 64(左)と比べてニンテンドーDS(右)は画質が向上していますがエッジが強くなっています。これは、ニンテンドーDSの方がレンダリングエンジンが進化しているものの、Nintendo 64よりも低い解像度でレンダリングされているのが原因だそうです。
オーディオのパートではGBAとニンテンドーDSとゲームボーイアドバンスの音楽を実際に聞き比べながら進化の度合を確認できます。
また、ニンテンドーDSが家電製品で初めて、タッチスクリーン・マイク・Wi-Fi・リアルタイムクロックを同じコンソールに搭載したハードウェアであることについても語られていました。2画面分割や、ゲーム機を縦横に持って遊べるなど、ユーザーに新しい体験を提供したハードウェアとして革新的なゲーム機であったことが述べられています。
コペッティ氏は今後、Nintendo SwitchやPlayStation 4・Xbox Oneといった記事作成時点の最新ハードウェアだけでなく、コモドール64のようなレトロなハードウェアの解説も予定しているそうです。
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