政府職員のTikTok使用を禁じる法案が連邦議会で可決される、アメリカのTikTok排斥がさらに加速
2020年8月6日にアメリカ連邦議会が、政府職員が政府支給のデバイスでショートムービー共有アプリ・TikTokを使用することを禁じる法案を満場一致で可決しました。また同日、ドナルド・トランプ大統領は、9月20日限りでTikTokを運営する中国企業・Bytedanceとのアメリカ国内でのすべての取引を禁止する行政命令に署名しました。
Senate passes legislation to ban TikTok on federal devices | TheHill
https://thehill.com/policy/cybersecurity/510905-senate-passes-legislation-to-ban-tiktok-on-federal-devices
Trump will prohibit transactions with Bytedance beginning September 20 in apparent TikTok ban - The Verge
https://www.theverge.com/2020/8/6/21358093/trump-tik-tok-ban-bytedance-transactions-executive-order?scrolla=5eb6d68b7fedc32c19ef33b4
アメリカの民主党と共和党の両党は、「中国企業が運営するTikTokを介して、アメリカ国内のユーザーのデータが中国共産党に渡っているのではないか」と、プライバシー上の懸念を示していました。
「TikTokはプライバシー上の懸念があるため使用しないように」とアメリカ民主党・共和党の両委員会が警告 - GIGAZINE
法案を提出した共和党のジョシュ・ホーリー議員は「政府の機密データを委託された労働者である連邦政府職員に、職場のスマートフォンとコンピューターからのTikTokへのアクセスを許すなど、私には考えられません。中国共産党や中国の介入を支持する企業に説明責任を負わせるべきだという意見が超党派に支持されたことは心強い結果です」とコメントしています。
また、トランプ大統領は2020年8月3日に、TikTokのアメリカ国内事業を9月15日までにアメリカ企業に売却しなければ国内での利用を禁止することを発表しました。これに対して、Microsoftがすでに買収を検討していることをアピールしています。
トランプ大統領がTikTokに「2020年9月15日までにアメリカ企業に売却すること」を要求、Microsoftが買収に名乗り - GIGAZINE
Microsoftが買収しようとしているのは、TikTokのアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの4カ国における事業のみと報じられていますが、「Microsoftは4カ国に限らずTikTokの全事業を買収したいと考えている」という報道もあります。また、経済メディアのCNBCによれば、TikTokの評価額は最高で300億ドル(約3兆2000億円)になり、買収の契約が成立してもTikTokの事業をアメリカに移行するには1年ほどかかるとのこと。
そして、トランプ大統領が2020年8月6日に署名した大統領令により、アメリカ国内では署名から45日後あるいはMicrosoftの交渉期限である9月20日にBytedanceとの取引の一切が禁じられることとなります。
INBOX: @realDonaldTrump has signed an executive order to ban TikTok in 45 days. pic.twitter.com/1zR4HgCPVj
— Andrew Feinberg (@AndrewFeinberg) August 7, 2020
また、同時にトランプ大統領は、中国の主流のテキストメッセージアプリであるWeChatも禁止する大統領令にもサインしています。
MORE: @realDonaldTrump has also signed a similar order banning transactions with WeChat. pic.twitter.com/Y4nVlCVBke
— Andrew Feinberg (@AndrewFeinberg) August 7, 2020
なお、トランプ政権が主導するTikTok排斥運動について電子フロンティア財団は、アメリカ人がTikTokを使うことを禁じたり、AppStoreやGoogle PlayストアでのTikTokアプリの配布を禁止したりすることは、「ソーシャルメディアへのアクセスを完全に閉鎖することは、ユーザーがアメリカ合衆国憲法修正第1条で保証される権利の正当な行使に従事することを妨げる」という過去の最高裁判所の判例にならえば、違憲であるとみています。
2周年を迎えたTikTokは2020年7月30日におよそ20億ドル(約2100億円)規模のクリエイター向けグローバル基金を発表したばかりですが、特に大きな市場であるアメリカでの活動が大きく制限されてしまうこととなります。TikTokの広報担当者は法案が可決されたことを受けて、事業をアメリカ国内に移転する取り組みを強調し、「TikTokは1億人のアメリカ人に愛されています。TikTokの目的はエンターテインメント、自己表現、人々のつながりであり、連邦政府のデバイスを狙っているわけではありません」と述べました。
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