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GoogleやFacebookが次々に投資・提携するインド企業「Jio」とは一体何者なのか?

by Joegoauk Goa

新型コロナウイルスの流行を受けて経済全体が停滞する中で、GoogleやFacebookから合わせて100億ドル(約1兆円)の投資を受けたインド企業が「Jio」です、Microsoftも投資を計画中だとみられているJioは一体どのような企業で、これから起こるインドの大変革がどのようなものになるのか、テクノロジー系ライターのSarvesh Mathi氏がつづっています。

What Is Jio, and Why Are Tech’s Biggest Players Suddenly Obsessed With It? | by Sarvesh Mathi | Aug, 2020 | OneZero
https://onezero.medium.com/what-is-jio-and-why-are-techs-biggest-players-suddenly-obsessed-with-it-231ea2d407e4


Jioはコングロマリットのリライアンス・インダストリーズの通信部門であり、デジタルサービス企業であるJio Platformsの子会社です。

もともとリライアンス・インダストリーズは1957年に小さな繊維会社としてディルバイ・アンバニ氏に創設されました。その後、ディルバイ氏は小売・デジタルサービス・石油精製・石油採掘といったさまざまな事業に進出し、リライアンス・インダストリーズは収益・純利益・時価総額・輸出額といった面でインド最大の企業へと成長しました。1986年に発作が起こったことをきっかけにディルバイ氏は事業を息子のムケシュ・アンバニ氏とアニル・アンバニ氏に引き継ぎ、2008年の世界長者番付で2人は上位10位にランクインするほどの富豪となりました

Jioは、ムケシュ氏が2016年に私財を投じて開始した、激安の4G通信サービスに端を発します。

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欧米諸国では既にインターネット市場は飽和状態ですが、世界各地にはまだまだインターネットにアクセスできない地域も多く存在します。インドもその1つで、2016年当時、インターネットにアクセスできるのは都市部のみ、国民全体の5分の1しかインターネットを利用できないという状態でした。ムケシュ氏はそんなインドで4Gの高速無線通信を安価で提供し、国全体に通信網を築こうと考えました。

2016年からの4年間で、ムケシュ氏が開始したJioネットワークの加入者は3億8750万人に達し、インドにおける市場シェアは33.4%に。なお、競合企業のAirtelのシェアは28.3%で、Vodafone Ideaは27.5%となっています。Jioネットワークの登場により市場シェアが大きく変化すると共に、競合他社の間で劇的な価格低下が起こり、いくつかの通信事業社は市場を撤退することになりました。

歴史的にみて、コングロマリットにとって石油ビジネスは収益性の高い部門でしたが、近年は「データこそが新しい石油」といわれています。石油で財を築いたリライアンス・インダストリーズにとって、Jioは非常に価値ある部門となりました。

2019年に、リライアンス・インダストリーズが運営する全てのデジタル部門を統合したJio Platformsが設立されました。Jio Platformsの最大の子会社が、6カ月にわたって無料・無制限の4G回線を提供するというReliance Jio Infocomm(通称Jio)です。

Jio Network - Jio Fiber Internet Connection & Jio 4G
https://www.jio.com/welcome


Jioのモバイル通信は1GBあたりで0.26ドル(約27円)と世界最安。なお、日本は1GBあたり8.34ドル(約880円)となっています


またJioは単なる通信事業にとどまらず、「LYF」というスマートフォンや5000円のスマートフォン「JioPhone」も開発・販売しています。いずれも4G回線となっており、エントリーレベルのスマートフォンとして人気を集めているとのこと。

そして、Jioは高速ブロードバンド&テレビ&電話サービスを合わせた「JioFiber initiative」をスタートしているほか、音楽ストリーミングサービス「JioSaavn」や、Android向けブラウザ「JioBrowser」、メッセージアプリ「JioChat」、支払いアプリ「JioMoney」、映像ストリーミングアプリ「JioTV」、ビデオ会議アプリ「JioMeet」、映画ストリーミングアプリ「JioCinema」、ヘルスケアアプリ「JioHealthHub」といったさまざまなサービスを提供しています。


これらアプリはJioのスマートフォンや、Jioのパートナーが製造したスマートフォンに最初からインストールされており、ほぼ全てが無料です。そしてこれらJioのサブスクリプションアプリは、Jioのユーザーが増加すると共に莫大な収益を生み出すとみられています。

このようにすさまじい勢いで拡大を続けるJioは、Googleにとっても魅力的です。GoogleはJioとパートナー関係を結ぶことで、Android OSのスマートフォンをインド市場で拡大させることが可能だとみています。またインドでOffice 365やクラウドプラットフォーム・Azureを拡大させたいと考えるMicrosoftともJioは提携しました。

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なお、欧米のテクノロジー企業がJioを通じてインド市場に参入しようとしているのはJioの市場シェアや潜在能力だけが理由ではなく、リライアンス・インダストリーズやアンバニ家がインド政府と近しい存在であり、政府の規制を受ける可能性が少ないためだとみられています。

他にも、JioはMicrosoftのHololensに似たJio Glassを開発中であると報じられており、Netflix、Amazon Primeといった複数のプラットフォームを1つのデバイスに集約する、Apple TVのような「JioTV+」も提供開始するなど、さまざまな動きを見せています。2021年には5Gの展開も考えているとのこと。

そして、Jioは次の一手として、eコマース事業にも力を入れています。インドでは売買の90%がオンラインで行われており、eコマースは今後伸びていく市場とみられています。既にJioはオンライン食料品配達サービスのJioMartをスタートしていますが、ウォルマートなどのように既存の実店舗とオンラインショップを接続していく方法を取ることで、指数関数的に伸びているインドのeコマース市場でJioは大きな存在感を発揮していくものとみられています。

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in メモ, Posted by logq_fa

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