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エイリアンはどのような文明を築き上げているのか?


各国の宇宙機関が地球外生命体(エイリアン)についての研究を長年にわたって続けているものの、その存在はいまだに発見されていません。「エイリアンが存在した場合、どのような文明を築き上げているのか?」という疑問について、科学的なトピックをアニメーションで解説するYouTubeチャンネルのKurzgesagtが思考実験を行っています。

What Do Aliens Look Like? The Kardashev Scale - YouTube


観測可能な宇宙は約130億歳で、中にはおよそ2兆個の銀河と200(2×1023)個の星が含まれていると考えられています。


太陽系が含まれる銀河である天の川銀河に話を限った場合、生命が誕生する可能性があるとされるハビタブルゾーンに位置する惑星が、400億個も存在するといわれています。


このような数字を考慮すると、「エイリアンは絶対にいない」という考えは、むしろあり得ないように思えます。そんなエイリアンがもしも発見された場合、人間の固定観念は大きく覆される可能性があります。


エイリアンが人類の味方なのか敵なのかはわかりません。しかし、それ以前の問題として、我々が探しているエイリアンはどういった文明を有しているのでしょうか?


広大なこの宇宙において人類以外の文明が存在していた場合、その文明レベルは石器時代レベルから未来人レベルまでさまざま考えられます。今回のムービーは、エイリアンがどのようなものなのかを考察することで、知的生命体が従う普遍的なルールを探るというものです。


我々が現時点で発見している文明は、人類文明だけであるためここから考察をスタート。原始的な人類は精神や道具を作り出せる手に加えて、好奇心や資源に対する競争心や拡張主義的精神などの特性を持っていました。


地球以外の惑星で知的生命体が進化していた場合、その知的生命体も人類に似通った特性を持っていると考えるほうが自然です。さらに地球以外の惑星でも物理法則は不変であるため、地球外の知的生命体も何らかの方法で「エネルギー」を使っていると考えられます。文明の進歩は、「環境からどれだけのエネルギーを取り出しているか」「取り出したエネルギーをどのように使っているか」の2点からかなり正確に算定することが可能です。


原始的な人類は自身の肉体しか扱えませんでしたが、次第に火を利用できるようになり、風車や水車などの運動エネルギーを扱う装置などを開発しました。


人口と人類が扱うエネルギーの量は年々増加しており、1800年と2015年を比較すると人口は7倍、人類が扱うエネルギー量は25倍となっています。人口と人類が扱うエネルギー量の増加は、将来も続く見込みです。


そんなエネルギーについて、ソビエト連邦の天文学者ニコライ・カルダシェフが1964年に「エネルギーの使用状況に応じて宇宙文明を発展度を区分する」という考え方である「カルダシェフ・スケール」を提唱。いまだ発見されていないエイリアン文明の「文明の発展度」を考察する尺度を考え出しました。


カルダシェフ・スケールは改定案がさまざま存在しますが、基本的には文明の発展度合いを4段階で区分します。


タイプ1文明は、自分が居住する惑星のエネルギーを全て利用できる文明。


タイプ2文明は、自分の惑星だけでなく、自分の惑星系のエネルギーを利用できる文明。


タイプ3文明は、銀河のエネルギーを利用できる文明。


タイプ4文明は、複数の銀河のエネルギーを利用できる文明。


タイプ1未満の文明には、原始的な狩猟生命体から数百年後の人類までが含まれており……


タイプ1未満の文明は、天の川銀河に人類以外にも多数存在すると考えられています。


こういった地球外文明を探査するために、人類は電波を送信していますが……


電波が届く範囲は、およそ直径30光年ほど。電波が届く範囲が仮に直径200光年を超えたとしても、天の川銀河の10万光年という直径からみれば、ごくわずかな範囲にしか電波を発信できません。


数光年先のエイリアンが人類からの電波をキャッチしたとしても、その電波は減衰してノイズだらけになっており、知的生命体から発信されたものとはわからない可能性もあります。


現代の人類は、カルダシェフ・スケールで「タイプ0.75文明」ほどと見積もられており……


「地球が死の惑星になる」といった事故が起こらなかった場合には、数百年以内にタイプ1文明に到達できると考えられています。


全てのタイプ1文明は、好奇心や資源に対する競争心、拡張主義的精神などの特性を有していると考えられることから、必ず宇宙に目を向けると見られています。従って、タイプ1からタイプ2までの文明は、自分の惑星以外にも進出し、他の惑星の植民地化やテラフォーミングを行うと考えられます。


そうして文明が拡張を続けると、より多くの資源やより広い空間が必要となり、エネルギーの消費量も増大します。なので、タイプ2に属する文明は、恒星を卵の殻のように覆って恒星の発生するエネルギーを全て利用するというダイソン球のような巨大建築物を作り出している可能性があります。このような巨大建築物が完成した場合、得られるエネルギー量は実質的に無限大です。


得られるエネルギーが無限大になったとしても、エイリアンが好奇心や資源に対する競争心、拡張主義的精神を有している場合は、次なるフロンティアを求めて何光年も離れた別の恒星を探し始めるかもしれません。タイプ2の文明にとって、他の恒星までの距離というのは、我々にとっての地球から冥王星までの距離と同じくらいの感覚である可能性すらあり得ます。


タイプ2からタイプ3に至るまでの道のりは、現在の人類にとって想像することすら困難です。


数千年単位で移動時間がかかる遠く離れた場所に移動する方法は存在するのかという問題や……


例え移動できたとしても、それほどまでに遠く離れた場所と通信を行えるのかどうかという問題があり得ます。もしかすると、移動の結果として、もともと1つだった文明が複数の文明に分かたれてしまうかもしれません。惑星間移動は命に関わるような挑戦といえます。


文明がタイプ3に近づけば近づくほど、その文明のあり方を考察することは困難になります。


タイプ3は人類が発見していない物理法則やダークマターのコントロール方法、光よりも速く移動する方法を発見しているかもしれません。我々はその原動力となるテクノロジーや行動を理解することすら困難である可能性すらあります。


我々が高度な文明を持つエイリアンを理解しようというのは、アリが人類を理解しようとするようなものです。タイプ3に近いエイリアンですら、人類のことを「文明レベルが低すぎて話す気になれない」と考えているかもしれません。


タイプ3に達したエイリアンは人類について、「我々がバクテリアに抱く気持ち」と似たようなものを感じている可能性があります。そのようなエイリアンは、「人類が意識を有している」とは考えないかも。我々にできることは、彼らが善良であることを祈ることくらいです。


我々とは別の宇宙すら操作できるようなレベルの文明を有するエイリアンが存在するとすれば、そういったエイリアンは我々の宇宙の創造主かもしれません。


カルダシェフ・スケールを用いた以上のような思考実験がある程度正しかった場合、タイプ3以上の文明は見逃しようがない規模の活動を行うと考えられることから、少なくとも天の川銀河の近辺には惑星間移動を行うようなタイプ3以上の文明は存在しないことはほぼ確実です。


「タイプ3の文明は過去に存在していたが、死に絶えた」という場合には、何らかの残骸が存在するはずです。しかし、ダイソン球のような巨大建造物の残骸は発見されていません。


人類にとって望ましいエイリアン文明は、タイプ1.5から2.5までの文明です。このレベルの文明は人類より先進的な文明で、理解できないほどかけ離れてはいません。彼らは巨大建造物を完成させて、宇宙に膨大な情報を発信しつつあるかもしれません。


もしそのような文明があったとしたら、彼らもまた自分以外の文明を探し求めているでしょう。


しかし、こういった思考実験は根本から間違っている可能性もあり得ます。「進歩した文明ならば拡張のために宇宙進出を果たすはず」というのは人類の幻想で、人類の想像力は「エイリアンの真の姿」を想像できないほど未成熟な可能性すらあります。いずれにせよ、人類は人類以外の文明と出会った経験がなく、エイリアンの真の姿がどのようなものなのかを想像することも困難なレベルで、そもそもエイリアンを探し始めたばかりの段階にあります。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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