サイエンス

この銀河には4つの敵対的な地球外文明がいると研究者が主張、「人類が他の星を侵略する可能性」から調べたユニークな研究で


人類のメッセージや音楽をレコードに吹き込んで宇宙に送り出したボイジャー計画や、宇宙に直接電波でメッセージを送信するアレシボ・メッセージなど、地球外文明に人類を見つけてもらおうとする試みは数多く行われていますが、宇宙人が友好的とは限らないため「地球外文明の探索を避けるべき」との議論もあります。新たに、「人類が住む天の川銀河には地球侵略も辞さない敵対的な地球外文明が4つはある」との研究結果が発表されました。

[2205.11618] Estimating the prevalence of malicious extraterrestrial civilizations
https://arxiv.org/abs/2205.11618

There may be 4 evil alien civilizations in the galaxy | Live Science
https://www.livescience.com/malicious-alien-civilizations-odds

There Are 4 ‘Malicious Extraterrestrial Civilizations’ in Milky Way, Researcher Estimates
https://www.vice.com/en/article/qjbgkm/there-are-4-malicious-extraterrestrial-civilizations-in-milky-way-researcher-estimates

敵対的な地球外文明が銀河にどのくらいいるのかを考えるにあたり、スペイン・ビーゴ大学で紛争問題を研究しているアルベルト・カバレロ氏はまず、地球における人類同士の侵略に目を向けました。カバレロ氏が、1915年から2022年までの間に他国を侵略した国を調べたところ、世界195カ国のうち51カ国が侵略戦争をしていることが分かりました。なお、侵略回数のトップはアメリカの14回で、イスラエルの11回、ロシアの10回がこれに続きました。


カバレロ氏は次に、侵略をした国の軍事費から各国が侵略をする確率を算出し、それを合計してから地球上のすべての国家の数で割って「人類が地球外文明を侵略する確率」を算出しました。人類による侵略の確率を割り出したのは、「知的文明が悪意を持つ確率は、人類が他の文明に脅威を与える確率から推定できる」という発想によるものです。

実際にカバレロ氏が計算を行ったところ、侵略の発生確率は0.028%だという結果が出ました。ただし、これは星間移動もできない現代の人類の文明レベルから割り出したもの。「消費可能なエネルギーに基づいて文明の高度を分類するカルダシェフ・スケールに当てはめると、人類が星間旅行できるタイプI文明になるまであと259年はかかるでしょう」とカバレロ氏は指摘しています。

人類同士の侵略は過去50年の間にだんだん減少しているので、人類がタイプI文明になるころには、侵略の確率は0.028%から0.0014%まで減っていると考えられるとのこと。これは非常に低い確率のように思えますが、地球外知的生命体探査(SETI)計画に携わるイタリアの天文学者のクラウディオ・マッコーネ氏が以前に発表した「天の川銀河には1万5785の文明が存在する」との試算結果に当てはめると、他国に侵略しようとするタイプI文明の数は「15785×0.0014%=0.22」、つまり1個未満となります。

一方、人類がそうであるように、まだ「タイプI文明にも達していないが、他の惑星に行けるようになれば侵略をしかねない文明」の存在を考慮すると、悪意のある隣人の数は「15785×0.028%=4.42」に跳ね上がります。つまり、天の川銀河には潜在的な侵略者となる文明が4つ以上あるということです。


とはいえ、この数字は前述の通りまだ宇宙に進出できない文明を含めているので、実際に地球が侵略される確率は、惑星を破壊するような小惑星が飛来する確率よりも2桁低いとのこと。また、宇宙人が人類と同じような物質でできた脳を持っているかさえ分からない以上、地球外文明が地球人と同じような考え方をするかも不明だと、カバレロ氏は認めています。

カバレロ氏は、今回の研究が宇宙に地球の存在を発信するかどうかの議論に役立てられることを期待しています。同氏は、海外メディアのMotherboardに対して、「地球外から侵略される推定確率が、惑星キラーとなるような小惑星衝突の確率より2桁低いという事実は、電波やレーザーで近くの居住可能な太陽系外惑星にメッセージを送るかどうか決めるための国際討論を次のステップへと導くはずです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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