人類は地球外生命体を宇宙のあちこちで探すべきなのか?
地球以外で生命体が存在可能な天体が次々と発見されていますが、地球外生命体は今のところ見つかっていません。「人類が唯一の生命体かどうかについて本当に調べるべきなのか?」という疑問について、YouTubeの教育系チャンネルTED-Edが解説しています。
Should we be looking for life elsewhere in the universe? - Aomawa Shields - YouTube
天文学者は、太陽以外の恒星のまわりを回る天体を何千個も発見してきました。
天体の大きさや恒星からの距離は、天体によって異なります。地球から最も近い恒星ですら地球から何兆キロメートルも離れていて、高性能の望遠鏡を使ってもぼんやりとした斑点にしか見えないくらい遠いのです。
もしもこれらの天体の中に、地球と同じくらいのサイズで、恒星から近すぎることも遠すぎることもなく……
表面が岩で覆われていて、海を持つ天体があるならば、もしかしたら地球外生命体が存在するかもしれません。
天体学者は、このような「生命が潜在的に生存可能な天体」をたくさん見つけてきました。天体を詳しく調べることで、「地球から遠く離れた環境で、生命を構築する物質が作れるか?」「人類が宇宙唯一の知的生命体なのか?」「知的生命体の文明が地球以外にも存在するのか?」といった疑問に答えを出すことができます。
しかし、まず最初に「人類が唯一の知的生命体であることを調べるべきかどうか?」という疑問があります。
生命が存在する可能性のある天体を発見して、その星に住む生命体とコンタクトを取ることは、果たして賢い選択でしょうか?
およそ30年前、NASAは「イエスだ」と結論づけました。
1977年に、太陽系の中にある大きな天体を探査するためにボイジャー1号と2号が送り出されました。
探査機はそれぞれ「ボイジャーのゴールデンレコード」と呼ばれる金色のレコードを搭載。
レコードはいわゆるタイムカプセルの類いで、人類の文明を伝えるためのメッセージが詰められています。
レコードに記す内容は、アメリカ人天文学者のカール・セーガン氏を委員長とする委員会が決定しました。
100枚以上の画像に加えて、波の音や……
雷の音
鳥の鳴き声
鯨の声など、多くの自然音が収録されました。
様々な文化や時代の音楽と、55種類の言語のあいさつや……
当時のアメリカ大統領だったジミー・カーター氏と国際連合事務総長からのメッセージも収録されました。
また、我々人類が住む太陽系の位置を示す地図もレコードに収録されました。地図には14個のパルサーの位置を記していました。
もしも知能の高い地球外生命体がレコードを発見した際に、地球へ来るための道案内として使えるようにするためです。
しかし数年後、スティーブン・ホーキング博士は「エイリアンに地球への案内図を与えたのは間違いだった」と述べています。
ホーキング博士は、もしも地球外生命体がいたとしても、微生物と同じくらいシンプルな構造だろうと予測しています。
そしてもしも知能の高い生命体がいたとして、そのようなエイリアンが地球に侵攻してきた場合のことを警告しています。
そうこうしている間にも、レコードは旅を続けています。1990年には、ボイジャー1号と2号は冥王星のそばを通りすぎました。
ボイジャー1号は2012年に星間空間に入っています
4万年以内に、地球から最も近い恒星系に到着する見込み。
もしもボイジャー1号が地球外生命体に見つかったとしたら……
彼らがレコードの中身を読み解いて、地球にやってくるかもしれません。
もしも人間よりも高度に発達した生命体が存在するならば、地球を訪れる可能性があります。そのような生命体はおそらく好意的だと考えられます。
なぜなら、人間は星間空間への旅を目指しているため、知的生命体も同じように考えるだろうと推測されるためです。
しかし、地球外生命体の中には敵対的なものもいるかもしれません。
生命が存在する天体を探すことは、底の知れない深い穴を調べるのと同じことです。
地球上の生命について、詳しい進化の過程は明らかになっていません。そのため、宇宙に目を向けるのはリスクが伴います。
ただし、地球外生命体の謎を解くことで、「なぜ人類が生まれたのか」という謎の手がかりになる可能性があり、これを無視して目を向けない方がリスクが高いと考えられます。
人間は誰しも好奇心を持って生まれます。好奇心を追求することが、人間の偉大な功績のひとつです。
地球外生命体と接触することで、人類の科学を進化させられる可能性も秘めています。
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