サイエンス

ホーキング博士らが史上最大の地球外知的生命体探査プロジェクトを発表


筋萎縮性側索硬化症の発症により、車椅子生活を余儀なくされた世界一有名な「車椅子の物理学者」がスティーヴン・ホーキング博士です。ホーキング放射などを提唱し、現代宇宙論に多大な影響を与えた人物として知られるホーキング博士ですが、ロシアの起業家ユーリ・ミルナー氏と共に、地球外知的生命体を発見するべく史上最大規模の地球外知的生命体探査(SETI)プロジェクトを発表しました。

Breakthrough Initiatives
http://www.breakthroughinitiatives.org/News/1

Stephen Hawking and Yuri Milner Announce $100M Initiative to Seek ET - Scientific American
http://www.scientificamerican.com/article/stephen-hawking-and-yuri-milner-announce-100m-initiative-to-seek-extraterrestrial-intelligence/

地球外知的生命体による宇宙文明を捜索するSETIは、1960年代から科学者の間で盛んに行われるようになりました。天文学者のフランク・ドレイク博士は、85フィート(約26メートル)口径の電波望遠鏡を使い、太陽系外の恒星間に電波を送信して地球外生命体を探す、という人類初のSETI「オズマ計画」を1960年にスタートさせています。SETIがスタートしてから既に55年が経過しているにも関わらず、現在のところ地球外知的生命体はおろか、地球外生命体すら発見されていません。

地球外生命体に関しては、地球の高度2万7000メートルで検知された生命体が「地球外から飛来したものだ」とする論文が発表されていたり……

地球外生物の虫が地球の大気に存在するという説が発表されました - GIGAZINE


木星の衛星「エウロパ」の表面から水の噴出が確認されたことから、エウロパの外殻下には大量の水が存在し、そこに「地球外生命体が存在するのでは」とも考えられていたりします。

木星の衛星「エウロパ」の表面から水の噴出を観測、地球外生命体発見へ一歩前進 - GIGAZINE


そんな中、現代宇宙論の権威であるホーキング博士とロシア人起業家のミュラー氏が、人類がより早期に地球外知的生命体を発見するための史上最大規模のSETI計画「Breakthrough Listen」を発表しました。このプロジェクトでは、開口面約100メートルという世界最大規模の電波望遠鏡「グリーンバンク望遠鏡」と、パークス天文台の口径64メートルの電波望遠鏡を使用した最先端の電波調査が行われることとなり、その感度は過去のSETI調査の50倍以上、観測範囲も従来の10倍以上に広がります。また、電波調査と並行してAutomated Planet Finderと呼ばれる光学式の望遠鏡を使った世界最深かつ最も広範囲における光学レーザー調査も行われるとのこと。この計画は10年で1億ドル(約124億円)という資金が費やされることとなり、地球から近い100万の星々を調査する他、天の川銀河を超えた場所にある100の星団もまとめて調査するという非常に大規模なプロジェクトになります。なお、プロジェクトは2016年にスタート予定となっています。

「Breakthrough Listen」で使用されることとなった世界最大規模の電波望遠鏡のグリーンバンク望遠鏡。

By Tim Menzies

なお、調査により集められた膨大なデータは全てオープンソースとして公開される予定で、これらのデータを精査・検索するために研究チームが使用・開発したソフトウェアも、同時にオープンソースで公開されることになります。

また、プロジェクトでは地球外知的生命体に送るメッセージを選出する国際コンペティション「Breakthrough Message」の開催も予定しています。コンペでは地球外知的生命体に人間と地球の存在を伝えるためのデジタルメッセージを募集し、賞金総額はなんと100万ドル(約1億2000万円)となっています。なお、コンペは世間一般により地球外知的生命体との通信という取り組みに興味を示してもらうための取り組みでもある、とのことです。


なお、ホーキング博士とミュラー氏が「Breakthrough Listen」を発表した会見の様子は以下のムービーで視聴可能です。

Milner Hawkings on Livestream

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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