サイエンス

太陽系外から飛来した謎の天体「オウムアムア」は地球外生命体が作った宇宙船なのか?


2017年10月に太陽系の外から飛来した謎の天体「オウムアムア」については、「地球外知的生命体の宇宙船ではないか?」とうわさが流れていました。新たな研究で、オウメアムアから観測された低周波について調査が行われたところ、研究者らは知的生命体がオウムアムアの背後に存在するという考えについて「可能性は極めて低い」と結論づけています。

A Serendipitous MWA Search for Narrowband Signals from 'Oumuamua - IOPscience
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aab359/meta

WA telescope helped identify interstellar space visitor named Oumuamua
https://www.perthnow.com.au/technology/space/wa-telescope-helped-identify-interstellar-space-visitor-named-oumuamua-ng-b88802231z

Outback radio telescope listens in on interstellar visitor -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/04/180410100953.htm

2017年10月、太陽系の外から謎の天体が飛来したとニュースになりました。「小惑星や彗星が恒星間を移動しており偶然太陽系を通過することもある」ということは理論としてはあったものの過去に確認されたことはなく、この出来事は天文学者が「我々は数十年間、この日を待ち続けていました」と語るところとなっています。

「我々は数十年間、この日を待っていた」、太陽系の外から飛来したと考えられる謎の天体を確認 - GIGAZINE


「オウムアムア」と名付けられた天体は10月14日に地球に最接近し、発見時点で既に地球から離れつつあったとのこと。そんな中、ハワイ大学が観測を行ったところ、オウムアムアは長さと幅の比が10:1という葉巻型をしていることや、長さは推定400m~800mであることなどが判明しました。太陽系の小惑星や彗星(すいせい)では見られない形状であり、表面密度が高く岩石や金属でできているとみられたことから、「知的生命体が使う宇宙船ではないか?」といううわさが広まりました。

太陽系外から飛来した小天体「オウムアムア」は葉巻型で岩石質か金属質 - GIGAZINE


オウムアムアはFMラジオによく似た72~102MHzの周波を発していたため、カーティン大学の電波天文学研究国際センター(ICRAR)に所属するSteven Tingay教授らの研究チームは、オーストラリアで稼働している低周波電波望遠鏡、マーチソン・ワイドフィールド・アレイ(Murchison Widefield Array/MWA)を使ってこの低周波について調査しました。MWAが位置する西オーストラリアマーチソンは人が活動する地域から遠く離れたところにあり、世界で最も電波の少ない場所だと言われています。

Tingay教授によると、天文学者らはMWAが2017年11月から2018年1月初頭までに観測した全てのデータを振り返って見たとのこと。このとき、オウムアムアは地球から9500万~5億9000万キロメートルの距離にあったこともあり、何かを発見することはできず、生命体の存在も観測できなかったそうです。一方で、オウムアムアの存在は、これまでよりも遠くの範囲にまで地球外生命体探索の範囲を広げる機会になったといいます。

Tingay教授は観測内容について、「高度な文明が私たちの銀河系に存在するなら、彼らが惑星間を行き来でき、通信に電波を利用する宇宙船を開発することは考えられます」「ただしこの可能性は極めて低く、ゼロに近いといえます。科学者として、ひとりよがりな考えを捨て、偏見をなくして観察を行い、証拠をつかむことが重要です」と語りました。

観察の結果、科学者らはオウムアムアについて、「惑星間を旅する間に宇宙線を浴び、表流水の多くを失った彗星のかけらだろう」と結論づけています。また研究者らは、オウムアムアと同様の天体が毎年4600万個は太陽系を横切っているとみています。

オウムアムアは詳しく研究するには遠くに去りすぎており、2018年4月時点では観測する技術を持ちませんが、2020年から科学観測を開始する予定のスクエア・キロメートル・アレイであれば、オウムアムアのように惑星間を移動する理解する手助けになるとみられています。

・関連記事
なぜ地球外生命体の発見が人類にとって喜ばしいものとは限らないのか? - GIGAZINE

オバマ大統領の宇宙観に影響を与えたSF作家が語る「中国が地球外生命体と最初に接触したら何が起こるのか?」 - GIGAZINE

地球の化石や石に残された痕跡から「地球の始まり」の姿や「地球外生命体」に対する新しい考え方がもたらされる - GIGAZINE

地球外生命体が作る「ダイソン球」の存在が騒がれた恒星「KIC 8462852」の詳細調査によって一層謎が深まる結果に - GIGAZINE

「宇宙人はいるのか?」についてグリニッジ天文台がアニメーションムービーで説明 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by logq_fa