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サイエンス

世界で初めて「太陽系外の惑星を公転する衛星」の証拠が発見される


衛星」とは、地球にとっての月のように惑星の周囲を公転する天体のことを指します。これまで太陽系外の惑星には衛星が発見されていませんでしたが、新たに「太陽系外の惑星に衛星が存在する証拠を発見した」と研究者によって報告されました。

Evidence for a large exomoon orbiting Kepler-1625b | Science Advances
http://advances.sciencemag.org/content/4/10/eaav1784

Have scientists found a moon around a planet outside the solar system?
https://mashable.com/article/moon-found-outside-solar-system-exomoon/

Hubble finds compelling evidence for a moon outside the Solar System | ESA/Hubble
https://www.spacetelescope.org/news/heic1817/

太陽系内の衛星は地球以外の火星などの天体でも発見されていますが、太陽系外の惑星についてはこれまで衛星が発見されていませんでした。地球からの距離が離れる太陽系外の天体については、天体自身が光を発する恒星は比較的見つかりやすい一方で、自ら光を出さない惑星や衛星は見つけるのが難しくなります。

コロンビア大学で天文学を研究する大学院生のアレックス・ティーチー氏と共同研究者のデヴィッド・キッピング氏は、「Kepler-1625」という地球から約8000光年離れた太陽系外惑星を、ハッブル宇宙望遠鏡で観測しました。Kepler-1625は木星の数倍の質量を持っているガス惑星であり、恒星とは太陽と地球ほどの距離を保って公転しているとのこと。

恒星の前をKepler-1625が横切るのを観察したティーチー氏とキッピング氏は、惑星は19時間をかけて恒星の前を横切り、恒星の光が惑星に遮られることで観測できる光の偏向や揺らぎを確認したとしています。さらに、Kepler-1625が恒星の前を通過してから3時間半が経過したころ、惑星が通過した時よりも微弱ではあったものの、再び恒星の光の減少が確認できたそうです。


Kepler-1625に続いて恒星の光を遮った天体の正体は、Kepler-1625の衛星である可能性が高いとのこと。残念ながら衛星が完全に恒星を横切る前に予定していた観測時間が終了してしまい、最後まで観察することはできなかったそうですが、キッピング氏は太陽系外衛星の証拠と思われる観測結果にとても興奮したとしています。Kepler-1625に存在すると考えられる衛星は「Kepler-1625b-i」と名付けられ、海王星に匹敵するほどの直径を持つ巨大な衛星だと推測されています。

ティーチー氏によればKepler-1625の後に光を遮った天体は他の惑星である可能性もありますが、ハッブル宇宙望遠鏡の観測中に他の惑星が恒星の前を横切る可能性は低いそうです。また、ハッブル宇宙望遠鏡でKepler-1625が恒星の前を横切る瞬間を観測する際、当然ティーチー氏らは何時から惑星の恒星通過が発生するのかを予測していました。ところが、実際には予測よりも1時間早く惑星の通過が始まったそうで、「Kepler-1625が予測された位置からズレてしまったのは、巨大な衛星と互いに重力によって引かれ合っていたから」とティーチー氏は考えています。

原理的には他の惑星がKepler-1625の軌道に影響を与えた可能性もありますが、ハッブル宇宙望遠鏡が行った4年間の観測では、そのような惑星は発見されなかったとのこと。ティーチー氏はKepler-1625-iが従来の衛星のイメージを覆すほど大きな衛星であることについて、「惑星系の形成に新たな洞察をもたらし、衛星が作られる理論について再考を促すものかもしれない」と説明しています。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik