地球外生命体が発見されると人類に何が起こるのか?
By José Manuel Ríos Valiente
映画やテレビ、アニメなど数多くの作品で題材になり、検証番組や討論番組などでも扱われる地球外生命体の存在は、人間にとってロマンあふれることなのかもしれません。映画やアニメなどでは多くの場合、「人類対地球外生命体」という構図で描かれますが、実際に地球外生命体が発見されると一体どのようなことが起こるのか、元宇宙飛行士でありNASAで歴史学者としても勤務していた経験を持つスティーブン・ディック氏が詳細を明かしています。
How would the world change if we found extraterrestrial life?
http://phys.org/news/2015-01-world-extraterrestrial-life.html
地球外生命体について数々の書籍を執筆したディック氏によると、地球外で微生物を発見するだけでも科学や生物学といった研究分野に大きな影響を与えるとのこと。特に生物学はDNAをベースとした地球上の生物しか研究されていないため、もし火星やエウロパで微生物が発見されれば、地球外をベースにした新しい生物学が誕生することになります。
ディック氏は「発見した地球外生命体が生存していないケース、つまり化石を発見するだけでも生物学にとっては大きな進歩となる」と話しています。実は1984年に南極大陸で発見されたいん石「アラン・ヒルズ84001」の内部に「バクテリアのような生命体の化石らしきもの」が見つかり、地球外生命体の化石ではないかと騒ぎになったことがありました。生物学の学者たちは新たなる生命体の発見に非常に大きな期待を抱きましたが、記事執筆現在に至るまで、「発見された化石らしきものが何だったのか」についての正式な見解は発表されていません。
アラン・ヒルズ84001の発見から30年が経過した2015年になっても何も結論が出ていないことは、いかに地球外生命体の発見が困難かを示しています。ディック氏は「何かを発見しても、そこからのプロセスが本当に長いのです。地球外生命体である証拠を探し、証拠が見つかったら検証し理解する必要があります。アラン・ヒルズ84001の謎が明らかになるには、かなり長い年月を要するでしょう」と話しました。
クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見した後に先住民のインディアン(アメリカ先住民)と出会ったことなど、日本を含む世界の歴史では異なる文化を持つ人類の出会いがあります。ディック氏は「違う人種を発見したときに何が起こったのか?」という視点からも「地球外生命体を発見したときに起こり得ること」について研究中。ただし、過去の例を見てみると、文化の違う環境で育った人同士がコミュニケーションをとることは難しく、お互いを理解しようとしても一種のバリアのようなものが妨げてしまうそうです。
ディック氏は個人で研究するだけでなく各分野の識者を集め「新発見に向けての準備」という議題でシンポジウムを開催するなど、来たるべき日に向けて準備を進めています。シンポジウムでは「人間視点ではない生命に対する考え」や「新発見がもたらす哲学的・理論的問題への理解」といった内容で、識者たちが議論しているとのこと。
地球外生命体が本当に発見されることは想像しがたいですが、いつか発見されると確信しているからこそディック氏は研究を続けているわけです。いつ発見されるのか、また、発見されるとどのようなことが起こるのか、いろんな妄想が浮かんできます。
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