生き物

「宇宙人はいる?」を5人の専門家に聞いてみた結果とは?


宇宙人にまつわる議論の中には、確率論的な観点から「地球が存在する銀河系には少なくとも36種類の知的生命体が存在する」と主張する専門家もいれば、「宇宙広しといえど知的生命体は人類だけ」というもあります。そこで、学術系サイトのThe Conversationが5人の専門家に「エイリアンは存在するのか?」という質問をぶつけて、その答えをまとめました。

Do aliens exist? We asked five experts
https://theconversation.com/do-aliens-exist-we-asked-five-experts-161811


The Conversationは、オーストラリアの専門家5人に宇宙人の存在について質問し、その回答を「イエス」か「ノー」でまとめました。その結果が以下。

◆サザンクイーンズランド大学のJonti Horner氏「イエス」
Horner氏は、宇宙人がいるかどうかの質問に対し、「間違いなくイエスに決まっています。真の問題は、『私たちが発見できるほど近くに宇宙人がいるか』ということでしょう」と回答しました。

Horner氏が宇宙人の存在に自信を持っているのは、宇宙には非常にたくさんの惑星があるからです。Horner氏によると、これまでの研究により「ほとんどの恒星は惑星を持っている」ということが分かっているとのこと。人類が住んでいる天の川銀河だけでも4000億個の恒星が存在すると推定されており、それぞれに5個の惑星があるとすると、天の川銀河だけで2兆個もの惑星がある計算になります。


このことからHorner氏は、「これだけ惑星がたくさんあることを踏まえれば、優れた技術力を持つような知的生命体を含め、なんらかの生き物がいる惑星が地球だけだと考えるのは無理があります」と結論付けました。

Horner氏はその一方で、「仮に銀河系に高度な技術を持つ文明が400個あるとしても、天の川銀河は直径10万光年もあるので、それぞれの惑星は平均して1万光年は離れていることになります」と指摘。信号を受信するなどしてその存在を確認することが困難なことから、「私は宇宙人の存在を信じていますが、それを証明するのは極めて難しいことです」と述べました。


◆カーティン大学電波天文学研究所のSteven Tingay氏「イエス」
Tingay氏は、「宇宙人という言葉の定義を、地球外に生息するあらゆる種類の生命、つまりバクテリアのようなものも含む」と仮定した上で、「宇宙人はいると思いますが、かなり思い切った主張です」と述べました。

Tingay氏も、「宇宙には惑星が無数にある」ことを宇宙人が存在する根拠としている点や、それを証明することは困難だと見ている点ではHorner氏と同様です。

一方Tingay氏は、現代の科学では「生命の定義」でさえ意見が一致していないことを念頭に、何をもって「宇宙人」とするかは非常に難しい問題だと指摘しています。その上でTingay氏は、「私たちが考える『生命』の定義は非常に狭いので、宇宙人がいてもまったく異なる法則に従って生きている可能性があります」と述べて、Horner氏とは異なる観点からお互いを認識するのは難しいとの見方を示しました。

◆オーストラリア原子力科学技術機構のHelen Maynard-Casely氏「イエス」
中性子散乱という現象を手がかりに、太陽系外の物質について研究しているMaynard-Casely氏は、「地球外で生き物が見つかるのは時間の問題だと思います」と述べました。

Maynard-Casely氏は、木星の衛星であるエウロパガニメデの氷の下には海があることが分かっていることから、「太陽系内には、私たちになじみのある生命が存在できるような『隙間』がどんどん見つかっています」と話しています。

そんなMaynard-Casely氏が最も注目しているのは、土星の衛星であるタイタンです。2020年に、タイタンの大気から生命の起源となり得る分子が発見されて話題なったほか、2026年にはタイタンへ着陸機を送りこむNASAのミッション「ドラゴンフライ」が予定されています。

地球外生命発見を目指した土星の衛星探査ミッション「ドラゴンフライ」をNASAが発表 - GIGAZINE


こうした点からMaynard-Casely氏は、「私たちが、いつかどこかで活発な生き物が息づく『隙間』を見つけるのは、ますます必然的なことのように思います。その生き物が私たちに『ハロー』とあいさつしてくれるかどうかは、また別の問題ですが」と述べました。

◆スウィンバーン工科大学のRebecca Allen氏「イエス」
Allen氏は「銀河系だけでも1000億個以上の惑星が存在し、そのうち60億個は地球に似ている可能性があるので、地球外に生命が存在するのはほぼ確定です。しかし、それらは私たちとは似ても似つかない姿をしているでしょう」と回答しました。

地球で最も繁栄しているのは、人間ではなく微生物です。微生物は、海底火山の火口付近といったそれまで生き物が存在するとは思われていなかった厳しい環境でしばしば発見され、その度に科学界の常識を覆してきました。宇宙に地球外生命体がいるとしたら、こうした「極限環境微生物」だと、Allen氏は考えています。


◆ニューサウスウェールズ大学のMartin Van Kranendonk氏「ノー」
5人の専門家の中で唯一否定的な回答をしたVan Kranendonk氏は、「純粋に経験的なデータを元に回答するのであれば、宇宙人がいるかという質問の答えは『ノー』ということになります」と話しました。ただし、Van Kranendonk氏の基本的な考えは、生命の定義が定まっていないと指摘したTingay氏と同様です。

Van Kranendonk氏は、炭素をベースにした地球の生命の定義さえ定まっていないため、他の元素をベースにした地球外生命体を定義するのは困難だと指摘した上で、「より広い意味では、答えは『ノー』というより『分からない』といったところです。私たちに隣人がいるのか、あるいは宇宙には私たちしかいないのかが分かる日がいつか訪れるかもしれませんし、一生分からないままかもしれません」と話しました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1l_ks

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