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広告ブロッカーを許可することで広告主もユーザーもメリットを得られると研究者が指摘


ウェブサイトの閲覧時にアドブロック(広告ブロッカー)を使い、ウェブサイト上の広告表示をブロックする人も多いはず。広告収益で運営費をまかなうウェブサイトにとって広告ブロッカーは頭が痛いものですが、カーネギーメロン大学や香港城市大学の研究者らは、「広告ブロッカーの使用を許可することはユーザーや広告主の企業の双方にメリットがある」と主張しています。

The Beneficial Effects of Ad Blockers | Management Science
https://pubsonline.informs.org/doi/10.1287/mnsc.2020.3653

Ad Blockers May Benefit Websites, Users, and the Market at Large - Tepper School of Business - Carnegie Mellon University
https://www.cmu.edu/tepper/news/stories/2020/june/website-ad-blocker-research-srinivasan-ravi.html


GoogleやYahoo!といった大手インターネット企業が配信するものも含め、オンライン上で楽しめる多くの無料コンテンツは、主な収入源を「ウェブ広告」に依存しています。しかし近年ではウェブ広告の表示を妨げる広告ブロッカーを使用するユーザーが増えており、広告収入に依存するウェブコンテンツは大きな課題に直面しているとのこと。

広告ブロッカーは通常、ブラウザの拡張機能として追加されるソフトウェアの一種であり、ウェブサイト上の広告コンテンツを識別して読み込みを防ぎます。その結果、ウェブコンテンツを配信する運営者は広告収入を受け取れなくなってしまうため、中には広告ブロッカーを検出すると「広告ブロッカーをオフにしてください」というポップアップを表示し、オフにされるまではコンテンツの閲覧ができないウェブサイトも登場しています。

「広告ブロッカーは広告収入に依存するウェブコンテンツに悪影響を与える」という主張は一般的ですが、カーネギーメロン大学と香港城市大学の研究者らは、必ずしも広告ブロッカーの拒否が最良の解決策とはいえないと指摘。「ほとんどの推測は、広告ブロッカーが広告主とウェブサイトにもたらす結果が厳しいものだと示していますが、私たちの研究は広告ブロッカーが企業に利益をもたらす可能性があるという希望を示しています」と、カーネギーメロン大学のKannan Srinivasan教授は述べています。


研究者らは広告ブロッカーがもたらす効果を評価するため、広告の競争率や広告費、ユーザーの広告に対する敏感さをモデル化して分析を行いました。研究チームはユーザーを「広告に敏感であり広告ブロッカーを使用するタイプ」と「広告ブロッカーを使わないタイプ」の2種類に分け、ウェブサイトを「広告ブロッカーをオフにしないと閲覧できないタイプ」「全ての広告ブロッカーを許可するタイプ」「広告を表示しない代わりに有料購読が必要なタイプ」の3種類に分けて、シナリオを検討したとのこと。

分析の結果、研究チームは従来の想定に反して、「広告ブロッカーを許可するウェブサイト」がいくつかの利益を得られる可能性があると結論付けました。研究チームが主張する「広告ブロッカーを許可することで発生し得るメリット」が以下の4つ。

・広告が嫌いなユーザーを広告のターゲットから外し、広告を受け入れるユーザーのみをターゲットにした効率的な広告市場を構築できる。
・迷惑な広告をブロックすることで、ユーザー側が気持ちよくコンテンツを閲覧できる。
・広告配信企業が広告ブロッカーを通過させるために料金を支払うように動機付け、広告業界の規制を促す。
・効率的な市場の構築により、ウェブコンテンツの質が向上する。


今回の研究において最も重要な洞察は、「広告ブロッカーを許可することで、『広告ブロッカーを使うユーザー』と『広告ブロッカーを使わないユーザー』を識別できる」という点だったとのこと。広告ブロッカーを使うユーザーは広告を見ても反応しないことが多いため、広告のターゲットを広告ブロッカーを使わないユーザーに絞ることで、広告の効果をこれまで以上に高めることができると研究者らは指摘しています。

香港城市大学のStylianos Despotakis准教授は、「私たちの研究は、広告収入に依存するウェブサイトに示唆を与え、広告に関する決定をどのように進めるかの一般的なガイドラインを提供します」「たとえば、広告に敏感なユーザーに対して広告ブロッカーの使用を拒否しても、ウェブサイトは多くの広告収入を期待することはできません。広告ブロッカーを許可することで、ウェブサイトとユーザーの双方にメリットを得られます」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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