「広告ブロック機能は万能ではない」と研究者が指摘
さまざまなウェブサイトに存在する広告の中には、ユーザーが訪問したサイトの傾向を調べるトラッキングCookieを使用して、ユーザーが興味を示しそうな広告を表示することがあります。しかし、いくら興味を示しそうな広告だからといって、自分の情報が取られることに不快感を感じたり、目障りな広告自体を不快に感じたりして、広告ブロック機能を持つアドオンを使用する人が多くいます。ルーヴェン・カトリック大学でコンピューターサイエンスの教授を務めるウーター・ヨーセン氏らの研究チームは「広告ブロック機能が思ったほどうまく機能しない」と指摘しています。
Who Left Open the Cookie Jar? A Comprehensive Evaluation of Third-Party Cookie Policies
(PDFファイル)https://wholeftopenthecookiejar.eu/static/tpc-paper.pdf
Guess What: Ad Blockers Don't Block Ads That Well
https://www.tomsguide.com/us/ad-tracking-block-fail,news-27819.html
Cookie(クッキー)はウェブサイトにログインしたときの認証情報などを保存したものです。このCookieの処理はウェブブラウザの実装によって異なるものの、RFCで定められた仕様に従っており、基本的に全てのブラウザはアクセスしたサイトごとに個別のCookieを保存するようになっています。
そして、Cookieの内容をウェブサイトとやり取りする場合は、ブラウザがそのサイトのCookieのみをやり取りするようになっていて、他のCookieを送信する動作を行いません。たとえば、InstagramのサイトとCookieのやり取りするときは、Instagram用に保存されたCookieしか使用されず、自身の持つ他サイトのCookieがInstagramに送信されることはないというわけです。
ヨーセン氏らの研究チームによると、RFCの仕様に準じて機能は同じでもブラウザの実装の違いから「広告ブロック機能のレベルはブラウザによって差がある」とのこと。実際に研究チームはChromeやOperaの広告ブロック機能やアドオンを使用しても、PDFに埋め込まれたJavaScriptベースのトラッキングCookieをブロックすることができなかったことを確認しています。この原因について、研究チームは「ChromeやOperaは独自のPDFリーダーが組み込まれていますが、このリーダーの影響によるものと考えられる」と述べています。
また、SafariやEdgeにおいてはトラッキングCookieをブロックすることができなかったことや、Firefoxではリダイレクト処理を利用することでトラッキングCookieのブロックをバイパスできてしまう問題があることなども論文で報告されています。
研究チームは全体的に優秀な広告ブロックアドオンとして「Adblock Plus」挙げていますが、「同じアドオンでもブロックの精度はブラウザによって異なる」とのこと。なお、トラッキングCookieのブロックについては、「Ghostery」のFirefox用アドオンが最も優秀であったことが報告されています。
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