無重力空間&月重力下の両方で使える「宇宙用トイレ」に関する斬新なアイデアをNASAが募集中
NASAは2024年に月面に人を送る有人月飛行計画の「アルテミス計画」を予定しており、2020年4月30日にはこの計画の一環として、Amazon創業者であるジェフ・ベゾス氏が設立したBlue OriginやNASAと協同でアメリカ初の民間宇宙船の打ち上げに成功したSpaceX、Dyneticsという3社の宇宙開発企業と月面着陸機の開発契約を結びました。そんなNASAが、アルテミス計画の一環として「月面で使える斬新なトイレに関するアイデア」を募集するアイデアコンペ「NASA's Lunar Loo Challenge」を開催しています。
NASA's Lunar Loo Challenge | HeroX
https://www.herox.com/LunarLoo
NASA's Lunar Loo Challenge | NASA
https://www.nasa.gov/lunar-loo-challenge
2024年までに人類史上初の女性による月面着陸を目指しているのがNASAのアルテミス計画です。アルテミス計画は人類史上初の有人火星探査における地球外拠点を月面に設けるためにも重要な計画で、このためにNASAは月面着陸機の開発など、さまざまな新装備の開発に着手しています。
アルテミス計画において、宇宙飛行士は微小重力(無重力)環境や月面の低重力環境で食事や排泄を行うこととなります。宇宙空間用のトイレはすでに存在しており、例えば国際宇宙ステーション(ISS)などで使用されていますが、これらの宇宙用トイレは微小重力環境に特化して設計されたものであるため、よりコンパクトでより効率的に「宇宙空間および月面」で機能するトイレの開発が求められているとのこと。NASAはアルテミス計画の実現に向け、新型宇宙トイレの開発にすでに着手していますが、既存の航空宇宙工学とは異なるアプローチのアイデアを求めるために、アイデアコンペ「NASA's Lunar Loo Challenge」の開催を決定したそうです。NASAは宇宙飛行士が宇宙船内で地球にいるときと同じように排泄を行うことができるトイレを求めており、そのトイレは「微小重力環境」および「地球の約6分の1しかない月面の重力下」の両方で機能する必要があります。
なお、NASA's Lunar Loo Challengeには以下のページから参加可能。メインカテゴリのほかに18歳未満が応募可能なジュニアカテゴリも設けられています。アイデアコンペの賞金総額は3万5000ドル(約380万円)で、賞金はメインカテゴリに応募されたアイデアのうち上位3つのデザインに配分され、1位が2万ドル(約220万円)、2位が1万ドル(約110万円)、3位が5000ドル(約50万円)を得られます。また、ジュニアカテゴリの入賞者3名にはNASAによる講評および、NASAのロゴ入り賞品が贈られます。
NASA's Lunar Loo Challenge | HeroX
NASAがアイデアを求める「新型宇宙トイレ」として求められる要件は、微小重力環境および月重力下で使用できるだけでなく、4.2立方フィート(約1.3立方メートル)以下のサイズであり、60デシベル以下の音で動作するというものです。また、尿と糞の両方を同時に収集可能で、少なくとも1リットルの液体廃棄物と500グラムの固形廃棄物を保持できる必要もあります。加えて、1日当たり少なくとも114グラムの月経血を収集することができる必要があります。
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