体を傾けるだけでスイスイ移動可能な未来の乗り物「セグウェイ」が生産終了へ
ステップの上に立って体重のバランスを変化させるだけで、最大時速20kmで直感的な移動が可能となる電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」の生産が2020年7月15日に終了するとのことです。
Segway ends production
https://www.fastcompany.com/90517971/exclusive-segway-the-most-hyped-invention-since-the-macintosh-to-end-production
セグウェイは、発明家のディーン・ケーメン氏が「ジンジャー」というコードネームで開発していたもので、初の製品版となるセグウェイHTが2001年12月3日に発表され、2003年4月に一般販売が始まりました。
以下のムービーを見ると、セグウェイがどんな乗り物なのかが一発でわかります。
Segway 2003 - YouTube
「正体不明の新発明」「Appleのマッキントッシュ以来最も待ち望まれたハイテク製品」などメディアにもてはやされたセグウェイは大きな話題になり、セグウェイのアスキーアートも登場しています。
セグウェイ [AA弐典]
http://heno2.com/2ch/v.php?04267
複雑な操作は必要なく、体重移動のみで自由に移動が可能であることから、機動力やコミュニケーションを必要とする一部の警察や警備会社でセグウェイが導入されました。
シカゴ警察は「セグウェイ 警察専用モデル」でパトロール - GIGAZINE
セグウェイを販売するセグウェイ社は最初の13カ月で10万台の販売を計画していたものの、2003年から2020年までの累計売上台数はおよそ14万台だったとのこと。売上台数が伸び悩んだ理由について、セグウェイ社の社長であるジュディ・カイ氏は「セグウェイそのものは非常によい出来で、12年経っても問題なく動作します。そのため、新しいユニットに買い換える必要性が低く、売上が落ちてしまいました」と推測しています。
また、「自転車やスクーターに比べるとあまりにも斬新すぎるコンセプトを持つセグウェイは初心者にとって価格やハードルが高く、新規購入層があまり増えなかったことで売上台数が伸び悩んだ」という意見もあります。セグウェイ社のグローバルビジネス開発担当ヴァイス・プレジデントのトニー・ホー氏は「キックスケーターは乗り方がシンプルで、誰でも簡単に習得でき、学習曲線はありません。一方で、セグウェイに初めて乗る時には、まず体重バランスを取る方法から学ぶ必要があります」と述べました。
ホー氏が指摘するように、セグウェイは乗り方にややコツが求められ、失敗すると転倒してしまう危険があります。実際、ジョージ・W・ブッシュ元アメリカ大統領がセグウェイを購入し、休暇中にセグウェイに乗る時に転倒しそうになった瞬間がテレビで放映されたこともあります。
George Bush Going out of Business Sale#1 - 2 Segways - YouTube
また、セグウェイ社のオーナーだったジェームズ・ヘゼルデン氏がセグウェイを運転中にバランスを崩し、崖から転落して亡くなったという事件も2010年に報じられました。
セグウェイ社オーナー、セグウェイで転落死|日テレNEWS24
https://www.news24.jp/articles/2010/09/28/10167603.html
セグウェイ社は2013年に投資会社のSummit Strategic Investmentsに買収され、2015年に上海の輸送ロボット企業であるNinebotに売却されました。海外ニュースメディアのFastCompanyによれば、アメリカ・ニューハンプシャー州の工場で唯一生産されていたセグウェイPTが2020年7月15日に生産終了する予定。合計21人の従業員が解雇され、セグウェイの保証や修理などのサポート対応として12人の従業員が一時的に会社に残留するそうです。また、セグウェイの子会社でスクーター共有事業を展開しているセグウェイ・ディスカバリーはそのまま残りますが、従業員は5人を予定しているとのこと。
なお日本では、セグウェイはモーター出力の関係から普通自動二輪扱いとなり、公道で走るためには普通自動二輪免許の所持、さらにブレーキや灯火装置、ナンバープレートの取得が義務づけられるため、公道走行は実質不可能でした。ただし、近年は規則の改正によって、セグウェイは小型特殊自動車に分類され、茨城県つくば市や東京都世田谷区一部エリアでは実験的に公道走行が可能となっています。
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