「郊外の家」への需要が急増、住宅価格はどう変化するのか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でコンドームの需要が急増し、サプライチェーンのあり方に見直しが求められ、「自分で野菜を育てること」への注目度が上がるなど、さまざまな変化が生じています。これらと同様に不動産の需要にも影響があり、都市部や郊外で価格の変動が起こると予測されています。
Coronavirus update: People flee cities to live in suburbs
https://www.cnbc.com/2020/06/18/coronavirus-update-people-flee-cities-to-live-in-suburbs.html
Manhattan real estate deals plunge 84% in May amid coronavirus, protests
https://www.cnbc.com/2020/06/03/manhattan-real-estate-deals-plunge-84percent-in-may-amid-coronavirus-protests.html
不動産検索サイトの「Realtor.com」によると、2020年5月の郊外の郵便番号を使っての不動産検索が13%増加しており、都市部の2倍の成長速度を記録したとのこと。
Realtor.comのディレクターであるJavier Vivas氏は「郊外への移住は新しいトレンドではありませんが、この春にはより顕著になりました。数カ月にわたって『家にいること』を命じられたことにより、より広い空間へのニーズが増えたこと、そしてリモートワークの可能性が示されたことが、この需要を生み出したのだと考えています」と述べています。
「郊外への興味を持つ人」の急増は、アメリカにある100都市のうち半数以上でみられているとのこと。Realtor.comのニューヨーク担当者は、2020年5月はニューヨークの誇る大都市であるマンハッタンでアパートの契約が80%も減少したと伝えています。
一方、マンハッタン郊外のニューヨーク州ウェストチェスター郡、および近接するニュージャージー州のグリニッジ、コネチカット、ベルゲン郡などで需要が増加していることもわかっています。マンハッタンで起こっている住宅の「供給過多」から短期的な価格の低下が起こるとみられていますが、在宅勤務が緩和されればある程度はその傾向も緩やかになる見通しです。ただ、「郊外への移住」はCOVID-19が流行する前から起こっており、パンデミックによってそれが加速したという流れであるため、「マンハッタンの住居の需要低下」という現象自体は、パンデミック後も続いていくとみられています。
アメリカに住む多くの人はこれまで、住宅に関して「市内の中心地で小さな家に住むこと」と「市の中心から離れた大きな家に住むか」の選択を求められてきました。COVID-19のパンデミックをきっかけに在宅勤務が可能になることで、後者の選択肢がより魅力的なものになってきたわけです。
一方で、ロックダウンで都市部の観光業が停止したために「民泊物件が増加したために家賃が高騰し、都市部から人が離れている」という問題が起こっていたスペインでは、住民が都市に戻りつつあることも報告されています。
新型コロナウイルスの流行とロックダウンのおかげで都市に住民が戻りつつある - GIGAZINE
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