サイエンス

「若者のうつ病は睡眠不足に深く関連している」という研究結果


「寝る子は育つ」という言葉がある通り、若者にとって質の高い睡眠は健康的な成長に欠かせません。レディング大学フリンダース大学ゴールドスミス・カレッジによる共同研究チームが、「10代の若者にみられるメンタルヘルスの悪化は、睡眠習慣の悪化と関連がある」とする論文を発表しています。

Self‐reported sleep patterns and quality amongst adolescents: cross‐sectional and prospective associations with anxiety and depression - Orchard - - Journal of Child Psychology and Psychiatry - Wiley Online Library
https://acamh.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jcpp.13288


Poor sleep significantly linked with teenage depression | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/uor-pss061720.php


研究チームは、10代の若者4790人を対象に、睡眠の質と量についての調査を行いました。この4790人の参加者にはうつ病や不安障害をを抱える者も含まれており、健康的な若者とそうでない若者で調査結果比較しました。


その結果、健康的な10代の若者は、平日だと1日平均8時間、週末だと1日平均9時間30分の睡眠を取っていることが判明しました。一方、うつ病の診断を受けた若者のグループは、平日の睡眠が7時間30分未満、週末でも9時間を超える程度であることがわかりました。

また、1週間の合計睡眠時間を見ても、健康的な若者のグループは平均で3597分の睡眠時間を取っているのに対し、うつ病の診断を受けた若者のグループは平均で3325分でした。また、不安障害を抱える若者の多くが「睡眠の質が下がっている」と報告。さらにうつ病の診断を受けた若者は「睡眠の質と量の両方で問題を抱えている」と報告する傾向にあったそうです。

研究チームは、データが自己報告に基づいているために正確性は低いものの、睡眠の質と量がメンタルヘルスに大きな影響を与えるということは非常に重要な結果であると述べています。


レディング大学の臨床心理学講師であるフェイス・オーチャード氏は「この最新の研究は、10代の若者の睡眠と精神衛生には重要な関連性があることを示すもう一つの証拠です。この研究では、うつ病と不安を経験したことのある若者は、10代の間に睡眠不足を圧倒的に経験していたことが強調されています」とコメントしました。

さらにオーチャード氏は「気になるのは、うつ病を抱える若者が健康的な若者と比べて『毎晩30分遅く寝る』ということです。データの中には、睡眠の質と量が非常に悪いと報告した参加者もいて、10代の若者の健康と幸福を考える場合、睡眠をもっと考慮する必要があることが浮き彫りになっています」と論じ、「10代の若者の睡眠習慣とメンタルヘルスは相互に関連しています。睡眠習慣の悪化はメンタルヘルスの悪化に関連し、メンタルヘルスが悪化した若者は睡眠の質や量が悪化します」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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