生活への満足度が最大化する自由時間はどのくらいなのか？多すぎてもダメだという研究結果

やりたいことをやるためには先立つ資金や条件が求められるため、仕事や学業を適度にこなす必要があります。一方で、仕事や学業に必死になって自分の自由時間が減ってしまうと、どうしてもストレスがたまってしまうもの。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者が「生活への満足度と自由時間の量には相関関係がある」という分析を発表しています。その中で研究者は、「自由時間は多すぎでも少なすぎでもなく、ちょうどよい長さが与えられた時に人は最も満足する」と主張しています。

The Effects of Being Time Poor and Time Rich on Life Satisfaction by Marissa Sharif, Cassie Mogilner, Hal Hershfield :: SSRN
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3285436

How Much Free Time Do the Happiest People Have? - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/family/archive/2019/02/free-time-life-satisfaction/583171/

研究チームは3万5375人のアメリカ人を対象とした大規模なデータセット2つを分析し、「現状の生活満足度」と「一日に所有する自由時間」について調査を行いました。すると、仕事をしている人の生活満足度は1日あたり2時間30分の自由時間がある時にピークを迎えることが判明。また、仕事をしていない人の満足度は、自由時間が1日あたり4時間45分の時が最大だったこともわかりました。

自由時間と生活への満足度に相関関係があるということは、以前から指摘されていました。しかし、論文の共著者であるUCLAのCassie Mogilner Holmes教授によると、「自由時間があればあるほど生活満足度が上がるわけではなく、最適値を超えてさらに多くの自由時間を与えられると逆に満足度が下がってしまう」ということが今回の研究からわかったそうです。

ただし、テキサス大学オースティン校の経済学者であるDaniel Hamermesh氏はこの研究が「自由時間と生活満足度の相関関係を証明したと論じるのは難しいかもしれない」と、懐疑的な見解を述べています。Hamermesh氏によると、この論文で分析されているデータの中で、回答者が見積もる自由時間は正確ではなく信頼性に欠けるとのこと。また、「どういう時間が自由時間にあたるのかという定義が人によってさまざまであるため、体系的に自由時間であるか否かを語ることは難しい」と、Hamermesh氏は指摘しています。

一方で、Hamermesh氏は「時間感覚と生活満足度が強く結びついている」ことを示す先行研究が存在すると認めています。例えば、2017年に発表された論文では「お金を使って時間を買うこと」が幸福度につながるという結果が報告されています。

外食したりお手伝いさんを雇って「自分の時間を買う」ことで人はより幸せになれるという結果が判明 - GIGAZINE

つまり、外で食べ物を購入して持ち帰ることで料理を作る時間を節約したり、ハウスキーパーを雇って掃除の時間を節約したりすることで、自分の自由時間が増えて生活満足度が上がり、幸福度が増すというわけです。Hamermesh氏は「1時間の仕事の代わりに1時間の睡眠やテレビ視聴をすることで、ストレスを減らすことができるでしょう」と述べています。

Holmes教授は「人の幸福度は『自由時間をどれだけ持っているか』だけではなく『自由時間をいつ持っているか』にも関係があるかもしれません。自由時間をどのタイミングで取るか、その順番や構造が人の幸福度にどれほど影響を与えるのかについて研究を行いたいと考えています」と述べました。