恐竜を絶滅に追い込んだ小惑星衝突をスパコンでシミュレーションしてわかったこととは?

およそ6600万年前、地球に直径およそ10~15kmの小惑星が衝突しました。この衝突の規模は地球史上3本の指に入るもので、当時繁栄していた恐竜の大量絶滅につながった原因と考えられています。インペリアル・カレッジ・ロンドン地球科学科の研究チームが、この6600万年前の小惑星衝突をスーパーコンピューターでシミュレートしたところ、「衝突時の角度」が恐竜の運命を左右したと判明しました。
A steeply-inclined trajectory for the Chicxulub impact | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-020-15269-x
Supercomputer simulates the impact of the asteroid that wiped out dinosaurs | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/supercomputer-simulates-the-impact-of-the-asteroid-that-wiped-out-dinosaurs/
シミュレーションは、およそ6600万年前に衝突した小惑星が地球にどういった軌道と角度で衝突したのかを可能な限り正確に把握することに焦点を当てたもの。さまざまな衝突角度と速度を考慮した上で、研究チームはスーパーコンピューター上で3Dシミュレーションを行い、実際に約6600万年前に小惑星が衝突した痕跡であるメキシコ・ユカタン半島北部のチクシュルーブ・クレーターの構造と比較しました。

シミュレーションはレスター大学所有のスーパーコンピューターで行われました。なお、このスーパーコンピューターはIntelのSkylake世代・合計1万4000コアのチップを搭載する「HPE Apollo 6000 Gen10」で、シミュレーション時には6TBのメモリを搭載したサーバーによるサポートも受けていたそうです。
これまでのシミュレーションは計算上の制限によって2次元的に行われていたそうですが、今回の調査においては300回近い3Dシミュレーションが行われ、今まで注目されてこなかった「小惑星衝突の角度」にも注目したと研究チームは述べています。
その結果、約6600万年前に衝突した小惑星は、およそ60度の角度で地表に衝突したことが判明。また、この衝突時のエネルギーは広島に落とされた原子爆弾およそ10億発分だったとのこと。吹き飛ばされた地上の岩や堆積物は太陽光を遮り、数十億トンもの硫黄を含んでいたために大気成分が大きく変化し、気候変動に大きな影響を与えたと考えられます。
また、衝突後にクレーターがどのように隆起したのかも検証されました。シミュレーションによると、衝突から20秒で半径40km・深さ30kmもの穴が地表に空いたものの、およそ3分後には地表が隆起して山を形成し、衝突5分後にはクレーターは深さ30kmの穴が埋まってしまう結果となりました。

これまでの研究では、およそ6600万年前に衝突した小惑星は、地表に対して垂直に近い角度でぶつかったと考えられていました。しかし研究チームによれば、小惑星が地表に垂直に近い角度で突入するよりも、およそ60度で突入する方が地表の生き物にとって致死性が高いとのこと。研究チームは「むしろ垂直に近い角度で突入していたら、恐竜は絶滅を免れた可能性もある」と述べました。
なお、研究チームは同じスーパーコンピューターを使い、今度はガス雲の粒子から星が生まれる過程をシミュレートする研究に着手しているそうです。
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in サイエンス, Posted by log1i_yk
You can read the machine translated English article What did you learn by simulating an aste….