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Googleとフードデリバリーサービスが「広告」を使って地元のレストランから顧客を奪っているとの指摘


オンラインや電話でレストランやファストフード店の料理を注文すると、自宅までドライバーが料理を運んできてくれるフードデリバリーサービスは、家から出ずに食事を済ませたい人々にとって非常に便利なものです。しかし、ミシガン州ランシングという都市で小さなレストランのオーナーを務めているTravis Stolikerさんは、「GoogleとGrubhubDoorDashなどのフードデリバリーサービスが地元の小さなレストランに大きな損害を与えている」と主張しています。

How Google, DoorDash, & Grubhub Conspire To Screw Local Restaurants | Saddleback BBQ
https://www.saddlebackbbq.com/how-google-doordash-grubhub-conspire-screw-local-restaurants

ランシングで「Saddleback BBQ」というバーベキューレストランを経営しているStolikerさんは、「レストラン経営が難しいことは多くの人が知っていますが、世界最大級の2つの企業があなたの顧客を盗もうと陰謀を企てている場合、レストラン経営はより困難になります」と主張。Googleと大手フードデリバリーサービスが地元のレストランから顧客を奪っている方法について、Saddleback BBQが直面している例を挙げて解説しています。


Stolikerさんは「多くの消費者は理解していませんが、あなたがGrubhubやDoorDashなどの大手フードデリバリーサービスに注文する時、単にあなたが配送料金やサービス料、ドライバーへのチップを支払うだけではありません。私たちレストランオーナーも支払いを行います」と述べています。あまり公に話されることはないものの、料理代金の15~35%がフードデリバリーサービスによって徴収されているとのこと。この料金は顧客が支払う配送料やサービス料、チップなどとは別にレストラン側が負担する必要があり、利益率の低い飲食店業界にとってはかなりの痛手になっているとStolikerさんは指摘。

一体なぜレストラン側がこのような料金システムを飲んでいるのかというと、フードデリバリーサービスは「広告費」という名目でこの料金を徴収しているからだそうです。大手のフードデリバリーサービスが持つ巨大なプラットフォームと顧客数の多さは飲食店にとっても魅力であり、「広告費を払って大手のフードデリバリーサービスに登録することで、新規顧客の開拓ができる」とささやかれれば、レストランオーナーたちは条件を飲んでしまうとのこと。


たとえ支払い負担が大きなものであっても、新規顧客の開拓ができるのであればレストラン側の利益も小さくないように思えます。しかしStolikerさんは、「これが事実であればいいことだと思えますが、残念ながら全く事実ではありません」と指摘し、DoorDashやGrubhubはGoogleと結託してレストランの顧客を奪っていると主張しています。

たとえばStolikerさんが経営するSaddleback BBQがあるランシングの人々が、Saddleback BBQへの道順を調べようと「Saddleback BBQ Lansing(Saddleback BBQ ランシング)」とGoogle検索したとします。以下の画像を見ると、確かに検索結果の最上部にはSaddleback BBQの公式サイトが表示されているものの、右側にある写真や地図付きのパネルが大きく目立っています。右側のパネルはSaddleback BBQの公式サイトではなく、DoorDashがGoogleに広告費を支払って掲載している広告です。このパネルをクリックすると……


すんなりDoorDashを通じてSaddleback BBQに注文を入れるフォームに飛ぶわけではなく、ランシングで「バーベキュー」を提供する全ての店舗リストのページにリダイレクトされます。さらに、リストの一番上には「Applebees」という別のレストランが表示されています。


「要約すると、DoorDashはGoogleに広告費を支払って、『Saddleback BBQ』というレストラン名で検索している顧客を奪い、自分たちのページにリダイレクトしています」とStolikerさんは述べ、Googleの検索結果画面で広告が目立つ点よりも、広告をクリックしてもSaddleback BBQへの注文につながらない可能性があるシステムが厄介だと指摘。

「Saddleback BBQ」と検索した顧客がフードデリバリーサービスのプラットフォームに誘導され、別のレストランで注文をしてもSaddleback BBQには1ドルも支払われません。一方、顧客がDoorDashのプラットフォーム上で再度「Saddleback BBQ」と検索して注文を済ませた場合には、Saddleback BBQがDoorDashに対して「広告費」を支払わなくてはなりません。この広告は、「BBQ in Lansing」といった検索ワードでは表示されないとのことで、DoorDashは固有のレストラン名を利用して自らの利益につなげているとのこと。

同様の行為はGrubhubも行っており、たとえば「Saddleback BBQ Hours」と検索した場合、DoorDashの代わりにGrubhubのプラットフォームに誘導する広告が表示されます。


もちろん、Saddleback BBQとフードデリバリーサービス間の問題はあくまで契約に基づいたものであり、Saddleback BBQが「新規顧客の開拓」による利益を見込んでDoorDashやGrubhubと契約したのは確かです。「私が明確にしたいのは、フードデリバリーサービスに対する広告費の支払いが問題なのではないという点です。問題は、フードデリバリーサービスが私たちのブランド名を積極的に使用して、私たちを探している顧客に自社のプラットフォームを宣伝しているという点です」と、Stolikerさんは指摘しています。

StolikerさんはDoorDashやGrubhubの担当者と連絡を取り、Saddleback BBQの名前を使って自社プラットフォーム上に誘導する慣行を止めるように訴えました。すると、しばらくの間は「Saddleback BBQ」で検索した際に広告が表示されなくなるそうですが、やがて復活してしまったとのこと。

Saddleback BBQは公式サイト上でも配送を受け付けているため、DoorDashやGrubhubとの契約を終了しても、初めからSaddleback BBQに注文したいと思っているユーザーは公式サイトを通じて出前を頼むことができます。「問題は、契約をキャンセルすると本当に彼らが『Saddleback BBQ』を探している顧客を奪い、競合他社に誘導するのを止めるかどうかです。私にはわかりません」と、Stolikerさんは述べました。

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in ネットサービス,   , Posted by log1h_ik

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