キモいと話題の四足歩行ロボット「Spot」が通行人に社会的距離の確保を促すムービーが公開中

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散を防ぐため、「社会的距離を取る」という施策が世界各地で実施されています。そんな施策の1つとして、シンガポールのビシャン・アンモキオ・パークでは、ボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot」が巡回警備を行って社会的距離の確保を促すという実験が2020年5月8日よりスタートしています。

NParks and SNDGG trial SPOT robot for safe distancing operations at Bishan-Ang Mo Kio Park
https://www.tech.gov.sg/media/media-releases/spot-robot-trial-for-safe-distancing-operations

Roaming 'robodog' to promote safe distancing at Bishan-Ang Mo Kio Park - CNA
https://www.channelnewsasia.com/news/singapore/covid-19-robot-dog-bishan-ang-mo-kio-park-safe-distance-nparks-12716124

Spotは不整地走行やロボットアームでドアの開閉も可能という性能もさることながら、ビジュアルや挙動で「キモい」と話題を呼んできた四足歩行ロボット。そんなSpotがシンガポールの公園でどのように活躍しているかは、以下のムービーを見るとわかります。

Meet the robot dog promoting safe distancing in Singapore's parks - YouTube


ガションガションと公園の歩道を移動するSpot。

Spotは備え付けられたカメラで、視界内の人の数を瞬時に算出可能。このカメラは個人を特定する情報を認識しないため、個人情報を収集することはできません。

Spotはコントロールセンターからリモートで制御されているため、実際に公園に向かわずとも遠隔操作で公園内でのヒトとヒトの接触を減らすことが可能。

Spotの利点の1つはさまざまな地形を走れる不整地走行能力。この不整地走行能力に加えて、1メートル以内の物体を検知して衝突を回避するという機能が公園のパトロールに最適です。

同園で運用されているSpotは、ランニングやサイクリングしている人を見かけると、「シンガポールを健康に保ちましょう」「あなた自身とあなたの周りの人々のために少なくとも1メートルは距離を取りましょう。ありがとうございます」という女性の声で語りかけます。

ビシャン・アンモキオ・パークでのSpotの運用は、シンガポール国立公園委員会と、シンガポール財務省と情報通信庁のデジタル部署が連携して設立したスマート国家デジタル政府グループによって行われています。2020年5月8日からスタートしているのは2週間の試験運用で、この期間中は稼働時間は閑散時、移動範囲は公園内の「氾濫原セクション」という園内の一部に限られ、Spotに随伴員1名が同行します。

シンガポール政府技術庁の発表によると、今回の試験運用の成否を受けて、稼働時間の延長やビシャン・アンモキオ・パーク以外の公園での運用が検討される予定。シンガポール国内では、SpotはCOVID-19の感染者の隔離施設として使われているチャンギ・エキシビション・センター内での医薬品などの運搬にも活用されており、スマート国家デジタル政府グループはSpotの運用方法を模索していると述べています。

シンガポール国立公園委員会は「COVID-19の流行を抑えるために家にとどまるべき」というアドバイスを繰り返し発信しており、散歩・ジョギング・サイクリングなどをしたい場合は1人で近くに公園に行き、運動が終わったらすぐ家に戻ることを推奨しています。加えて、同委員会は、激しい運動をする場合を除いて外出時にはマスクを着用するよう促しています。