新型コロナウイルスで「クラウドのあり方」が変化しているとGoogle CloudのCEOであるトーマス・クリアン氏が語る
Google CloudのCEOである元Oracle幹部のトーマス・クリアン氏が、海外の技術系メディア「Protocol」のインタビューに答えており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という状況におけるクラウドの在り方について語っています。
Google’s Thomas Kurian on COVID-19 and the cloud battle - Protocol
https://www.protocol.com/interview-with-google-cloud-ceo-thomas-kurian
クリアン氏はOracleの幹部を務めた経験を評価され、2018年にGoogle Cloudの最高責任者に就任しました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、Google Cloudは顧客とともにビジネスの新しい基準を模索し続けているとのこと。感染拡大を抑えるための外出自粛により、小売企業からのクラウドの需要は「店頭在庫の管理」から「デジタル販売」へと
一夜にして変化し、世界中の自治体は、時代遅れの技術で維持されている基幹システムを提供するのに苦労しているとクリアン氏は語っています。
「Googleは新型コロナウイルス感染症によってどのような影響を受けましたか?」という質問に対し、クリアン氏は「最初のステップは、従業員の安全を確保することでした」と回答。従業員を在宅勤務にいち早く切り替えることが最優先だったと語っています。
従業員の安全を確保したうえで、「Googleは政府に対しては市民を、医療機関に対しては健康の促進を助けるといった形で、世界中の組織をその目的に寄り添いながら手助けしてきました」とクリアン氏は語っており、ニューヨークにおける失業者を援助するシステムの開発などを例として取り上げています。また、新型コロナウイルスの遺伝子パターン解析や感染症の治療法の特定においても政府や医療機関と協力しているとのこと。
「Google Cloudの利用方法について変化はありましたか?」という質問に対しては、先述の新型コロナウイルス対策の援助に加え、新型コロナウイルス感染症によって特に大きな影響を受けている業界である「旅行」「宿泊」「テーマパーク」からの需要が増えたとクリアン氏。これらの業界では、データセンターの減価償却費が固定費として、外出自粛による厳しい経営状況に重くのしかかっており、クラウドへの移行を検討する声が上がっているとのこと。外出自粛によって問い合わせが減っているタイミングであり、移行がしやすいという事情もあるそうです。
また、アメリカの中小企業庁が実施予定である新型コロナウイルスに関連する融資プログラムへの対応など、金融機関のクラウドに対する需要も増えているとのこと。金融機関における手続きの急増に対応するためには、テクノロジーの力が必要だとクリアン氏は語っています。
「Googleは十分な顧客が見込めないサービスをすぐに終了するとの評判がありますが、苦しい状況でGoogleを頼る新規顧客に対し、長期にわたりサービスを提供していくとどのように保証しますか?」という鋭い質問には、「Google Cloudのサービス規約は他の競合サービスと同じであり、競合他社と同じく、適切な時期に通知することなしにサービスを終了することはありえません」とクリアン氏は回答。
Googleは2018年頃からクラウドビジネスに多額の投資を行っており、2023年までという期限を設けて、AmazonとMicrosoftの一方、または両方を上回ることを強いられている、という報道については「すべて間違っている、ということ以外に言えることはありません」とクリアン氏は回答しており、企業買収による事業拡大ついても否定的な姿勢をとっています。
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クリアン氏は「最も良いパートナーシップは最も困難な状況で試されるもので、パートナーに対してできる限り多くのビジネスをもたらし続けます」とコメントしています。
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