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新型コロナウイルス感染症について「判明している基本的な事実」とは?


2020年4月8日、日本国内で1日に確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者の数が初めて500人を超えました。こういった状況の中、新型コロナウイルスに対して適切な対策を講じるため、「全国民が正しい知識を得ること」が急務となっています。世界保健機関(WHO)の諮問委員会である「感染ハザードに対する戦略・技術顧問グループ」の委員長を務めるデイヴィッド・ヘイマン教授が、新型コロナウイルスに関する「基本的な事実」について解説しています。

What we do (and don't) know about the coronavirus | David Heymann - YouTube


今回のムービーは、世界のCOVID-19感染者が8万2000人以上に達した2020年2月27日に収録されたものです。


「COVID-19に感染したらどうなりますか?」という質問に対して、ヘイマン教授は「大部分の人々は普通の風邪のように軽い症状ですが、特定の人々は重症化します」と述べて、「医療従事者は重症化しやすい」と説明。医療従事者は一般の人よりも大量のウイルスに接触するため、症状が深刻化するとのこと。一般の人々は大量のウイルスにさらされることはないため、軽症になる確率が高いそうです。


また、「高齢者や基礎疾患がある人の場合は医療機関で治療を受けることが不可欠」とコメント。これは高齢者や基礎疾患がある人は重症化しやすいというデータが出ているためだと考えられます。


「誰がCOVID-19を一番気に掛けるべきなのか?」という質問については、「発展途上国の人々」だと回答。発展途上国では地域に医者がいないケースすらあるため、パンデミックが拡大する可能性が高いとのこと。先進国の場合は、前述の理由により「糖尿病などの基礎疾患を持つ高齢者」がCOVID-19を特に気にすべきとのこと。


ヘイマン教授は「どんな持病を持っている人が重症化のリスクが高いのか?」という質問には、「何よりもまず呼吸器疾患をすでに持っている人がリスクが高い」と回答。そして、「高齢者は免疫力が低下しているので重病化しやすい」と高齢者の重症化リスクが高いことを再三にわたって強調しました。また、インフルエンザを併発したケースや、肺炎を発症した上に別種の細菌にも感染したケースも確認されているそうです。


「どこで最新の情報を入手すべきか?」という疑問については、ヘイマン教授はアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のCOVID-19特設ページを最初に挙げ、次に世界保健機関(WHO)のCOVID-19特設ページを挙げて、「こういったところから情報を一人一人が入手してよく理解し、自分なりに感染拡大に対する責務を果たすことが重要です」と説きました。


ヘイマン教授は、コロナウイルスの一種であるSARSが2003年頃に流行したときに世界的な対応を指揮した人物です。そんなヘイマン教授に対して、「今回の新型コロナウイルスとSARSはどう違いますか?」という質問も投げかけられました。ヘイマン教授はこの質問に対して、「新種のウイルスに対して人類は抗体を持っていないという点は共通しています。抗体がないウイルスに対して、免疫システムがどのように対処できるかは定かではありません」と回答。


また、このムービーの収録時点ですでにCOVID-19の総死者はSARSの総死者を上回っていましたが、ヘイマン教授は「SARSの致死率は10%だったが、COVID-19は2%かそのくらいだと見積もられる」「SARSと比較すれば致死率については低いといえます」とコメントしました。


また、中国で発生したとみられているCOVID-19が海外に拡散しているという状況について、「空港などの国境での検疫は適切に行われているといえますか?」という質問も登場。ヘイマン教授は、「感染はしているものの発症には至っていない潜伏期間中の感染者を見つけることはできないため、空港や国境で体温をチェックしてもCOVID-19の国内侵入は防げません」と指摘。検疫はあくまでCOVID-19が猛威を振るっている地域から来た人々に「適切な対応策」を提供できる機会でしかないと語りました。


「ワクチンはいつ完成するのでしょうか?」という質問に対して、ヘイマン教授は2020年2月27日時点で「まだ研究段階ですが、まもなくいくつかのワクチンで動物実験が始まる見込みです」「ワクチンが完成後、規制当局が承認してから実用化に至るという仕組みなので、一般に利用できるようになるには1年以上はかかります」と答えました。なお、3月17日にはアメリカでCOVID-19のワクチンのヒト臨床試験がスタートしています。


「今回のアウトブレイクで未解明の問題はありますか?」という質問に対しては、「ウイルスの感染方法については判明しているものの、コミュニティの内部や開放された空間でどのように感染が広がるかは判明していません」と回答。ヘイマン教授は、クルーズ船のような密閉空間では感染が広まりやすいことは既知の事実ですが、もっと開けた屋外などの空間で感染がどう広がるかについてはよくわかっていないと説明しました。


また、ヘイマン博士は「世界的な対応を改善する方法」について、エボラ出血熱の流行時に先進国が「どのようにアウトブレイクを止めるか」という介入方法の議論に終始して「発展途上国の感染検出能力や対応できる能力を高める」と考えなかったことを例に挙げて、「発展途上国の感染拡大は、先進国の私たちが人員などを派遣して止めなければならない」と指摘。「感染国を支援する方法」が大事だと説きました。


「将来的に新たなアウトブレイクが発生する頻度は上昇するでしょうか?」という質問に対して、ヘイマン教授は「人口が増加すればみんな密集して生活します。さらに人口が増加すれば多くの食料が必要となるため、家畜がより多く飼育されるようになります。その結果、家畜と人間、家畜と家畜の距離はどんどん近くなり、アウトブレイクが起こる温床になっています」と述べて、「現状は将来起こることの警告でしかありません」とコメントしました。


最後にヘイマン教授は、「未来の予測はできませんが、最悪の事態に備え、COVID-19にかからないよう自分自身や他の人の身を守る方法を学んでおく必要があります」と訴えました。

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in 動画, Posted by darkhorse_log

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