WeWorkが3000億円分の株式公開買付けをキャンセルしたソフトバンクに損害賠償を求め提訴
ソフトバンクが、コワーキングスペースを提供する「WeWork」運営会社であるThe We Companyの30億ドル(約3300億円)分の株式公開買付けをキャンセルしたことを明らかにしました。これを受けて、WeWork取締役会の特別委員会は、損害賠償を求めてソフトバンクを提訴したと発表しました。
WeWork Special Committee Files Lawsuit Challenging SoftBank’s Wrongful Decision to Terminate Tender Offer | Business Wire
https://www.businesswire.com/news/home/20200407005479/en/WeWork-Special-Committee-Files-Lawsuit-Challenging-SoftBank%E2%80%99s
WeWork sues SoftBank in intensifying crisis over canceled $3B tender offer | TechCrunch
https://techcrunch.com/2020/04/07/wework-sues-softbank-in-intensifying-crisis-over-canceled-3b-tender-offer/
The We Companyの運営する「WeWork」は机や部屋単位でオフィススペースを貸し出すサービスを提供しており、「小規模でもオフィスを構えたい」という学生によるベンチャー企業や起業して間もないスタートアップのニーズに合ったビジネスとして話題になっていました。しかし、サービスそのものの質は高かったものの、ビジネスモデルに不備があったほか、創業者でCEOでもあったアダム・ニューマン氏の奇行もあいまって、新規株式公開(IPO)を行おうとした際にさまざまな問題が噴出。最終的にThe We Companyは上場申請の撤回を表明しました。
ソフトバンクが多額の出資を行うもIPOに失敗&大炎上でCEOが退任した「WeWork」を専門家が批判 - GIGAZINE
2019年10月、WeWorkはソフトバンクグループのもとで経営再建を進めていくことを発表。ソフトバンクグループは15億ドル(約1650億円)の新株引受権を行使し、同時に最大30億ドル分のThe We Company株を他株主から買い取る「公開買付け」を行い、さらに50億ドル(5500億円)を社債発行や融資でWeWorkに投入する予定を明らかにしました。また、同時に創業者だったニューマン氏は取締役から引退し、経営から外れました。
ソフトバンクG、WeWorkに95億ドル支援発表 (写真=ロイター) :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51282580T21C19A0MM0000/
しかし、ソフトバンクグループが一転して30億ドル分の株式公開買付けの撤回を検討していることを、ロイターが2020年3月中旬に報じています。そして、2020年4月2日、ソフトバンクは「中国での合弁事業の取引条件がそろっていない」という理由で株式公開買付けをキャンセルしたことを正式に発表しました。
ソフトバンク、30億ドルにおよぶWeWork株の公開買付けを中止に - CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/35151806/
WeWork取締役会の特別委員会は「ソフトバンクが本公開買付けを実施しなかったことは、ソフトバンクのMaster Transaction Agreementに基づく契約上の義務違反であると同時に、数百名の現従業員及び元従業員を含むWeWorkの少数株主に対する受託者としての義務違反であることは明らかである。特別委員会は、ソフトバンクが自社の利益を優先していることを遺憾に思う」と主張。
また、WeWorkに捜査の手が入った件や、ニューマン元CEOやソフトバンクグループの孫正義会長を相手取って株主が集団提訴した件についても、特別委員会は「WeWorkに重大なリスクをもたらすとは予想されていない」と述べ、ソフトバンクがWeWorkの公開買付けをキャンセルする理由にはならないと主張。ソフトバンクに公開買付けを予定通りに行うことを要求すると同時に「ソフトバンクの契約違反に対して損害賠償を求める」と述べ、デラウェア州衡平法裁判所に訴状を提出したことを明らかにしました。
ソフトバンクの広報担当者はIT系ニュースサイト・TechCrunchに対して「特別委員会が提出した資料の中には、ソフトバンクが公開買付けをキャンセルしたことを否定するものは何もありません。特別委員会、WeWork、アダム・ニューマン氏、ソフトバンク、ソフトバンクビジョンファンドが2019年10月に合意した条件の一部が、2020年4月1日の時点で満たされていませんでした」と語っています。
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