資金調達に失敗して大炎上の末CEOが辞任したWeWorkが正式に上場申請を撤回

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コワーキングスペースを提供する「WeWork」は2019年9月30日、「証券取引委員会に提出した証券登録届出書を撤回する」ことを表明。サービスは継続するものの、当初予定していた新規株式公開(IPO)の計画については断念するとの方針を明らかにしました。

WeWork to Withdraw S-1 Registration Statement | Business Wire
https://www.businesswire.com/news/home/20190930005559/en/WeWork-Withdraw-S-1-Registration-Statement

WeWork throws in the towel on its ill-fated IPO - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-wework-ipo/wework-says-will-file-to-withdraw-ipo-idUSKBN1WF1NS

最短1カ月という極めて短期間の賃貸借契約によるフットワークの軽さを武器に、急成長を遂げてきたコワーキングスペース提供企業のWeWorkは2019年8月14日、アメリカの証券取引委員会に証券登録届出書(S-1)を提出。IPOの実施により株式上場企業の仲間入りを果たすことを目標に、資金調達などの準備を進めていました。

しかし、S-1の公開により発覚したビジネスモデルの不備が問題となっていたほか、WeWorkの創業者であるアダム・ニューマンCEOの言動に奇行が目立つことなども相まって、IPOの実現性については厳しい見方が広がっていました。

WeWorkの上場申請に伴う問題については、以下の記事を読むとよく分かります。

ソフトバンクが多額の出資を行うもIPOに失敗＆大炎上でCEOが退任した「WeWork」を専門家が批判 - GIGAZINE

そんな中、CEOを辞任したニューマン氏に代わり共同CEOの任に就いたアーティー・ミンソン氏とセバスチャン・ガニングハム氏は2019年9月30日に発表した声明で、「我々は中核事業に注力するため、IPOを延期することを決定しました」と述べて、IPOの申請を無期限に延期する考えを示しました。

一方で、法人客や会員、不動産オーナーらに対してはこれまでと同様のサービスを提供していくことを確約したほか、IPOについてはあくまで「延期」として、引き続き将来的な株式上場を目指しているとの姿勢を明らかにしています。

by Phillip Pessar

しかし、WeWorkの2018年の売上高は前年の倍近い約18億ドル(約1950億円)になったものの、赤字額は2倍超の19億ドル(約2050億円)に膨らんでいることがS-1により判明しており、WeWorkの経営状況は決して楽観視できるものだとはいえません。

さらに、WeWorkは8月に銀行から60億ドル(約6500億円)の融資を取り付けていましたが、その際に条件としてIPOにより最低でも30億ドル(約3250億円)を調達することとされていたことから、今回IPOを取り下げたことで合計90億ドル(約9735億円)の資金が水泡に帰したことになります。また、経済紙ロイターによると、「WeWorkが数年間で数十億ドルの資金を使い果たすとアナリストは予想している」とのことで、WeWorkは今後何らかの形で膨大な額の追加資金を調達する必要に迫られています。

ロイターにコメントを寄せた情報筋によると、「WeWorkはソフトバンクなどから新たな追加資金提供を受けるための協議に入った」とのことで、今後のWeWorkの命運は全株式の約3分の1を保有する筆頭株主のソフトバンクが握っているとみられています。