新型コロナウイルスとの戦いで役立つのは「睡眠」、免疫力を高める睡眠とは?
人に必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的には成人に必要な睡眠時間は7~9時間だといわれています。新型コロナウイルスの流行が心配でついつい夜遅くまでスマートフォンでニュースを見てしまったり、ドラマや映画で夜更かししてしまったりする人も多いはずですが、「新型コロナウイルスと戦うためには睡眠が非常に重要である」とクイーンズランド大学の研究者が呼びかけています。
Sleep won't cure the coronavirus but it can help our bodies fight it
https://theconversation.com/sleep-wont-cure-the-coronavirus-but-it-can-help-our-bodies-fight-it-134674
◆睡眠が体を守る「盾」となる仕組みとは?
睡眠の質や量の低下は免疫力に影響を与えることがこれまでの研究から明らかになっており、ある研究ではライノウイルスにさられた被験者を対象に調査を行ったところ、夜間の睡眠時間が7時間未満の人は、睡眠時間が8時間以上の人の3倍もライノウイルスが原因の感染症に陥りやすいことが示されました。また別の研究では1日の徹夜が免疫反応を遅らせ、体の回復能力を遅くすることが示されています。
眠っている時、人の体の中では感染症や炎症との戦いにおいて重要なサイトカインと呼ばれるタンパク質が放出され、ストレス反応の助けとなります。睡眠時間が短くなったり睡眠の質が悪くなったりすると、このサイトカインの放出量が減少することから、免疫力の低下が起こるというわけです。睡眠と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関係はまだ分かっていませんが、一般的な体の仕組みから、COVID-19に対しても同様のことが言えると考えられています。
また、睡眠不足は生物学的なストレス反応を引き起こし、翌日の体内におけるコルチゾールレベルなどを高めます。コルチゾールはストレスによって分泌が高進されるため、睡眠不足の翌日はストレスを感じやすく、集中力が減ったり、感情的になったり、睡眠時に眠れなかったりといった状態になりやすいとのこと。また長期にわたって睡眠不足が続けば日常的なストレスの対処に問題を来しやすくなります。
つまり、睡眠はストレスに対する「盾」だと考えられているわけです。睡眠不足は「盾を壊す」行為に等しく、盾がしっかりしていないとストレスに対してより脆弱(ぜいじゃく)になります。しかし、睡眠をしっかりとると、盾は回復します。
◆十分な睡眠をとるためのヒント
十分な睡眠をとるためには、起床時間の8~9時間前には就寝することを心掛けるようにする必要があります。しかし、時に睡眠する時間が取れなくとも、「起床時間を一定にすること」が大切とのこと。
そして、寝具周りの環境を整えることも重要。その際、以下の方法も役立ちます。
・睡眠の1時間前は照明を暗くすること
・騒音を最小限に抑えること
・ファンやエアコンを使って室温を最適に保つこと
加えて、精神的にリラックスして睡眠の準備をするためには、就寝前のルーチンも大切です。ルーチンの例は以下の通り。
・ベッドで眠る1時間前に起床アラームをセットして「もうすぐ睡眠」というシグナルを出す
・温かい風呂に入ったりやシャワーを浴びたりする
・ベッドに入る1時間前にはスマートフォンなどのディスプレイから離れる
・読書やストレッチの時間を作ったり穏やかな音楽を聞いたりする
さらに、ストレスを減らして睡眠の質を向上する方法として、以下の3点が挙げられています。
・日中に運動する。特に朝、太陽の光を浴びながら運動する
・リラクゼーションを日々のサイクルに組み込む
・眠りに入る数時間前にはカフェインやタバコ・お酒を摂取しない
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