犬の手入れで気をつけなければならない重要なポイント
犬の飼い主は犬をブラッシングしたり、お風呂に入れたり、トリミングを行ったりしますが、ブラッシング以上のシャンプーやカットは、実は犬のパーソナルスペースに立ち入る作業であり、多くの技能を必要とします。犬の手入れで飼い主が留意しなければいけない重要事項について、シドニー大学で動物の行動や動物福祉科学について研究を行うPaul McGreevy氏らが解説しています。
Why dogs don’t care for being groomed (and for the love of dog don’t snip their whiskers)
https://theconversation.com/why-dogs-dont-care-for-being-groomed-and-for-the-love-of-dog-dont-snip-their-whiskers-132656
一般的に、テリアやプードルは体毛をカットされることが多く、プードルの品質基準にも「従来のライオンカットを強く推奨します」と記されています。プードルが猟犬として飼われていた頃は、このライオンカットが湖や川へと入り濡れたプードルをすぐに乾かしてくれるというメリットがあったとのこと。また、関節の回りの毛は体を保護してくれる役割も持っていました。
もともと多くの犬種は何らかの作業を担うために開発されており、体毛は実用的で、メンテナンスが必要ないものでした。しかし、近年は「見た目のよさ」からヘアカットや染色といったグルーミングをする飼い主も多くいます。
そこで重要なのが、カットで犬を不快にしないこと。犬にとってのグルーミングは「体を拘束され、水の中で自由を奪われ、なじみのない人に過度に接触され、ブラッシングで毛を引っぱられ時には痛みを感じるもの」です。そのため、犬との絆を作る(PDFファイル)ドッグマンシップで犬を落ち着かせて犬の不快感を最小限にする能力を持つプロの手が必要になります。
また犬の場合、全ての毛が意味を持つわけではありませんが、ヒゲはセンサーとしての役割を持ちます。犬のヒゲは口の回りを動き、血管と神経上にネットワークを持ち、振動を増幅させ、周囲の障害物を検知したり平衡感覚を保ったりします。ヒゲがどのように世界を検知し、役立っているのかははっきりしていませんが、仲間と遊んだりじゃれたりするために重要だと考えられているとのこと。ヨーロッパでは馬のヒゲをカットすることが動物福祉法によって違法とされており、馬と同様に、犬のヒゲのカットも犬に大きな影響を与える可能性は考えられるため、注意が必要です。
そして、犬同士の接触は時間的に短いものであり、人間のプロによるグルーミングはそれよりはるかに長い時間を要します。それにも関わらず、犬がじっとしていたり目を閉じたりしているのは、アイコンタクトを取ったり動いたりすることで相手に「敵意」と解釈されないように、自分が穏やかであることを伝えようと試みているのだとのこと。つまり、グルーミングをしている人間は大人しい犬に対し「楽しんでいる」ではなく「我慢してくれている」という認識を持つ必要があります。このためトリミングサロンでは、犬との接触を最小限にすることにくわえ、ごほうびやごちそうを与えることが必要です。
飼い主は犬をできるだけ快適に保たなければなりません。グルーミングを行うことでダニ対策ができるだけでなく、ケガや腫瘍といった健康上の問題をいち早く知ることができます。グルーミングは重要なものですが、一方でトリマーの偉大さや、犬の忍耐についても飼い主は認識する必要があるとのことです。
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