トランプ大統領が新型コロナウイルス対策のため「ヨーロッパからの渡航を30日間停止する」と発表、株価は大きく下落
アメリカのドナルド・トランプ大統領が、2020年3月12日(木)に行った国民向けの演説で「イギリスを除くヨーロッパ諸国からの渡航を、3月13日(金)から30日間停止する」と発表しました。これにより、株式市場では大きな混乱が発生しています。
Trump says US to suspend travel from Europe in coronavirus speech – live | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/live/2020/mar/11/joe-biden-bernie-sanders-democratic-primaries-michigan-live-coverage
President Trump announces landmark restrictions to stop the spread of coronavirus - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/trump-makes-statement-on-coronavirus-wednesday-evening-watch-live-stream-today-2020-03-11/
Coronavirus: Trump suspends all travel from Europe for 30 days
https://www.cnbc.com/2020/03/11/coronavirus-trump-suspends-all-travel-from-europe.html
Trump suspends travel from Europe over coronavirus fears
https://nypost.com/2020/03/11/trump-suspends-travel-from-europe-over-coronavirus-fears/
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は3月11日に、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症を「パンデミック」だと認定しました。WHOがパンデミックの認定を行うのは、2009年に流行した新型インフルエンザ以来11年ぶりだとされています。
WHOが新型コロナウイルス感染症をパンデミックと認定、2009年の新型インフルエンザ以来11年ぶり - GIGAZINE
こうした新型コロナウイルスの脅威の高まりを受けて、トランプ大統領は東部標準時3月11日21時(日本時間12日10時)に発表した声明の中で、「EUは海外からのウイルスに迅速に対応しせず、中国などのホットスポットからの渡航を制限しなかった」と非難。「カリフォルニア州・フロリダ州・ニューヨーク州・ワシントン州などで確認されている感染者集団(クラスター)は、ヨーロッパから来た渡航者にバラまかれたウイルスによるもの」だと指摘しました。
一方、アメリカの対応については、1月下旬には中国からの渡航を制限していたことを念頭に「我々は中国に対する早期の行動により人々の命を救いました」と述べて、同様の対応を措置をヨーロッパからの渡航者にも講じる考えを明らかにしました。
ヨーロッパからアメリカへの渡航停止措置は、3月13日(金)から30日間行われる予定です。また、イギリスについては適用されないとのこと。トランプ大統領は渡航制限について「アメリカは状況を注視して、渡航を早期に再開できるかどうかを判断していく」としました。
また、移動制限の例外については「適切なスクリーニング検査を受けたアメリカ人は免除されます。また、制限は膨大な量の貨物には適用されません」としました。一方で「承認されれば、ヨーロッパからアメリカに来るもの全てに何らかの措置が講じられることもあります」と述べて、今後の停止対象の拡大を留保しました。
トランプ大統領はまた、「新型コロナウイルスに感染し隔離されている人、またはその看護にあたっている就業者に対する緊急的な支援措置」を行うよう関係機関に指示していると発表。また議会に対しては、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業へ低金利の融資を行うため、500億ドル(約5兆2000億円)規模の財政措置を要求しているとのことです。併せて、事業者が従業員に支払う給与税の即時減税を求めていると述べました。
一方で、新型コロナウイルスによる不況の懸念に対しては「これは金融危機ではなく、私たちが国を挙げて、また世界として克服する一時的なものです」と述べて、経済への影響は一時的なものにとどまるとの見方を示しました。
金融関係者に対し冷静な対応を求めるトランプ大統領の思惑とは裏腹に、株式市場は敏感な反応を見せています。アメリカのニュース専門放送局CNBCの報道によると、ダウ平均株価はトランプ大統領の声明を受けて、1,464.94ポイント下落。S&P500やナスダック100指数といった株価指数も大きく下げているとのこと。また、日本の日経平均株価も前日の終値から1003円下落した1万8412円で午前の取引を終わりました。
トランプ大統領は声明の中で、「私たちは新型コロナウイルスとの闘いにおいて重要な時期にあります」と述べて、アメリカ人に対して団結と落ち着いた対応を求めました。また、発表の後にもTwitterで「新型コロナウイルスの課題に対応するべく、連邦政府の力を最大限に発揮する準備ができています!」と投稿し、政府の対応力を強調しています。
I am fully prepared to use the full power of the Federal Government to deal with our current challenge of the CoronaVirus!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) March 11, 2020
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